80.テイニー達は抜群の連携をとれるようです
レクレスの西門から出て、荒野地帯にたどり着く僕達。
荒野地帯には多くのコボルドが徘徊していた。
「懐かしいね、この場所。確か、レクが活躍した所だっけ?」
「ふふ、そうだニャ。今回もあっしのラッパが活躍する時だニャ?」
「必ずしもその必要はないと思うよ。以前とは比べ物にならない位、僕達は強くなった。今ならば、コボルド位なら、複数体相手にしても苦にならないと思う」
「……アークさん、ここはわたし達に任せてはくれませんか? ちょっと魔法の感触を確かめてみたいので」
そう言ってテイニーは真っ直ぐ僕の目を見つめてくる。
どうやらテイニーにはそれをやり遂げるだけの自信があるようだ。
なら、任せても問題ないだろう。
「うん、分かった。それじゃテイニーに任せるよ」
「ありがとうございます! レク、リザ、一緒に頑張りましょう!」
「うんニャ。言われなくてもそのつもりだニャ!」
「俺、テイニー守る。必ずやるべき事、やり遂げる!」
テイニー達はそれぞれそう言うと、一気に駆け出していった。
「レク、前方のコボルドの塊に認識阻害の奏! リザはその後、麻痺の粉でそのコボルドの動きを封じて!」
「んニャ。任せるニャ!」
「了解だ、テイニー!」
レクがラッパを生み出して技を使い、前方の複数のコボルドの動きを乱す。
その直後、リザがマンドラゴラの技、麻痺の粉を手から出し、コボルドの身動きを封じた。
そしてその間、テイニーは詠唱をしていて。
「これで決めます! 燃え尽くせ、ファイア!」
テイニーは巨大な火の玉を作り出し、それを身動きのとれないコボルド達に命中させる!
そしてテイニーの魔法を直に受けたコボルド達は、為す術なく、その場に倒れ、動かなくなった。
「……て、テイニーはん達、すご過ぎるやろ。ウチでもなかなかこんな魔法の使い方出来へんで?」
多くのコボルド達を一瞬にして仕留めたテイニー達。
その連携は思わず見とれてしまう程のものだった。
「ありがとうございます、メルさん。ですが、わたし達はまだまだです。まだアークさんの足元にも及びませんから!」
「そ、そうなのかな……? とにかくすごいよ、テイニー達! 正直僕、テイニー達の実力を見誤っていたかもしれない!」
やはり魔物使い自身も攻撃に参加できるというのは非常に大きいんだろうな。
手数が自然と増えるし、攻め方も多彩になるだろうから。
ただ戦っている従魔達を見ている事しか出来ない僕とは大違いだ。
「それより、アークさん、先を急ぎましょう! 道は出来ました! もたもたしていると、またコボルドが集まってきて通れなくなりますよ!」
「そ、そうだね。うん、早速行くとしようか」
テイニーのあまりの成長に思わず息を飲んだ僕。
これは僕も負けてられないな。
テイニーによってできた道を僕達は駆け抜けていく。
そしてしばらく歩いていると、遠くにガルーダの姿を見かけた。
「ホク、あのガルーダを倒す事はできそうかい?」
「うん、任せて! ……アーク、良かったらあのガルーダ、合成してくれないかな? 同じ鳥だから出来るよね?」
「……そうだね。ちょっとランクが飛ぶけど、やってみよう。元々鳥系の魔物はDランクにはいないから、ホクのランクに近い上位種族はガルーダになるからね」
「うん、ありがとう、アーク! それじゃウチ、頑張ってくるよ!」
そう言ってホクは空高く飛んでいった。
そして待つ事数分。
ぐったりとしたガルーダを足に掴んで、僕が僕の近くに戻ってきた。
「アーク、持って来たよ!」
僕の近くにそう言ってどさりと瀕死のガルーダを落とすホク。
うん、まだ息はあるようだし、合成するには十分だろう。
ガルーダの体はホクの体の数倍の大きさがあるので、とても重かっただろうけど、ホクは疲れた様子を全く見せていない。
やはり、体が小さいとはいえ、能力的には相当あるんだろうな、ホクは。
ラスが粘液を使って、痛みなくガルーダの羽を少し確保もらってから、僕は合成を開始する。
そして数分後。
初めてのホクに対する上位種族の合成だったが、特に問題なく終える事が出来た。
「ホク、気分はどう?」
「……うん、なかなか良い感じだよ。パワーがみなぎるっていうかさ。それにちょっと体が大きくなって、ガルーダに近付いた気がする!」
確かにホクが言うように、ちょっとだけホクの体がガルーダ寄りになった気がする。
今までよりも少し体が大きくなっていたり、毛の色も若干変化しているようだし。
やはり異種を合成すると、変化がいつもよりも分かりやすいね。
ガルーダの合成を終え、再び歩き出す僕達。
すると、道中でレッドウルフ、ミノタウロスと遭遇する事が出来たので、難なく素材を入手。
しっかりと依頼で不要な部位でもお金になりそうな部分は剥ぎ取っていく。
そしてある程度、荷物がいっぱいになった所で、僕達はギルドに戻る事にした。
ギルドの建物の中に入り、受付にて依頼の達成を報告する。
また、ついでに剥ぎ取った魔物の買い取りもお願いする事にした。
「…………これにて依頼は達成です。こちらをお受け取り下さい」
「ありがとうございます。はい、これがテイニーの分だよ」
「ありがとうございます、アークさん!」
「あと、今回の依頼の達成によって、Cランク昇格試験を受けられるようになりましたが、いかがなされますか?」
「Cランク昇格試験ですか? 内容をお伺いしても?」
「はい、もちろんです。こちらになります」
受付の人は、一枚の紙を僕達に見せてきた。
そして、そこに書いてあった試験の内容とは――――Cランク魔物を一体以上従える事。
……へっ?
そんなのってアリ!?
「やはり驚かれますよね。Cランク昇格試験は、他の試験とはちょっと違う特殊なものなのです」
「そ、そうですね。まさか、そんな内容だとは思わなかったです……。ちなみに、既に条件を満たしていた場合はどうなるのですか?」
「その場合はその場でCランクに昇格となります」
なるほど……。
恐らく、試験にこういう内容があるのは、きっと一定以上のカリスマ力がある人しかランクを上げないようにする為だろう。
僕みたいに、カリスマ力に乏しくても、依頼をこなしてランクを駆け上がっていく人もいるだろうしさ。
「そういえば、そのリザードマンはCランク級のグランドリザードとお見受けしますが、どちら様の従魔でいらっしゃるのですか?」
「あっ、リザはわたしの従魔です」
「あなたの従魔なのですね? それではちょっと腕を出して下さい。確認致しますので」
腕を出す?
そんなもので一体何が出来るというのだろうか?
テイニーとリザは不思議そうにしながらも、言われた通り、腕を受付の人の前に出した。
それから受付の人は、何かの白い布のようなもので二人の腕を軽く結ぶ。
すると白い布はどんどん青く染まっていき……
「……確かにあなたの従魔で間違いないようですね。という事で、あなたは今からCランクに昇格です!」
「えっ、ええっ!? これだけでいいんですか!?」
「はい。この道具は従魔関係にあるかどうか判別する道具でして、最近販売が始まったものなんですよ?」
ふーん、そうなんだ。
そんな物があるなんて初めて知ったよ。
……というか、テイニーの驚く様子を見てからメルがニヤニヤしているんだけど。
もしかしてこの道具って……?




