夕日
「おや」
煙の中から、何者かが、歩いてくる。
そいつは、赤髪の黒木徹。
大量の死者を作った、本物の、殺人鬼。
眼鏡がない。
少年のときのようではない。
どういうことだ。
刀を強く、握った。
「やあ、靖」
長髪が揺れる。
なんでこんなに美青年になっているのかわからなかった。
自分は……
あんな洟垂れ小僧だったのに、ここまで成長しているにも、関わらず、下人になっていることに許せなかった。
「徹! 目を覚ませ!」
「私には家族がいないものでね」
「俺もだ」
涙が出る。
またこのまちで死者ができてしまった。
そしてこいつが、犯人だとは。
「だーそーみーだ」
観客が集まる。
俺に視線を送る。
あいつは陰陽師。
こんなことがありえるのか。
「正教よ、俺に答えてくれ」
体がパージした。
閃光が光る。
体中が、軽くなった。
「戦士「戦死」として戦う!」
体が、動いた。
徹は、おかしい。
あいつと仲がよかったアイラの町。
それが、それが……
「殺す、靖!」
「自我崩壊しているがね」
抜刀。
殺せるのか、確認。
おおよそ、殺気をだした。
殺したいのか、そうまでしてこの俺を。
「ええ、お前が」
……!
炎だ。
こいつは炎を使う。
ならば!
「川北流――抜刀術ッ! 浅間の陣!」
浅瀬がゆっくりと、現実に投影される。
これは現実投影魔術。
地面に、雨を流した。
「徹! 浅間の念! わかりうむッ!?」
突っ込んだ。
「……!」
一瞬で叩き切るッ!
「ガアアアアアアアアアアアアアアッ! アアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアッ!」
叩き切った。
俺は、この集落を守る。
目の前で、徹が亡骸になるまで見ていた。
「あれ、カツラ?」
徹はハゲになるまで、戦い抜いていたのだ。
「ふりむなーむ! 相談せんねッ!」
大声で泣いた。
ユウが駆け寄る。
「しょうがないのよ、帰るよ」
「あああああああああ!」
きれいな夕日だった。




