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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第40話 リュシアの価値

 コリウスさんは「少しお手洗いに……」と言って、一度1階に降りて行った。大丈夫だろうか、あまり顔色がよくなかったけど。

 別に館長自ら案内いただかなくてもよいのだが、そのことを遠回しに言ってみたら、


「いえ、ユキア様の対応は私でなければ……他の者では少し荷が重いかと」


 って言われた。えっ、俺なんかクレーマー的な扱いなの!? 


 ◇


 2階の応接間のようなところで一人寛いでいると、紳士然とした態度を取り戻したコリウスさんが戻ってきた。


「お待たせしました。さて、気を取り直して次は一般奴隷のエリアへとご案内します。ああ、その前に、性奴隷の相場ですが……」


 ライノ商会においては200万バース以上だという。しかし、ライノ商会の性奴隷は質が良く、この不夜城ルーベリスの花街においてもそれなりに上質なお店で働けるレベルだという。


「もしかして、戦闘奴隷みたいに働いてるんですか? その、夜のお店とかで……?」


「はい、当商会の系列店で働かせております。ただし、妓楼(ぎろう)ではなく、酒楼(しゅろう)で、ですよ。また働いて得た報酬の2割は奴隷が自由に使えるお金となります」


 妓楼(ぎろう)とは、いわゆる性風俗店、”あっはぁ~ん”までOKのお店だそうだ。そして、酒楼(しゅろう)とは、女の子と楽しくおしゃべりしながら上品にお酒を嗜むお店、いわゆる高級クラブ、ラウンジのようなお店らしい。

 ライノ商会としては戦闘奴隷と同じように性奴隷も働かせて日々の糧を稼がせつつ、”女を磨く修行”をさせているとのこと。また、酒楼で働くことで、上質な客と懇意になり、そのまま身請けされることもあるらしい。

 そして、これは”戦闘、性、一般”、どの奴隷にも共通することだが、労働報酬の2割は奴隷が自由に使えるお金として与えているという。


「このロマリア帝国の奴隷法では、借金奴隷に対しては『自己買戻制度』の適用があり、自由を夢見て貯蓄する者もおりますが、まぁ、これで自己を買い戻せる者は……ほとんどおりません」


 しかし、自由を諦めきれず、妓楼で働くことを希望する者もいるらしい。酒楼よりかも遥かに稼ぐことができるが、それでも自由になれるものはかなり稀だという。

 しかも、自己を買い戻す前に奴隷として新たな主人に買われてしまった場合は、今まで貯蓄してきた金は全て奴隷館に没収されてしまうので、ほとんどの奴隷は得た報酬を自らの嗜好品の購入などに充てるらしい。


「まぁ、唯一の例外が当商会の最高級酒楼『翠玉楼(すいぎょくろう)』の首座であり、ルーベリスが誇る『常夜の姫』の称号を持つリュシア・ベルフォールなのですが」


 リュシアさん、もう少しで自由になれるのか! すごいな! てか、いくら貯蓄してるんだろう?


「ちなみに、リュシアさんはいかほどなのですか??」


「最低でも……」 コリウスさんは指を一本立てた。

 

「ああ、一千万……?」


「まさか! 最低でも(・・・・)1億バース以上となりますな」


「…………は??」


 さっき似たようなやり取りをしたが……桁が一個増えた? え? ってことは、1億近くの金額を貯めているってこと……? 


「当館では、自分の貯蓄額までなら、自分の価格を引き下げることができます。つまりは、どうしても買われたい客がいた場合は、その貯蓄を使うことができるのです。どうせ買われたら当館に没収されるのですからな。まぁ、普通は自分の家族が買い戻しに来た場合にしか使うことなどないですがね。それをあの娘は……困ったものですな、ふふ……」


 コリウスさんはニヤリと笑い、俺を一般奴隷エリアへと先導し始めた。


 ◇


 ようやく本来の目的である、荷物持ち(ポーター)役のおじさん一般奴隷を見ることができる。

 そう、俺は1億以上の価値のある絶世の美女を10万で買わずに、それ以上のお金を出してただのおじさん奴隷を買いに来たのである……なんだそれっ!!

 いや、まぁ、今おれがリュシアさんを買ったとしても、トラブル多発でお互い不幸にしかならないだろうけど。


「こちらでは事務の能力がある者達を働かせております。ここはいわばバックヤードとなっており、通常、お客様に見せるところではありませんが。当館の管理・経理の事務を任せており、その能力を磨かせております。需要としては国や貴族に買われていくことが多く、一般奴隷の中では高価格帯となっております」


 こちらが最低でも100万バース以上とのこと。なるほど、初等教育が始まったばかりのこの国では事務系の能力の方が貴重なんだろうな。『初心者講習』であれだけの盛り上がりを見せるくらいだし……いや、あれは完全別枠か。お受験戦争の100倍はキツかった……だが、その達成感たるや、1億倍は気持ちよかった。


「今、ユキア様には必要ないと思われますが、その内、クランでも立ち上げれば必要となる人材が多ございます」


「え? そんな予定はありませんよ」


「さてさて、あの(・・)リュシアに1億以上(・・)の価値があると見定められた方ですからなぁ」


 ……リュシアさんは1億以上の貯蓄があるが、それでも自己を買い戻せていないのか? では、本当のリュシアさんの価値は……「最低でも(・・・・)一億以上」とは……値段は有って無いようなもの……? 買えない、いや、買わせないための……


 俺が少し考え込むのを見て、コリウスさんは「ふふふ……」と再び謎めいた笑みを浮かべ、今度は屋外の別棟へと案内してくれた。


お読みいただきありがとうございます。

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