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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第31話 支部長室にて

 総合調整自由組合ルーベリス支部、支部長キース・マクマス、元A級冒険者でミレイさんとも昔馴染みらしい。その支部長室の応接間で俺はルーシェさんと並んでキースさんと向かい合っていた。


「こうやって話すのは初めてだな、ユキア・ベオルーク。私はキース・マクマス、ここの支部長をやっている」


「よ、よろしくお願いします、マクマス支部長」


 横でルーシェさんが「ぶふっ」と噴き出していた。それをキースさんはギロリと睨みつけ、「…………ギルマスでいい」と言った。そうだよね、みんなそう呼んでたな。つい「斎藤支部長!」みたいな感覚で言ってしまった。


「ユキア君、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ギルマスの目つきが悪いのは生まれつきで、別に君に思うところがあって睨んでるわけじゃないから」


「……お前は少し緊張感を持て」


 ギルマスの射殺さんばかりの眼光も、ルーシェさんは全く気にする様子もない。これが生まれつき……なのか?


「はぁ~、さて、ここに君を呼んだのは『古代種』のことを聞きたかったこともあるが、それよりも単純に一度君と話してみたかったからだ。礼も言いたくてな、『初心者講習』を受けてくれたことに対して」


「そ、そんな! 講習に関してはこちらがお礼を言わないといけないことですよ! あんなに色々丁寧に教えてくれて。しかもその後の武具の貸し出しもついてるし。至れり尽くせりじゃないですか! なんで皆もっと受けないんでしょう? ……やはり5日間じゃ短すぎるんでは……10日、いや20日くらいなら水さえ飲んでいれば休みなく……」


「やめてぇ……そのトランス状態、こわいからぁ……」


 横でルーシェさんが泣き崩れた。


「……ユキア、一つだけ言っておくが、君が受けた『初心者講習』は特別だ。ミレイ師が講師を務めたということ以外にも、その、座学の内容は通常、君が受けた内容の半分以下になる。まぁ、ミレイ師は昔から興が乗るとやりすぎるところがあってな……」


「……皆それで満足するんでしょうか。学ぶべきことはまだまだあるというのに……」


「あうぅ~……」とルーシェさんが声にならない声を上げている。


「君は本当に……ヘンタ……真面目なんだな。薬師ギルドが目をつけるはずだ。あそこのサブマス、副ギルド長は私の友人で、信用できる男だ。私から紹介状を書いておくから一度会ってやってくれ。君にも益になるはずだ」


「はい、ありがとうございます」


 ギルマス、目つき怖いけどめっちゃいい人じゃん。「魔眼持ちか!?」なんて疑ってごめんなさい。


「それと、一応、『古代種』についても聞いておきたい。その個体は1体だったか?通常のゴブリンと比べて身体的特徴の違いは?」


 俺は1体しか見ていないということと、身体的特徴は見た感じのままを答えた。他と比べて一回り大きい体格であったこと。そして、


「目の色が、えーと、濁った青?って感じでした」


 チビゴブどもが目が赤いのに比べて、青っぽい色の目をしていた。そういえば、崖の上の白銀世界で出会った魔獣は皆そんな感じの目の色だった。


『いや、ボス狼(ウルフ)だけはきれいな紫色、アメジストみたいな感じだったな』


「そうか、やはり『古代種』で間違いなさそうだ。おそらく、”大聖魔雪山ヴァルベスト”から迷い込んだのだろうな。数年に一度は報告がある」


 大聖魔雪山ヴァルベスト……ルーベの森の奥に聳え立つ、人外魔境の地、常に雪化粧を纏う大雪山だ。山頂から中腹までは確か……


「それで、その『古代種』というのは……?」


 一度ルーシェさんに聞いたが、「強い個体だよ!」みたいなことしか言われなかったので、再度聞いてみる。


「ああ、大聖魔雪山ヴァルベストが山頂から中腹までが『魔界化』されていること知っているな?」


「はい、講習で習いました」


 ◇


 さて、初心者講習の復習だ。

 この世界には『迷宮』がある。おおよそは俺のファンタジーリテラシーで認識している”ダンジョン”と変わらない。そして、魔物を定期的に間引きしていないと、いわゆる”スタンピード”が起こる。それをこちらでは『迷宮開放』と呼ぶ。

 なんで『開放?』と最初は思ったが、要は回廊の扉(・・・・)が開かれるかららしい。回廊……この世界の『迷宮』には2種類ある。通常の迷宮と『回廊迷宮』。回廊迷宮とはその名のとおり、迷宮自体が回廊であり、別の世界と繋がっているものらしい。

 つながる先の世界が、禍々しいまでの魔素があふれる世界、通称『魔界』。その魔界と繋がると、魔界の住人『魔族』がこちらの世界に魔物を引き連れて侵攻してくるのだそうだ。

 だが、通常の迷宮が開放された場合は、ただ魔物が迷宮からあふれ出し、あたり一帯に禍々しいまでの魔素をまき散らす。それはなぜか迷宮内よりも濃い濃度の魔素で、人が日常を過ごすには適さない空間となる。それを人は『魔界化』と呼ぶ。

 

 大聖魔雪山ヴァルベスト、ここの山頂には迷宮があり、誰もその存在に気づいていなかったらしい。そしていつの間にか迷宮が開放されていたらしいが、元々閉ざされた大雪山であったため、人里に被害はなく、その中腹までが魔界化されていたということだ。まあ、ここが回廊迷宮であったなら、魔族が下界に押し寄せて大変なことになっていたのだろうが。

 

 魔族か……魔族とは、中には異形の者もいるが、そのほとんどがこちらの人族と見た目は変わらず、こちらの世界の古代語、『レイム語』という言葉を話し、意思疎通も可能なのだそうだ。だが、彼らはなぜか、こちらの言葉には耳を傾けず、怨敵を見つけたかのように敵意と刃を向けてくる……といっても、魔族とこの世界の人々が直接戦ったのは、1500年以上前の『第一次人魔大戦』と、500年程前の『第二次人魔大戦』だけ。

 そして、今……『第三次人魔大戦』を防ぐために、あの人は……


———君は、君の物語を歩むんだよ。いつか、私と君の物語が交われば……とっても素敵だね。


 ダメだ、今考えても仕方がない、今は『今』に集中しよう。


お読みいただきありがとうございます。

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