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再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~  作者: 和食 三昧


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第21話 初心者講習最終日2

「どうだった? あの子は?」


「まぁ、身体能力は年相応ですね。本人は剣は全くの素人だと言ってましたが、多少、修練(・・)は積んでいたようです。と言ってもFランク相当ですけどね。ただ……」


「ただ??」


 カルマルは腕を組んで考え込む表情を見せる。


「うーん、何と言っていいのか……”ちぐはぐ”なんです。剣の腕や身体能力は年相応、Fランク相当なんですが……恐ろしく魔素の扱いがうまい。とんでもない『魔素調整力』を持っていそうなんです。要所要所で魔闘気を纏い、致命傷を負わないように気を付けてます。あれは『戦闘職』を持たない者ができる動きではない」


「さっすが”カーくん”! よくそこに気づいたね~」


「いや、もうその呼び方はやめてくださいって……嫁も子供もいるんですから」


「私にとってはいつまでたっても”カーくん”は”カーくん”だよ! それにユッくんに『初心者講習』勧めてくれたのはカーくんなんだよね? 本当にありがとう」


「ぬぐぉ!」


 見ほれるような笑みをミレイに投げかけられ、カルマルは赤面した。


「……ごふんっ! 剣は護身用に学びつつ、『魔法職』も視野に育てるのもアリかと思いますよ。ま、本人の希望次第ではありますがね。なんにせよ、とても有望な少年であることは間違いないですね。なんせ、この『ミレイさんの初心者講習』を乗り切った男ですから……」


「まだよ。今から講義の復習を兼ねた筆記試験をするから……」


「鬼かっ!!」


 ◇


「お疲れ様、ユッくん。立てる??」


 ミレイさんが傍に立ち、大の字になっている俺に手を差し伸べてくれる。


「だ、大丈夫です。立てますから」


 ミレイさんと少し距離を取って立ち上がる。ミレイさんの美しい容貌が少し陰った。


「なんで、離れちゃうの?? ユッくん……」


「え、いや、その……今、汗臭いからっ……ふぐっ!!」


 言い終わる前に、一瞬でミレイさんに間合いを詰められ、盛大にハグされる。


「ミ、ミレイさん!! ホント汗臭いから、今はちょっと、あ、ああ……んっ」


「ああ、ユッくんの汗のにおい……すーはー、すーはー……」


 ミレイさんは俺の首元に顔をうずめて、”すーはー”しまくる。何とか離れようとするが、凄まじい力でビクともできない、細身で女性らしい、このやわらかい肢体のどこにこんな力が……いや、まぁ、離れたくないという気持ちもあるのだけど。


「ユッくんの汗のにおい好きなんだけどなぁ~。まあでも、今から筆記試験だし、スッキリしたいよねー。きれいにしてあげるね! カーくんもおいで~」


「カーくん??」


「やめてって言ってるでしょ……」


 カルマルさんが恥ずかしそうに頭をかきながら、こちらにやってくる。ミレイさんは俺とカルマルさんの手を握り、深く息を吸い込んだ。


————えっ!? この感じ……


 ミレイさんの瞳が琥珀色から淡い蒼色に染まる。


〈清浄なる水の流れにその身を委ね、穢れを滅せ ——ヴァロッシュ!〉


 ミレイさんを中心に3人を覆うような水球が膨れ上がる。全身を水球に包まれ、口の中や鼻の穴にまで水が入り込んでくる。一瞬、『お、おぼれるっ』と焦るが、苦しいということはなく、むしろ、


『き、きもちいい……』


 そして何より、この感じ……あの”水聖の少女”がいた時の、清流の水と同じ感じだ。


『もしかして……水聖……魔法??』


 数秒後、清らかな水球は一瞬で消え、体にも地面にも水滴が残るようなことはなかった。ミレイさんは元々身ぎれいで、そこまで変化はないように見えたが、俺と同じく汗まみれで埃っぽかったカルマルさんを見ると、明らかに清潔な感じになっていた。

 

『風呂入って、洗濯した清潔な服を着てるみたいだな』


 ということは俺もそんな感じなんだろう、確かに風呂入ってスッキリした気分だ。それに……


「この魔法は少し疲労回復の効果もあるから~」


 やはり、あの川で寝そべっていた時と似てる。あの間に疲れ取れてたし。

 気づけば俺は真正面から、がっちりとミレイさんの両肩をホールドしていた。驚きながらも少しうれしそうなミレイさん。


「やんっ どうしたの? ユッくん……??」


「ミレイさん、いまのもしかして『水聖魔法』ですか??」


「あれ? ユッくん、私のこと知ってたの? てっきり知らないのかと思ってた」


「え? ミレイさんのこと??」


「……ん?」 「ん?」


 よくわからずに、カルマルさんを見る。


「まぁ、ミレイさんは有名ですから知っててもおかしくないでしょうけど。ユキアはミレイさんが『水聖の魔女』と言われるS級冒険者だって知ってたのか? 俺もミレイさんへの接し方から、全く知らないのかと思っていたが」


 ……す、水聖の……魔女……なんか、凄そうだし、『統括官』?とか呼ばれてたし、実はとてもすごくて偉い人だったのか……? ただのギルドの若手職員かと思ってた……


「ごめんなさい、本当に田舎の出で……まったく知りませんでした。もしかして、とんだご無礼をば……」


「やーーーもう、やめて~~!! 今まで通りでいいよー、ユッくん! 今はただのギルドのお手伝いさんだから!! もう、カーくんも意味深な感じで言わないで!!」


「す、すいません!!」


 ミレイさんに軽く凄まれ、直立不動になるカルマルさん。だがこれで完全に圧倒的な上下関係があることが分かる。


「もー! それだよ、それ!! ねー、ユッくん、ほんとに私はただのギルド職員さんだからね、今まで通りだよ!」


 まぁ、『ただ(・・)のギルド職員』さん、ではないことは分かったが、ちょっとぶーたれたミレイさんが、すごく可愛かったので、変な緊張は取れた。

 「はい、ありがとうございます」と、自然な笑顔で答えると、ミレイさんも嬉しそうに笑ってくれた。


「でも、ユッくん。私のこと知らないのに何で『水聖魔法』だと思ったの??」


「あー、確かに。こんな最高位の魔法、普段意識してなきゃ普通、ぱっと出てこねぇだろう、ユキア?」


「え、えーと、その、あっ……や、宿の名前が『水聖の導き亭』だし……」


「おやぁ?? おねーさんに隠し事をしたくなるお年頃かなぁ~ユッくん??」


 ちょっとうれしそうにミレイさんが俺をのぞき込んでくる。美人にかなりの近距離で下からのぞき込まれたこともあり、全力で”あたふた”してしまった。


「おねーさん、もっとユッくんのこと知りたいなぁ~」


 そう言いながら、ミレイさんは細くきれいな指先を、服の上から俺の胸に這わせる。「あった!」と嬉しそうにつぶやき、指先で”つんつん”してくる……ちょっとそこはっ……


「はうっ!」


「でも、そ・の・ま・え・に……最後の筆記試験終わらせちゃいましょう! 大丈夫、2時間くらいで終わるやつだから!」


「いや、鬼かっ!!」


 カルマルさんが、盛大にツッコんでくれた。

お読みいただきありがとうございます。

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