表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
10/13

10.パスタ

 おそるおそる外に出て動く固体がないか今一度確認し、キララの安全を確保するためポップアップテントの入口を閉じる。

 続いてさくさくっとサバイバルナイフで仕留めて、周囲をウロウロし隠れている固体がいないか確かめた。どうやらもうキラーラビットはいないようだな。

 確認完了したところで、ふうと安堵の息を吐く。

 おっと、いけない。このままキラーラビットを放置していては新たな何かを呼び寄せてしまうかもしれない。サバイバルナイフは鞘に収めず持ったまま、ポーチに手を触れ45リットルのクーラーボックスを出す。クーラーボックスを肩にかけて、蓋を開き、仕留めたキラーラビットたちを一羽残してクーラーボックスへに放り込み、解体時に全て要らない、と答えクリーンアップ(ゴミ箱)へ。

「キララ」

 呼びかけるも彼女はまだ気絶している。

 ラジオとウサギは使用上の注意をよく読み、用法容量を……。

「お昼にしよっと」

 キララが寝ているので起きるまでに枝を集めて火を起こすとしようか。火を起こすのは食事のためではなく、ポップアップテントの外に焚火台を置いて魔物避けにならないかなってね。

 しかし、左右が崖で枝がほとんど落ちてなかったため、火で魔物避け作戦は諦めることにした。

 まだ彼女が起きてこないので、食事の準備に取り掛かることにしようかな。調理は窮屈になるが、安全をとって今回もポップアップテントの入口前である。晴れているからタープを伸ばさずこのままで行こう。カセットコンロを使うか固形燃料を使うか迷ったが、火力調節が簡単なカセットコンロで調理をすることにした。

 イノシシ肉以外にも元から車に積んでいた食料品はアイテム一覧にあるんだよね。といっても大した量を持ち合わせているわけじゃないけど。今度を見据えた場合、注文になるのだが、注文できる食料品は限られている。代表的なものが細長い四角柱状の固形食糧。カンパンより柔らかくチョコレート、メープル、フルーツ、チーズの四種類の味がある。

 バランス栄養食品と呼ばれているだけに、これだけ食べていてもある程度の栄養素は確保可能な優れものだ。

 他には湯銭するタイプのご飯、お茶漬けの元……くらいかも。食材を確保していかないと、ちょっと辛い。ご飯が食べられるだけでも幸運だっだと思うべきだよな、うん。

 ただし、これらの食料品はクリーンアップポイントが割高になっている。

 調味料が2ポイントに対し、これらは10ポイント以上になり、中には100ポイント越えのものまであるのだから。

 イノシシで手に入ったクリーンアップポイントは50だから、どれだけ高いのかが分かってもらえると思う。食料品以外のものにクリーンアップポイントを使いたいのは重々承知しているが、それでも米は食べたい。

 元々持っていた携帯食糧はカップラーメンとバランス栄養食品をいくつかってところ。米や海苔もある。

 ガスコンロにコッヘルを乗せて調理をはじめようした時、キララの声で手を止める。

「アラタ様……わたし……あ、キラーラビットは?」

「もう全部仕留めた」

 ポップアップテントの中にいるキララに向けて手を振る。

 対する彼女はのそのそと四つん這いでこちらに進んできていたのだけど、動きがピタリと止まった。

「え、えええ!」

 彼女はようやく事態を飲み込み、驚きで停止していたらしい。

「さっきの爆音でキラーラビットが全部気絶してさ」

 いくら俺でも動かぬキラーラビットに対し、撫でるだけで真っ二つにできるサバイバルナイフを使えば余裕だったよ。

 一羽目を倒す時だけ多少の抵抗感はあったが、こいつらは俺たちを喰おうと襲いかかかってきてポップアップテントを取り囲んでいたんだと心の中で念じると、サバイバルナイフを振り下ろすことができた。二羽目からはもう作業である。

 イノシシの首元を突き刺した経験がなかったら、もっと戸惑っていたと思う。

 彼女と会話しながら、カセットコンロをカチリとする。

「火、火が!」

「やってみる? ここをカチッとさせたら火が出るよ」

「火打石が中に入っているの……ですか?」

「そそ。そうだ。こっちの方が分かりやすい」

 カセットコンロの火をとめ、ウエストポーチから筒の長いライターを取り出す。

 カチリと火をつけてみせてから、彼女に手渡した。恐る恐るライターのスイッチを押す彼女。

 カチリと音がして火がつくも、それに驚いた彼女がスイッチから指を離してしまった。

 スイッチを押し続けないと火が出ないことを伝えたら、すぐに理解してくれて今度は火がついたままとなる。

「指を離したら消えるのも確かめてみて」

「はい!」

 彼女がライターから指を離すと火が消えた。

「これと同じようなものがカセットコンロの中に入っているんだ。スイッチを捻ってみて」

「やってみます」

 カセットコンロに勢いよく火がつく。スイッチのつまみを調整することで火力が変わることも実践してもらった。

 カセットコンロには水を張った鍋型のコッヘルが乗せているので、放っておくだけでお湯が沸く。

 連続でイノシシ肉を食べたので別のものにしたい。キララがどのような食べ物ならお口に合うのかわからないんだよな。

「パスタとトマトソースなら食べられるかな?」

「ウサギ族は肉も魚も野菜も果物も食べます」

「もし口にあわなかったら無理して食べないでね」

「わたしにも作ってくださるんですか!?」

 もちろん、俺だけ食べるなんてことはしないって。お腹いっぱい……ってことはないだろうから。採集していてキラーラビットに襲われて逃げていたのだったら、水も満足に飲めていないかもしれない。

 今更気が付いた俺は水筒からコップに水を注ぎ、彼女に差し出す。

 お礼を述べた後、彼女が一息で水を飲みほした。よほど喉が渇いているように見えたので、もう一杯水をコップについでから好きなだけ飲んでね、と伝えた。

 その間にも水が沸騰してきたので、パスタを突っ込みつつ、ミートソースのレトルトも暖める。

 パスタをザルにあげて湯をきって、平型の皿にパスタを盛った。

 あとは暖まったレトルトのパウチを切ってミートソースをかければ完成。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ