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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第8章 神敵、『否定を否定』する

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第80話 孤独との戦いと、横に並んでくれる人たち


 『加速(ブースト)』で極限まで速めた思考、時間を置き去りにして動く体。


「やれやれ……正直危なかったな」


 静止したポルカの体から発せられる光は……『我、唯一神(ザ・ワン)』とやらだろう。

 “畏れ”の権能と同様、神の絶対的な存在の前に立つ者全てを『あるべき姿』にする光らしい。


 加速した思考でなければ解除は間に合わなかった。


「さて、それでは……神とやらの解析を始めるとするか」


 魂を顕現(けんげん)させ、その情報を見る。

 やはり一見天使と似ているが、その実全く異なる。

 天使の肉体は情報により構成されているが、神は肉体そのものが概念づけられているかのよう。


「これは……解析のしがいがありそうだ」


 加速した思考、俺だけ加速した世界。


「…………」


 黙々と、分解し、解析し、全体を眺め、分解し――。


「…………」


 1度終わった部分に間違いを見つけ、最初からやり直し――。


「……そろそろ、俺も治さないとな」


 自分の不老不死である体をメンテナンスし――。


「……よし」


 体感で……数百年ほどか。

 これでようやく、終わりだ。


「どんな姿にしてやろうか……やはり定番のゴブリンだな」


 まるで彫刻の様に美しく冷たかった女神を、個性的な顔のゴブリンに変換。


「『加速(ブースト)』解除」

「…………」


 驚いているのだろうか、時間は動き出したはずだが微動だにしないポルカ――ゴブリン。


「くくく……」

「むっ!?」


 しかし(まばた)きの刹那(せつな)、ポルカが元の姿に戻ってしまった。


「無理にきまっておろう。我は神ぞ。存在を書き換えようなどと、できるはずがない」

「……ちっ!」

「全ての天使よ、参れ!」


 周囲にて散開していた天使を呼び始めるポルカ。

 

「100万を超える天使……ふふふ、さすがのお前も――」

「『加速(ブースト)!』」


 さすがにポルカを相手しながら、雑魚とはいえ100万の“権能使い”の相手をしていられない。

 そして何より――。


「『無理だ』と言われたら、やりたくなる性分でな」


 いいだろう、ここからは俺の無限と、神の一瞬の根気比べだ。


「忍耐には自信があってね」


 書き換える。


「――無駄だ」


 書き換える。


「――諦めろ」


 書き換える。


「――不可能だ」


 書き換える。


「――無意味」


 書き換える。


「――無価値」


 書き換える。


「――いい加減」


 書き換える。


「――観念したらどうだ?」


 何千、何万の時が経っただろうか。


「……くそ……」


 俺は……どうしてこんなことをしているんだったか……。


「……ミラ……」


 ただ、ただ愛する女性と共に生きたかっただけ。

 だというのに……。


「……目の前に、お前を奪おうとした世界の主がいるのに……」


 もう少し、もう少しでこいつを完全に書き換えられる。

 その手ごたえを感じてから……何度同じことを繰り返しただろうか。

 現に、少しづつだがこいつが戻る時間が遅くなっている……はずだ。


「……諦めるな……」


 次こそは――。


「――そろそろ」


 次こそは――。


「――天使どもが」


 次こそは――。


「――たどり着くぞ」


 次こそは――。


 次……こそは……。


 次……は……。


「ミラ……」


 ……不老不死の肉体でも……精神の摩耗までは防いでくれない……。

 俺は……。


「(もう! やーっぱりルシアンには、ミラちゃんがついてなきゃダメね!)」


 とても懐かしい声が聞こえた、気がした。

 その時――。


「なっ!?」


 いつの間にか『加速(ブースト)』解除してしまっていたのだろうか、ポルカの驚くような声が聞こえた。

 そして……ガラスが砕け散るような音と共に、巨大な何かが――ゴーレムが次元を超えて現れた。


「たかが神の分際で! 人の旦那をたぶらかすなぁーーー!!!」

「むっ!?」


 さらに人化したミラがポルカに飛び蹴りをかます。

 神の絶対領域を、物理法則を無視したただの『愛の暴力』が突き破る。


 同時に、俺の壊れそうだった心と精神が完全に回復した。


「コアちゃん! クレズマー!」

「受諾:エネルギーそうてん」

「『ゴーちゃん』波動砲、発射! これはかつてルシアン・エヴァーハートが開発した『転移』魔法を応用した多次元空間から魔素を集めてそのエネルギーに指向性を持たせ――」


 次元の裂け目から現れたのは、全高50メートルを超える鋼鉄の巨人だった。

 全身は『絶縁黒鉱』をベースにしつつも、ミラたちの趣味か、どこか騎士のような優雅な装飾が施されている。

 頭部は巨大な宝石のような透明の操縦席になっており、中でコアちゃんとクレズマーが並んで座っているのが見える。

 さらに、背中からは光り輝く六枚の魔力翼が展開され、そこに周囲の次元から強制的に魔素が集まっている。


 腹部にある巨大な砲門から、膨大なエネルギーの塊がポルカに向かって放たれた。


「――ぐぅぅっ!?」

「やりました! さすがにこの規模の高密度の魔素であれば『権能』を使って防ぎきれないという推論は正解だったようですこれで憎きポルカ――」

「結論:むふっ」


 これは……。


「ずーっとコアちゃんと巨大ゴーレム作ってたの! けど、前の時は次元を超えられなくて……クレズマーのおかげでそれも解決! ついでに戦闘力アップ!」

「ミラ……」


 以前『巨大ゴーレムを作るのはダメ』と言っていたのも、“畏れ”との戦いの後に『ばかぁー』と怒っていたのも……。


「願望:ルシアン、たすける」

「コアちゃん……」

「ほめて、もらう!」


 ミラに、コアちゃん――いや、みんなもいる。

 みんなが天使を薙ぎ払いながらこちらに来ている!


「マールさん! 私の方がたくさん倒してます!」

「何!? 我の方が派手だぞ!?」


 アイリスにマール――。


「ルシアン様の敵は私の敵。遠慮なく消えてもらいましょう」


 リエラ――。


「わらわのお歌を、聞けーなのであーる! 頑張れルシたま~~~♪」


 チャチャまで……いや、チャチャ・ゴーレムの機能に気が付いたのか。


「敵対反応確認。音波増幅機能展開、広範囲殲滅コンサート、スタート」

「ルシたま大好きぃ~~~……ひょえええ!? 何で~~~!?」


 チャチャの歌を受け、チャチャ・ゴーレムが展開・増幅させた、破滅の音波が天使を爆散させていく。

 当然俺たちには一切影響はない――いや、元気になれるな。


「みんな、ありがとう」

「ルシアンのことならお見通し! 女神は危ないからって、1人で済ませようとしたんでしょ!」

「ああ……」

「みんな、ルシアンと一緒にいるために頑張ってるのよ!」

「……そうだな」


 俺も、そんなみんなと一緒にいたい。

 ここにはいない、ラビラビィやロルウェンナも!


「ってことで、さっさと女神なんか滅ぼしちゃいましょ!」

「ああ!」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

20時10分頃

20時40分頃

となります!

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