ダニエラ 感慨に浸る
王立学園の「卒業資格」はけっこうガバガバである。
何しろ決められた年数を在席する必要がない。
学業途中で去る婦女子の数が多すぎる。
結婚とか結婚とか結婚とかで。
そのため、卒業のためのテストに合格すれば、皆卒業である。
貴族は皆、家で家庭教師をつけて先んじて学んでいるため、在席年数にもよるが殆どは合格する。
だが、庶民枠のダニエラは在籍できる年数を目一杯学園ですごす気でいた。
ここで人の掌握を学び実践してから、卒業は来年と決めていた。
対して、王太子や宰相の息子は今年の卒業に決めたようだ。
これは王太子達だけではなく、武門の貴族子弟達に多い傾向だ。
それはなぜかと言えば、王国内に激震を走らせた「魔王出現か」のニュースのせいだろう。
とは言え、卒業式はその年に卒業とされる者達が集まる祝いの席である。
嫁に出た者も、外国へ出た者も集まれる者は皆集まり、学園長より卒業の書状と言葉を頂くのだ。
ダニエラは飾り付けを終えた会場を見渡す。
卒業式の後の謝恩会は生徒会の仕切りである。
この日の為にダニエラは奮闘してきた。
あの日、王太子とその仲間達が謹慎して学園に来なくなってから、ダニエラのターンははじまったと言える。
「これから新生徒会が発足するまでは私が頑張らないと」
年度の途中で主だった生徒会役員が抜けてしまうなど、今までにはなかった事だった。
最初は一人で熟せないからと、生徒会顧問の教諭に泣きついたりしたのだが、学園を辞める訳ではない彼らの居場所を奪う訳にもいかず、困ってしまった。(大人の事情の配慮のため)
だが、件の聖乙女負傷事件で、派閥の少女達をちゃんと窘めきれなかったと謝りにきたイザベラと意気投合し(怪我をしたのはダニエラ、マリアベルの二人だった為、雨の中でのすべっての事故だったと処理された)彼女の派閥から「出来る人材」をかなり引っ張ってこれた。
思えば王太子一派は「優秀」だったが仕事は「出来ないもしくはしない」人達だった。
一人の飛びぬけて優秀な、でも仕事をしない人材よりも、緻密にきちんと仕事が出来る複数の人材、ダニエラには後者の方がありがたかった。
イザベラは庶民出のダニエラにもきちんと礼儀をもって仕えるように彼、彼女らにも言い含めてくれてもいた。
イザベラの協力を得て、ダニエラが掌握し指示すれば、それを間違えないできちんと熟す。
何とありがたい事だろう。
あとは、主賓の卒業生を待つばかり。
「ダニエラ嬢、次は何をしましょうか?」
「サナエルさん、言われた事をこなすだけではなく、自分の頭で考える事も大事よ。もちろん長である私に報告、連絡、相談は欠かさないようにね」
「はい。勉強になります」
ダニエラは人を教育するという事にも興味を持ち始めていた。




