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毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます  作者: 藤なごみ


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第百四十一話 新人魔法兵に魔法を教えます

 翌日から、僕とスラちゃんは工兵と共に本格的な防壁の修復と強化に取り掛かった。


 シュイン、ズゴゴゴゴ。


「このくらいでいいですか?」

「おお、硬さは十分だな。どんどんとやってくれ」


 今日一日かけて防壁と周辺の土地の修復を行い、明日強化を行うことにした。

 僕とスラちゃんは、手分けして工兵の指示に従って土魔法を使っていた。


「しかし、本当にタイミングが悪い時に攻撃があったぞ。たまたま常駐の魔法兵は麓の軍の施設に行っていて、基地にいたのは新兵のみだ。しかも、まだ本格的な訓練を受けていない連中ばっかりだったぞ」


 工兵曰く、毎年行っている新兵の研修の一環でたまたま国境に来ていたという。

 今回の新兵は、受験時に魔法の資質があると分かったものばかりだった。

 なので、この後僕とクリスが魔法の基礎訓練のやり方を教えることになっていた。

 そのためにも、修復作業を頑張ろうと気合を入れたのだった。

 こうして、昼食前には無事に防壁などの修復を終えることができた。

 一先ず、これで再度帝国からの攻撃があったとしても大丈夫。

 そう思いながら、僕たちは軍の施設へと戻ったのだった。


「へう……」

「はあ……」


 食堂に移動すると、何故かヘロヘロの兄妹の姿があった。

 なんだろうなと思って一緒にいたリーフちゃんに話を聞くと、調整することが終わって暇になったので二時間官僚試験の勉強をしていたという。

 こればかりは、僕もなんとも言えなかった。

 すると、一緒にいたルーカス様がこんなことを言って来たのだ。


「午後の魔法兵への訓練は、ケン君とスラちゃんたちがいれば十分だろう。ナッシュとクリスは、引き続き官僚試験勉強を続けるように」

「「は、はい……」」


 ナッシュさんとクリスさんは、何とかルーカス様に返事をした。

 だが、次には思わずガックリとしてしまったのだった。

 きっと二人なら大丈夫だと、そう思うしかなかったのだった。


「えっと、午後の魔法の講師をするケン・アスターです。宜しくお願いします」

「「「「「宜しくお願いします!」」」」」


 新兵の魔法兵は全員で五名で、男性二人女性三人だった。

 何というか、とってもやる気満々ですね。

 すると、僕と一緒にいる顔見知りの兵がその理由を教えてくれた。


「昨日一昨日と、コイツラの眼の前でケンが魔法で大活躍しただろう。しかも、ケンは宮廷魔導師でもある。だから、単純に憧れているんだ」


 本当にって思ったら、五人の新人魔法兵はうんうんと力強く頷いた。

 ほ、本当なんだ……

 僕は、目の前のことに一生懸命だったんだよね。

 何はともあれ、さっそく訓練を始めましょう。


「魔法使いには、僕みたいに魔法を放出するのが得意なタイプとクリスのように魔法剣が扱える特化型がいます。しかし、基礎訓練はどのタイプも一緒です。魔力循環と魔力制御です。僕も、できるだけ毎日やっています。これから、魔力が流れる感覚を掴むために、僕とスラちゃんと手をつないで魔力循環を行いましょう」

「「「「「はい!」」」」」


 ということで、さっそく僕とスラちゃんで順番に魔力循環を行います。

 最初に手をつないだ女性の新人魔法兵は、まるでアイドルに会えたかの様に喜んでいますね。


 シュイン。


「はい、これが魔力です。ゆっくり魔力を循環させていきますね」

「うっ、うん。こ、これは凄いです……」


 僕が強制的に魔力を流すので、女性の新人魔法兵は慣れない感覚におっかなびっくりですね。

 でも、ここは誰もが最初に通る道なので頑張っていきましょう。


「では、今度は自分の体の中で魔力を循環させていきます。おへその辺りを意識して、全身に血が流れているように魔力を意識して循環してみましょう」

「「「「「はっ、はい!」」」」」


 自分自身での魔力循環となると、中々難しい。

 最初は四苦八苦していた新人魔法兵も、段々と魔力循環ができるようになった。

 僕やスラちゃんもお手本を見せながら、訓練は続いていきました。


「うん、魔力制御まで何とかできましたね。今は、何とかで大丈夫です。毎日訓練を続けていけば、自然とできるようになってきます。例えるなら、剣の訓練と一緒です。僕も段々と魔法が扱えるようになったので、焦らずに頑張りましょう」

「「「「「は、はい。ありがとうございます」」」」」


 おやつの時間前に、今日の新人魔法兵への訓練は無事に終了した。

 明日は朝イチで魔法の訓練をして、それから僕が土魔法で防壁を強化するところを見学してもらうことになった。

 実際に魔法を使うところを見てもらうことで、魔法使用時のイメージがしやすくなるはずだ。


「ケン、一丁前に中々の指導をしていたな」

「オーフレア様とローリー様から教わった訓練内容を、僕なりにアレンジしてみました」

「アレンジまでしたのか。それは上々だな」


 付き添ってくれた兵も、僕の教え方をとても褒めてくれた。

 何とか上手くできたし、僕もホッとしていた。

 さて、休憩をしようと僕たちは食堂に向かった。


 カリカリカリカリ。


「「……」」


 そこには、無言で勉強をしている兄妹の姿があった。

 一緒にいるシロちゃん曰く、キチンと定期的に休憩は取っているらしい。

 兄妹揃って、集中する時は集中するんだね。

 ということで、ここからは僕とスラちゃんが二人の先生役となった。


「はは、ケンは新人魔法兵の先生だと思ったら今度は官僚試験勉強の先生か。たいへんなこった」


 そして、周りに多くの兵が集まる中、クリスとナッシュさんは夕食前まで真剣に勉強をしていたのだった。

 僕も二人に勉強を教えていたけど、いい復習になった。


「相手にキチンと教えることができるのは、勉強内容をキチンと理解しているからだ。そういう意味では、ケン君は上級官僚試験の内容をしっかりと理解しているといえよう」


 ルーカス様は、僕の先生役をとても褒めてくれた。

 でも、やっぱり人に勉強を教えるのは難しいですよ。


「「脳が疲れた……」」


 そして、クリスとナッシュさんは、流石に疲れて限界みたいだった。

 この分なら、今夜はぐっすりと眠れそうですね。

読んでいただき、誠にありがとうございます

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