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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第46話 隷属契約

「では、奴隷紋は左腕でよいですね?」


「はい、いいな? ミリィ」 「はい、お願いします」


 今、ライノ商会でミリィと隷属契約を結ぼうとしている。商会お抱えの【契約魔法士】ブライさんが『誓約の魔紙』にせっせと何か書き込んでいる。怪しげな【奴隷商人】なる『(ジョブ)』の人が腕から出した魔法の鎖で相手の心臓を縛る、みたいなことをするかと思ったが……相手の同意なしに隷属契約が成立することはないのだそうだ。

 ただ、隷属魔法なるものを使える稀な『職』もあるとか。公にはなっていないそうだが、それは強制的に相手を隷属させることもできるのだというが……絶対怪しげなシルクハットをかぶってそうだ。


「えーと、それでは隷属契約の内容は、基本3事項のみでよろしいですね?」


 隷属契約の基本事項とは、

 1.従は主の身体を害することはできない

 2.従は主に虚偽の報告をできない

 3.従は主の命令を拒否できない(ただし、自らの生命を明らかに(・・・・)損なう命令を除く)


 この『隷属契約基本3事項』は帝国奴隷法で定められている基本項目だ。だが、この「基本事項3.」が曲者らしい。主人が奴隷に「自殺しろ」と命じても、奴隷はその命令を拒否できるが、例えば、主人が敵に囲まれている状態で「私が逃げ延びるまで敵を食い止めろ」という命令は拒否できないらしい。それで奴隷が死ぬ可能性が高くても、”あきらかに”死ぬと決まったわけではないから、らしい。

 なんか、ねぇ……法律をこねくり回す、いやらしい政治家みたいだ。


 そもそもなぜ、この「3.」の付帯事項があるかというと、奴隷の人権を守るために付けられたのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。隷属契約とはいえ、洗脳ではない。『明らかに死ぬ』という命令を拒否できることが、例えば死地に向かわせる命令に従う心理的障壁を下げる効果があるのだとか……よくわからん。まぁ、俺とミリィには関係のないことだ。


 ちなみに追加料金を払えば、オプションみたいな感じで隷属契約事項を追加できる。契約事項も多岐にわたり、金額も金貨1枚から数十枚までとか。主に戦闘奴隷と性奴隷に多いらしいが、お金ももったいないし興味もない。


「では、ユキア様。この『誓約の魔紙』に魔素を流し込んでください」


 俺はその魔紙に結構な量の魔素を流し込む。ちなみに、魔素を扱えない人は、魔晶石から魔素を流し込むらしいが、自分の魔素を流し込んだ方が、隷属契約は強固になるらしい。

 ブライさんが魔紙をミリィの左の上腕、つまりは二の腕に押し付けて詠唱を始める。


()魂名(マナ)(なんじ)(しゅ)なり―—刻め、縛れ、隷契成就〉


 ブワァーン


 『誓約の魔紙』が淡い光を放ちながらミリィの二の腕に吸い込まれていく。するとそこには魔法陣みたいな円形の奴隷紋が刻まれた。ミリィはその奴隷紋をさすりながら、あらためて俺に向き直る。そして跪き、俺の左手をとって、手の甲を自分の額に押し付ける。


「今日からよろしくお願いします、ご主人様。少しでもご主人様のためにお役に立てるよう、とにかく頑張ります」


「ああ、よろしくミリィ。それと、”ご主人様呼び”はむず痒いな」


「では何とお呼びすれば??」


「そうだね……お、お父さん、とか??」


「……さすがにそれは……無理かと……」


「だよね! えーと、じゃぁ、ダディ……」


「あの! (あるじ)様、でよろしいですか?」


「……うん、それで」


 ◇


「それでは、ユキア様。またの御贔屓(ごひいき)を」


「こちらこそありがとうございました。ミリィの治療までしていただいて」


「本当にありがとうございます、コリウス様。貴重な回復薬水を使っていただいて」


 コリウスさんに対してミリィが可愛くお辞儀をする。


「ユキア様にお渡しするのだ。それなりに身ぎれいにしないとな。ですがユキア様、数日しか持ちませんよ」


 俺が引き取る前に、コリウスさんは回復薬水でミリィをあらためて治療してくれた。また、薬水で身を清めてくれたのだ。そして……


「ふふ、しかしこう見ると、こちらの方が身ぎれいだし闊達に見えるな。早くからこうしていればよかったか」


 ミリィは粗い麻布のチュニックに長ズボンを合わせ、”ザ・男の子”って感じの服装だ。そして何より、髪をバッサリ切ってもらった、というか丸坊主にしてもらったのだ。髪は洗えない状態だし、頭皮にも”どす黒い皮膚”が侵食している。それに正常な皮膚の部分も洗えていないためにフケが凄い。

 さすがに女の子を丸坊主にするのはどうかと思ったが、意外とミリィは気にしている様子はない。むしろスッキリして気分よさそうだ。一応、髪の色と同じ柑子色(こうじいろ)、薄いオレンジのバンダナ用意して、頭に巻いてもらった。なんか、かわいい女子盗賊みたいだ。


「それでは、コリウスさん、色々とありがとうございました」

「コリウス様、本当にお世話になりました」


 俺たち二人で頭を下げる。


「ふふふ、かわいい姉妹みたいですな。それではユキア様、リュシアの件もありますので、そのうち我が屋敷にお招きいたします。冒険者ギルドに言づけておきますので。では、ミリィも達者でな」


……いや、誰が姉妹だよ。


お読みいただきありがとうございます。

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