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112話目 水着で勢揃い!

連日更新三日目!

何日いけるかなぁ……?

「それにしても兄さんって……」


「どうした小町?」


水着(丈が膝まであるロングパンツ、スカイブルーに日本画のような白抜き波模様入り)に着替えた剣の身体を、小町はまじまじと見詰めて、羨ましそうに溜め息を吐いた。


「全然無駄な脂肪が無いよね……私もかなり絞ったつもりだったけど、まだ足りなかったかと……」


そう言いながら、小町は二の腕を摘まんでみせた。指先で、ほんの少し摘まめる程度の、柔らかそうな感触の肉しかない……剣の目には、そう見えたのだが……言葉にすると怒らせそうなので、話題の方向性をずらす事にしたのであった。


「まあ、気にする程じゃないんじゃないか?頭の中身がヘリウムガスより軽いカス男には、ナンパしたくなるほど魅力的に見えてたのは確実だからな。あいつら、多分小町が小学生だとは気付いてなかったな……多分、高一ぐらいには見えてたと思うぞ」


「あんなのに、どう思われても……兄さんから見ても、そう、なのかな?」


顔を赤くしながら、拗ねたような表情で、髪を指に巻き付け弄りながら剣に問う小町。ツンしながらも、本音ではお兄ちゃんに褒めて欲しい……そんな微妙な妹心なのであった。


「そりゃまぁ……兄としての贔屓目はあるだろうけど、小町は可愛いし、しっかりしてるし、その水着も相まって大人びて見えると思うけど。そうか……小町も男を惑わす身体に育ってしまったんだなぁ……」


「その言い方、少し卑猥に感じるんですけど?」


ふて腐れた返しであったが、小町はそれほど不機嫌な様子でもなく、剣に背中を向けて寝転がったのであった。


難しい年頃の(一般常識的な)妹に、剣はまたしても返答を失敗してしまったかと、頭を悩ませるのだった。


「み~んな~、お待たせ~!」


実鳥と小町のボディーガードとして先行した剣と双子に遅れることしばらく、両手に大きなビニール袋を下げた梓と遥が到着し、聖家一行が勢揃いした。


「ありゃ?きらりんさん元気なくない?こんなに水着少女に囲まれてるんだから、男子たるもの無駄に元気になるべきであると、義理の妹は思う所存なのですが?」


「その仇名、女の子っぽくてどうかと……いや、燕ちゃんに、ちょっと……ショックな事を言われちゃってね……頼り無いんだろうなぁ、僕は……」


「ん~……そりゃまぁ、ばめたんにとって、男性の基準となってるのはけんちゃんですから。どんな男性と比べたって、コイ○ングとアル○ウス位の差は感じちゃうだろうから、気にするだけ損ですって!」


「……梓ちゃん、全然慰めになってないよ……」


ますます悄気る明良に、優しく寄り添う光。やはり、これはこれで幸せそうである。


「……まぁ、お姉ちゃんみたいな超絶美人が彼女だから仕方無いけど、義妹の水着に対して反応絶無とか、ちょこっと自尊心が傷つきますなぁ……」


梓がセレクトした水着は、肩紐の無いチューブトップタイプの、オレンジに縁がモスグリーンのバンドゥビキニであり、露出度的には小町の三角ビキニに次ぐ布面積であった。そして、太ってはいないが引き締める努力をしていないプニプニ肌であるので、身体に水着が若干食い込み気味となり、とても肉感的ではある。


「梓、俺は好きだぞ、そうゆう水着。程よくエロくて」


言えてしまう……照れもせずに言えてしまうのだ、剣さんは!


「けんちゃん……後で二人でシャワー室に……」


夏の暑さに浮かされ、通常よりも梓の精神は開放的になっているようであった……


姉のストレートな発情アピールに、小町は恥ずかしさに悶えてしまって突っ込みどころではない!


「性欲も結構だが……それより先に食欲な。アネさん、適当に色々買ってきましたが……」


遥が持っていたビニール袋を、ドサッとレジャーシートに置いた。梓と二人で、全員の昼食を海の家を巡って買い出ししてきたのである。遥の水着は薄い水色のキャミソールのようなトップスと、濃いめの青いショートパンツを合わせたタンキニタイプタイプで、肌の露出度が少ない辺り、色恋沙汰に免疫がない遥らしい色気の少ない水着と言えた。そんな、普段はエロスな会話に拒否反応を示すピュアっ娘な遥が、感情が薄れたように、とても冷めていた。


「ありがとね、二人とも。小町達に何があったかは聞いたんだけど……二人で大丈夫だった?」


「ええ……噂が独り歩きしてくれたみたいで……」


虚ろな目をする遥の返答に、光が小首を傾げた。光の抱いた疑問に、行動を供にしていた梓が代わって解答を示した。


「いやぁね?私達がAVのヤカラさながらの連中と乱闘した時にね?はるるんが横綱の張り手レベルの平手打ちをかましたのが大勢に目撃されたのね?それでね、男は怖がって寄ってこないし、少女や幼女は憧れの目で握手を求めて来たりで……みたいな感じでした!」


「お姉ちゃん……()()女の子にモテモテになっちゃったんだね……」


「言うなぁ~……私は恋愛なんて、後十年はしたくないんだぁ~……」


遥は砂の上に三角座りして顔を伏せた。自分でも訳が解らないのだ。実鳥を守るために必死で繰り出した平手打ちの威力は、画的に、地上最強の高校生が小学生の尻を全力ビンタした時以上の派手さがあり、実際に一撃で悶絶させてしまう威力があったのだ。そんな、正体不明の奇跡のような現象で、恐怖されたり憧れられたり……遥自身が一番現状を受け入れられずにいるのであった。


ヌルヌルベトベト、油にまみれた双子が、剣の背中に這い寄り張り付いて耳打ちした。


「お兄ちゃん、やりすぎ」


「遥ちゃん、ようやく元気になってきたのに……」


「……うん。少し、加減が甘かったな……流石に悪ノリだったわ」


珍しく、双子に咎められちゃう剣兄さんでした。




「それでは、海と大地の恵みに感謝しまして……いただきま~す!」


桜も砂蒸し風呂から発掘されて、十一人揃っての昼食が光の号令で開始された。


お昼のメニューは、光が家から用意してきた塩を利かせたオニギリと、海の家でテイクアウトした料理の数々である。今回、燕の特製おにぎり?は、朝が早かったので、無い。


「僕としては、光さんの手料理がオニギリだけなのは寂しい気がするんですが……この人数のお弁当作るの、大変ですもんね」


一寸残念そうにしながら、光のお手製オニギリをパクつく明良。炎天下である事を考慮し、普段よりも多目の塩で握られていて、海からの潮風も相まり、味覚と嗅覚の相乗効果から素晴らしい逸品となっていた……


「……すっげぇ美味い!」


「明良くんってばお上手!でも、海で食べるオニギリって、とても美味しく感じるのよね~」


「いや、僕はコレが食べられれば、今日は満足です!こんなオニギリを作ってくれる女性が奥さんになってくれるだなんて……幸せ過ぎる!」


「も、もう……私こそ、そんなに喜んでくれる男性が私を貰ってくれるだなんて……❤」


完全に二人の世界にトリップした長女夫婦を余所に、弟と妹達はオニギリを主食に、シーハウスフードをオカズにして海水浴場メシを楽しんでいた。


「やっぱ定番だよな~焼そばは、あれ?海鮮塩味もあったんだ?」


「ばめ、ぐるぐるそーせーじたぺる!」


「夏といったら焼きもろこし!焦げた醤油で口の周りを汚すの厭わず、豪快に食らいつくすのであります!」


「海鮮の串焼き、種類が沢山あるね~迷うな~」


「肉の串焼きも色々あんぞ?……海関係ねぇけど」


「カロリーたっか!……食べるけど!」


「けんちゃ~ん、胸にソース溢しちゃったぁ。ふ・い・て❤」


「真夏の浜辺で熱々おでん……この地獄、嫌いではない!」


「翼、共に地獄に堕ちよう……」


賑やかで喧しい昼食を終えると、海ならではのデザートタイムの始まりとなる。人、其れを〝スイカ割り〟と呼ぶ!


「じゃ、冷えたスイカを探して買ってくるわ。桜、スイカを割る為の得物はお前の担当だったよな?」


「そうでありました!車に置きっぱなのです!光姉様、鍵を貸して戴きたいのであります!」


光から車の鍵を借り受けると、桜は砂塵を撒き上げながら、砂浜を爆走していったのであった。


「さて、俺も行ってくるか……」


双子は今回、肌をこんがり小麦色に日焼けさせたいらしく、燕と一緒に波打ち際で遊んでいて、実鳥と小町は砂蒸し風呂のデトックス効果を謳い上げた桜に感化され、梓と遥に埋めて貰っていた。光と明良……そっとしておこう。こうして、剣は一人でスイカ探しに向かうのであった。


「……やべぇ、単独行動、すげぇしんどい……」


一人歩きを始めて数分後、剣は早々に後悔していた。


「あ!キミ!今一人なの?お姉さん達と遊ぼうよ~」


「さっき、格好良かったです!もし、よろしければ私と……」


「ドロップキックのあんちゃんじゃねぇか!奢ってやっから一緒に飲もうぜ!」


……勇名が轟いていたのは、遥だけではなかったのである。興味本意から逆ナンしてくるセクシーなお姉さんや、瞳にハートを宿した美少女やら、強さに痺れて憧れたおっちゃんからの飲み会へのお誘いやら、ありがた迷惑の数々が剣を相次いで急襲してきたのである。無論、剣は全てガン無視して、人混みの僅かな隙間を縫うように避けて進むのであるが……面倒この上なかったのである。


「ったく、一般人を蹴散らしちゃ不味いしな……」


物騒な呟きをしつつ、剣はどうにか実力行使することなく海の家を巡り、中身がしっかり詰まってそうな、中ぐらいサイズのスイカを二つ入手したのであった。


「ん?アレは……一応、メールしとくか」


その最中、とあるイベントの告知ポスターを発見したので、目立ちたがりの妹達に報告してみたのだった。それが、更なる混沌を招く事を確信しつつも……




「はにゅっ!?」


「希、なんした?」


「スマホが着った。ちょい確認……」


希は胸元までファスナーを下げると、胸の谷間に手を突っ込んで、にゅいっとスマホを取り出した。双子の胸の谷間は、体積や面積をある程度無視する夢空間なのである!


「お兄ちゃんから……ほほう、これは……」


「ふふふ……このビーチは、私達のモノとなる……」


「ばさねぇ?ぞみねぇ?なんだか……ちょいわるかっこいい!」


不敵に笑う双子。その心は、とあるイベントへの参加を決定していた。


「「いい景色を、見せてあげようか」」



姉妹全員水着になりました!

次回のちょっとしたネタバレになりますが、翼の胸にはスマホ以外のナニカが挟まっています。

さて……桜はどんな得物を持ってくるのでしょう?

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