29
「ふーん。その女王って、どんな奴なの?」
「神々と同じで時間から切り離されて生きてるよ。領域内の神殿で訪れる人を待ってる。ゲバッ!」
「待ってる?」
「そう、女王に願いを叶えてもらいたい者が訪れるのを待ってる」
「願いを叶える!!」
アタシは大きな声を出した。
「何よ、それ!?」
「ゲババッ! 女王は願いを何でも叶えてくれる力を持ってる」
「うそー!!」
こ、これはビッグチャンス到来なのでは!?
「ネコノ、その『フラクタルの領域』へ行く魔法陣がどれか分かる?」
「キャバババッ!! 分かるよ。それに転移するための呪文も知ってる」
でかしたぞ、ネコノ!!
マーリンが留守のうちに「フラクタルの領域」に行って、女王に願いを叶えてもらう。
アタシを元の魔女の姿に戻す…いやいや、モルガングレムスを直接、呼び出したっていい!!
やったーーーっ!!
アタシはネコノを掴むと地下2階へとダッシュした。
ネコノを撫でまくる。
「グブブ! 気持ちいいよ、ミューちゃん!!」
良い良い、いくらでも撫でてやる!!
ついにマヌケ本が役に立つときが来た!!
そして今、アタシは「フラクタルの領域」の青い砂漠を女王の神殿に向かって進んでるのだった。
「見えたよ、ミューちゃん! きっと、あの建物だよ!」




