二十七話 トーナメント本戦2
長らくお待たせしてしまったことをお詫びします。
三日目
俺は今日もまた朝早くから会場へ来ていた。だが今日は明確な目的があって朝早くに来たのだ、そしてその目的とは鍛錬である。
ここ数日は部屋で出来る筋トレ程度しか出来てなかったので試合前には会場で鍛錬が出来ると聞いて飛んで来たのだ。
「へぇー、意外といるもんだな」
会場に入ると既に数人が鍛錬をしていた、思っていたよりも人が多い。
「場所空いてるかなぁ?」
そのまま中央に向かって歩みを進めると中央に空きが出来たのでそこで不知火を抜いて鍛錬する事にする。
「ふぅー」
鍛錬その一、不知火を構えて息を吐き出し目を瞑り、集中した状態で形を確認するように一振一振りを丁寧に素振りをする。
鍛錬その二、体が暖まった所で型の練習、型の全てを無駄な動きを無くしてなぞる。
鍛錬その三、曾祖父さんとの想像戦闘、曾祖父さんはもう死んでいて手合わせは出来ないが当時の動きを思い出して、手合わせを行う。
この三つを約一時間程で行う。
その後はあと少しで試合が始まるので控え室に入って始まるのを待っていると早速。
《皆様!おはようございます!今日は本戦第二回戦と本戦第三回戦を行います!》
「「「おぉぉぉぉ!」」」
《では今からルール説明ですが、ルールは昨日と同様!以上!》
「「「おぉぉぉぉ!」」」
どうやら今日は計二試合行うようだ、まぁそれは良いにしても適当すぎるだろうが実況者。
《ルール説明も終わりましたし次のトーナメント表の発表です!デデン!》
デデンって…もうなんか突っ込んだら負けな気がしてきた…
《では早速試合を行いますので第一試合に出場する選手は舞台に上がってください!》
おっと、トーナメント表を確認しなければ…ってまた第一試合かよ!?何かここまで来ると作為的なものを感じてしまう。
それに第一試合に勝つと俺は第三回戦も第一試合とか、もうこれは奇跡では語れないぞ…
《鴉田選手!早く舞台に上がってください!》
おっとこれはうっかり、急いで行った方が良いだろうが雰囲気的に入りにくいので敢えて派手に入る為に転移魔法で舞台の中心に現れる。
《おぉーっと!鴉田選手がどこからとも無く舞台に現れました!》
それは転移してきたからな、と心の中で呟きながら観客を見ると皆興奮している。
《さて!鴉田選手が来たので早速、バトル〜開始!》
試合が始まってしまったので相手を見るとそこにはひょろっとした背の高い男が立っていた、相手のどこを見ても筋肉というものが感じられないので戸惑っていると相手の体に周囲の魔力が取り込まれていった。
なるほど…魔法使いな訳だ。
「覚悟しろ八咫烏、最強の名は俺が頂く」
今まで無言だった相手が俺に話しかけてくる、昨日から思っていたのだが何故戦いの最中に話しかけてくるんだ?そんな余裕は無いはずだが?
「ふんっ無視か?まぁいい、大人しく俺の魔法で焼かれるがいい!」
無視し続けていると長ったらしい能書きと魔法の準備が終わったようだ。
「俺の最強の魔法!炎弾!」
俺に向かって大きな炎が三つ飛んでくる、なので俺はその炎に向けて不知火を構える。
「ハッハッハッハー!無駄なことを!」
飛んできた三つの炎の中心をほぼ同時に斬るとその炎は消滅した。
「なぁッ!馬鹿な!俺の最強の魔法だぞぉ!?」
「はぁぁぁぁ」
俺があからさまなため息をつくと奴は顔を真っ赤にして此方を睨んできた。
「まったく、最初は黙ってたから出来る奴かと思ったらいきなりベラベラと喋り出すし魔法はあんなに溜めたくせに弱いし、それにあんなに時間をかけるとか死にたいのか?まったく」
「うっ!でっでも!どうやって魔法を斬ったんだよ!」
「普通に真ん中を斬るだけ」
「はぁッ!?」
俺がそう言うと奴は絶句していた。
実を言うと魔法使い相手には慣れている、自宅ダンジョンの二十階層辺りから出てきたゴブリンマジシャンは魔法を使ってきたので検証してみると中心部を斬れば消滅することが判明した。
「で、どうする?まだやってもいいが」
「い、いや……降参する…」
《試合終〜了〜!鴉田選手の勝利です!いや〜圧倒的でしたね!》
どうやら自分の限界ぐらいは分かるようだ。
それにしても……次はもっと手応えのある敵にしてほしいと言う思いを抱きながら俺は舞台を後にした。
だが午後からは第三回戦が行われるので帰る訳にはいかない、なので今まで見てなかった会場を回る事にする。




