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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第47話 スキルスプリット

「さて、ミリィ。早速だが、これからルーベの森に向かう。試したいことがいくつかあってね。これからミリィと当面は宿暮らしになるんだけど、そのために必要なことなんだ」


「はい。主様の仰せのままに」


 慇懃に答えながらも、くりんとした大きな柑子色(こうじいろ)の瞳で嬉しそうに見つめてくる。体調がいいからか、表情も一昨日会った頃より明るくなっていて、丸坊主なのに美少女感が増している。”坊主が似合うのは本当の美人だけ”っていう昔どこかの誰かが言っていた言葉を思い出す……あったっけ、そんな言葉?


 俺とミリィは街を出て、街道を森に向けて進む。いつもなら軽くジョグしていくところだが、さすがにミリィに初日からそれはきついだろう。のんびりと歩きながら今後のことについて話す。


「俺の活動のメインは魔草採取だ。実は【魔草感知】のスキルを持っててね。人よりかなり効率よく採取できるから、そこそこ実入りもある。ミリィもこれを手伝いながら、基本は周囲の警戒に当たって欲しい」


「はい、私、気配を察知するのは昔から結構得意なんです。少しはお役に立てるかと……いえ、絶対立ちます!」


 決意表明をするミリィが可愛くて、火傷を負ってない部分の頭を優しくなでる。嬉しそうに目を細めるミリィが……あら、やだ、この子ホントかわいい。


「俺の魔草採取の評判は結構良くてさ、薬師ギルドから勧誘されてるんだ。薬師ギルドに入って、魔草も自分で持ち込めば、結構安く回復薬水を手に入れられるから、ミリィの治療も定期的に行えるし、毎日身を清めることもできる。ミリィも薬水を使うことを遠慮しなくていい。それに、薬水以外でもミリィの身を清めることができるかもしれない、ふふふ、俺ならね!」


「え、えーと、ありがとうございます(な、何でここまでしてくれるんだろう……何から聞けばいいのかな……)」


 ミリィが嬉しいような困ったような表情を浮かべている。奴隷館で出会った時は表情が乏しかったが、本来表情豊かな子なんだろうな。


「あ、あの、主様は【薬師】なのですか? 【魔草感知】スキルもお持ちとかで」


「いや、俺は『職なし』だよ。ただ、スキルはいくつか持っていて、結構特殊だから……ミリィはこれから知る俺の情報は、絶対第三者に漏らしちゃダメです。良いですか??」


 俺はミリィのほっぺを両手で挟み、”むにゅっ”とタコ口にさせる。


「ふぁ、ふぁい。ふぁかりまひは……」


 か、かわいい。綾香も小4くらいまでは、これをしたら喜んでたなぁ~~…………


「あ、主様??」 「う、うん、ミリィはいい子だ」


 そうこうしているうちに、俺たちはルーベの森にたどり着いた。ミリィには俺のショートソードを持たせ、俺は”騎士の剣”を持つ。ちらほら冒険者が見えたので、念のため麻袋から取り出すように見せかけて剣を出した。

 そして、いつも通りまずは、”元水聖の川”へと向かう。ある程度進んで、周りに冒険者の姿も見えなくなったころ、ミリィが俺の手を引いた。


「主様、その先、何か変な感じがします。何か見えない壁でもあるかのような……」


「ん? 何も見えないが……」


 そして慎重に少し進むと、何もないはずの空間に……ぶつかった(・・・・・)


「えっ?? 何これ……がっ!!」 

(あるじ)様!!」


 後頭部に衝撃が走り……俺は意識を失った。


 ◇


 ……きもちわるい……ナメクジが体を這っているみたいだ……


「……はっ……たまんねぇな、こりゃ……」


 うわっ、マジきもちわりぃ……全身に悪寒が走る……


「……う、うー……」


「お、目が覚めたか?? ユキア?」


 頬をペチペチ叩かれ、意識が覚醒する。どこだ……ん、やわらかい布の上に寝かされているっぽいけど……洞窟??


 うっすらと目を開けると男の顔が視界に入る。


「ウーガさん……?」


「ようやくお目覚めか、お姫さまぁ~。待ちきれずにぶち込むところだったぜ~」


 D級冒険者で先日、冒険者ギルドで俺と他の冒険者のいさかいを仲裁してくれた人だ。そのウーガさんが、信じられないくらいの醜い笑みを浮かべて俺に馬乗りになっている。

はぁ、そういうこと……前からそんな視線は感じていたけど。


「意識ないまま口に突っ込んでも、反射で歯立てられることもあるしよ。ケツぶっ込んでクソ漏らされてもめんどくせーしよー。お目覚めまってたぜぇ」


「ははっ、学んでんじゃねぇか、ウーガ! 気絶した女の口に無理やりぶっこんでたら、歯当たってヒイヒイ言ってたもんな!」


 後ろで別の男3人が、下卑た笑いを浮かべている。ああ、ウーガさんのパーティーメンバーだったな。


「……ミリィ、僕の奴隷は?」


「ああ、アイツな。健気にもご主人様を守ろうと突っかかってきやがってよ~。顔がいいからお前が起きるまでの間、楽しもうかと思って服ひん剥いていたぶってたら……急に腐った死体みたいな匂い放ちやがって! 吐きそうだったわ!! 何だよアイツ、アンデットかよ!」


「……で、ミリィは?」


「あ? 萎えたからとりあえずボコって……ああ、あそこに転がってるわ! まあ、顔はいいから売れるかもしれんし、とりあえずは生かしてるよ」


 洞窟の奥の方に裸のミリィが転がされている。微かに呼吸の動きはあるので生きてはいそうだ。だが、相当弱っている……


 さて、俺の状況は、というと……上は標準的なチュニックを着ていたのだが、まぁ乱暴に破かれてる。手は後ろ手に縛られ、足も両足首が縛られ、そして……

 なんだか、身体が痺れてうまく動かせない。まったく動かないというわけじゃないが……


「ああ、一応しびれ薬を仕込ませてもらったぜ。3、4日は効くやつだからな~、変な気起こしたって無駄だぞー。だけど、意識は保てるし、しゃべったり、飲み食いできるくらいには口は動かせる。優しいだろ」


「ははっ! どこがだよ、口動かせるようにしてんのは別の目的じゃねぇーか!」


 ギャハハ、と後ろのガヤが盛り上がっている、うるせーな。


 えーと、麻痺を回復する薬水、『痺解薬水(ひかいやくすい)』は低位の回復薬水の分類だったな……できるかな……いや、できるよな、マルウェラ……【魂の操作(ソウルオペレート)】、続けて〈スキル分割(スキルスプリット)〉……


【魂の回廊】

・薬剤生成(60)

 → ・薬剤生成‐低‐(10) ・薬剤生成‐中‐(20) ・薬剤生成‐高‐(30)


 うーん、それでも足りんか。今の俺の『魂の欠片』は〈8〉。ごめんな、ミリィ。使わせてもらう……


お読みいただきありがとうございます。

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