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ある日世界はゲームチックになりました。  作者: 柳瀬 翔
二章 就職編
26/30

二十六話 トーナメント本戦1

 二日目


「ふぁ〜ぁ」


 俺は目が覚めてから直ぐに会場へ向かったのでまだ目が覚めきっていなくて欠伸をした、すると周りにいる選手が一斉に此方を睨んでくるが怖くも何ともない。


「寧ろもっとヘイトを集めておいた方が楽しそうだ…」


 とわざと声に出して言ったところ、想定通り此方に敵意が向いてきた、これで負けても俺の力不足という事なので自分の力を測るという意味では必要な行為なのだ。


 俺を楽しませてくれよ諸君、と心の中で呟きながら試合が始まるのを待つ。


 今日の試合は昨日の様な総当たり戦ではなくトーナメント式だ、なので一体一という俺の得意な状況は有難い。


 《皆様おはようございます!今日は待ちに待った本戦でございますのでできるだけ説明を省きたいと思います!》


 昨日から思ってたが実況って居る必要なくないか?


 《ルールは昨日と同様!以上!》


 短っ!…だが観客は気にしてないようだ、俺がおかしいのか?いや、周りの選手も数人えっ?って顔してるから大丈夫なはずだ。


 《続いてはトーナメント表の発表です!ドンっ!》


 今日の試合のトーナメント表が会場中央のスクリーンに映し出された。


「どれどれ…ってまた第一試合か、早く戦えるのは嬉しいから別にいいけど」


 第一試合は五分後に始まるようなので俺は控え室で不知火の手入れを行う。

 すると周りの選手達が俺のことを変人でも見るかのような目で見てくる、まぁコスプレみたいな黒い軍服を纏って真剣の軍刀を持った男など俺から見ても変人だしな。


 あぁそれとこのトーナメント戦とダンジョン内は銃刀法違反は適用されないと警察が公表しているので俺は堂々と不知火を持ってきている、だが殆どの奴は受付で借りる事ができる武器を使うらしい。


 《試合の準備が整いましたので第一試合の選手は舞台に上がってください!》


 呼ばれたようなので俺は舞台に向かう。


「遅かったな、八咫烏さん?」


 俺が舞台に着くと既に相手の選手が立っていた、相手選手は背が俺よりも高く筋肉隆々とした肉体をしている、だがそれよりも気になるのは…


「その八咫烏って俺のことか?」

「お前以外に誰がいるんだよ?あぁ?」

「何故八咫烏?」

「知るかよ、お前が黒いからじゃね?」

 《おぉーと!両選手共に試合前にヒートアップ!この試合は面白そうですね!》

「そろそろか…」

「そうだな、じゃあよろしく頼むぜ優勝候補さん」


 奴が最後に行った言葉の意味が気になるが今は試合に集中しよう、奴は俺が殺気を放っていたにも関わらずに自然体でいたので警戒レベルを上げる。


 《さぁ、両選手の準備も整った様なので早速試合を進めましょう!それでは…………試合開始!》


 試合開始の合図は毎回バラバラな様である。


「試合が始まってるのに考え事とはいい度胸じゃねぇか!」


 ほぅ、俺が少し考え事をしているのに気付くとはなかなかやるな。


「お前は俺には勝てねぇ!俺のスキルは腕力強化!速さが取り柄のお前用に対策もちゃんとあるんだぜ!」


 戦いの最中にベラベラと能書き垂れる時点で減点なのに己の武器であるスキルを公開するのは大減点だな。


「行くぜぇ!」


 やはり遅い、パワーファイターなので仕方ない点もあると思うがそれにしても遅い。


「これでどうだァ!」


 奴は手に持ったハンマーを俺ではなく地面に叩きつける、すると俺の周りの地面がめくれ上がる。


「これで動けねぇだろ!ご自慢の速さが生かせなきゃお前の負けは確定だ!」


 そのまま俺にハンマーを叩きつけてくる、別に躱すことは簡単だがそれでは面白くない、なので俺は敢えて受けることにした。

 奴は勝ちを確信したのか口元がニヤけている、だが俺にはハンマーの軌道も力の向きも力の強さも全て見えて(・・・)いるので不知火で受けた瞬間に奴のハンマーの力を利用して独楽(こま)の様に回りながら紋章を切る。


 《試合終了〜!勝者は鴉田 倭選手!いや〜一歩も動かずに勝利とは桁違いの強さですね!》


 奴の戦法自体は悪くはなかった、奴の基礎能力がもっと高ければ最初に地面にハンマーを叩きつけた時に俺の足止めと目眩しを同時に行えた、奴にもっと技術があれば俺は奴の攻撃を受け流せなかった。

 それに試合開始前に俺が殺気を放っていたにも関わらずに自然体でいたのは単に殺気に気付かなかったということか…つまりは奴の鍛錬不足、もっと強くなって出直してこい。


「終わったし帰るか…」


 俺はそのままホテルに帰った。


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