過去を思い出しながら語る
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私がココたちと初めて出会ったのは、七歳になった歳に開かれた貴族の子女の交流会だった。
出会ったというのは少々語弊があるかもしれない。
私は遠くから眺めていただけだから、会話どころか彼らの視界にすら入っていなかった。
とびぬけて美しい三人は、あの頃から特別な存在だった。たくさんの子女たちの中で彼女たちだけが輝いていた。
ココがお姫様でルイとセナは彼女を守る騎士のように見えて、まるで物語の世界に迷い込んだような気持ちにさえなった。
彼らの場所にだけ空から光が差し込んだようにきらきらと光って輝いて、自然と目を奪われる。
その他大勢にすぎない私は、特別な存在の彼らに近づく勇気なんて持ち合わせておらず、遠くから眺めていただけだ。
それに彼らは他の子どもたちと交流する気がまるでなかった。
交流会だというのにいつも三人だけで固まって過ごしていた。他の誰も彼らに近づくことすらできない空気ができあがっていた。
別世界の人たちだと思って交流を諦めた子もたくさんいたが、自分に自信のある子やプライドの高い子は、どうにかして彼らとお近づきになろうとあの手この手で近づこうとしていた。
けれどルイとセナが自分たちの輪に他人が入るのを嫌い、近づく子たちを徹底的に排除していた。
毎回彼らに話しかけてはすげなくあしらわれ、泣きだす女の子が出るのはもはや恒例行事のようになっていた。
交流会は、近隣の地域に住む貴族の子どもたちが集められる。
学校に入る前に、仲を深めて友達を作ることを目的としていた。
だが彼らは、三人だけの世界で全てが完結していた。何度交流会が開かれても他人と馴染むことはなく、いつも三人で過ごしていた。
私は引っ込み思案ながらも同じように控えめな女の子たちと仲良くなった。趣味の話などをしてのんびりとお茶会を楽しんでいたから、あの三人のことは正直絵画くらいにしか思っていなかった。
目立たない端っこのほうの席が私たちの定位置。私は静かに過ごしていたからほとんどの人の記憶にも残っていないだろう。
そんな影の薄い存在の私が、突然彼らと関わることになったのは、あることがきっかけだった。
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十歳になった年に、私は王都にある王立学校へ入学した。
カースレイ王国は武と医の国と呼ばれている。
我が国土は温暖な気候と肥沃な大地に恵まれているため、土地の者は昔から薬となる植物を栽培し、独自の技術で様々な病に対応してきた。
時代が進むにつれ、他国にはない薬草と治療薬は高値で取引されるようになり、我が国の名が広く知られるようになると、たびたび近隣の国から我が国の領土を狙って攻め込まれるようになってしまった。
そのため我が国では、有事に備え貴族には武術と剣術の習得が義務付けられた。
そうして創設されたのが、この王立学校である。
王立学校では武術と医術を教育の主軸とし、国防と産業を支える人材育成を目的としている。
末端貴族の娘である私にも、例に漏れず入学の通知が届いた。
学校への入学は貴族の子女としての責務であるが、与えられた権利でもある。
私は実家の領地に貢献できるようこの学校でしっかり勉強しようと希望を胸に抱きながら入学式を迎えた。
交流会で友人となった数人の女の子たちと会場の隅で静かに談笑していると、いつの間にか人だかりができている場所があった。
わあっと感嘆の声が上がり、自然とそちらへ目が行く。
そこにはココ・オベールとその幼馴染二人が人だかりの中心にいた。
セナ・ブランシェがココの左手を、ルイ・ベッソンが右手を取り二人からエスコートされるココの姿があった。
たくさんの人に話しかけられていたが、ルイとセナが少し迷惑そうに相手をして他人からココを守っていた。
「相変わらず、すごい人気だね」
「どこにいても目立つよね」
友人たちが呟いて、皆が苦笑いして頷く。
彼らはこの学校でも一番の中心人物なんだなあと私はただのん気に眺めていたが、彼らを取り巻く人たちが必ずしも好意的な目をしていないことに、この時の私は全く気付いていなかった。




