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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第8章 神敵、『否定を否定』する

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第79話 ポルカ=トラムと、禁忌魔術師


 少し離れた森で、次元の扉を開く。

 平穏で優しい夜の闇を切り裂くように、眩しい光が侵入してくる。


「…………」


 扉の先には、万を超えるであろう天使の集団が待ち構えていた。


「目標補足、“神敵ルシアン・エヴァーハート”と確認、排除――」


 耳障りな声の発生元を、音もなく崩壊させる。

 1歩進むごとに、周囲の害虫を『あるべき姿』に還してやる。

 崩壊して砂となった天使たちが、風に巻かれてキラキラと輝く。


 それはまるで、客人を歓迎するかのような花吹雪のようで……死してもなお俺のために舞台装置を演じるとはな。健気なことだ。


「…………」


 やがて近づいてくる天使もいなくなり、遠巻きにブンブンとやかましい羽音を立てるのみとなった。


「……下級天使程度を倒して、満足か?」


 ひと際派手で悪趣味な建物、その部屋に……まるで彫刻の様に美しく、冷たい表情の女――ポルカ=トラムがいた。


「いや、歓迎の装飾が物足りなかったのでな。花吹雪を自前で用意しただけだ」

「……ふん」

「ああ、それと俺はアウトドア派なんだ。悪いが――」


 天使と同じように、この悪趣味な建物を砂に還す。

 残ったのは、キャンプには不格好な……女神が座っている派手な椅子だけだった。


「――ああ、すっきりしていいじゃないか。少し虫臭いが」

「……気が利かずに悪かったな。どれ、我も消すのを手伝ってやろう」


 ポルカが右手をかざすと、俺の体内の情報が『あるべき姿』とやらに書き換わっていくのを感じる。


「ところでだ。てっきり、お前の方から俺の世界に来てくれると思っていたのだが……」


 その“書き換え”――『存在してはならない』という神の定義を、『存在し続ける』という俺の論理が上書きする。


「なぜ? なぜ我が人間の元へ(おもむ)かんといかんのだ」


 右手を降ろさないまま、ポルカが応える。


「そりゃあ、大層お怒りだったようだしな。俺のお土産、嬉しくなかったか?」


 お返しに、『万象崩壊(オールブレイク)』――体を崩壊させながら。


「怒る? なぜ我が矮小な人間などに腹を立てねばならん」


 ポルカも同様に、足を即座に『あるべき姿』に治しながら。


「ん? 忘れたのか? トマトをぶっかけられて不細工な面を晒したことを。長生きしすぎて記憶能力に支障が生じてしまったのか?」

「…………」

「その後何て言ったっけ? ああ、そうだ、確か……」


 『この場の記憶』を表出させる。

 現れたのは、色々な意味で顔を真っ赤にしながら『おのれ! ルシアン・エヴァーハート……許さぬッ! 絶対に許さんっ!!!』と叫んでいるポルカ。


「人間に腹を立てないと言っていたはずだが……記憶能力の限界が近いようだ」

「貴様……!」

「――もしくは、神というのは……数秒前の自分の言葉も忘れてしまうほどの知能なのか?」

「貴様だけは絶対に……絶対に許さんッッ!!!」


 ポルカが立ち上がり、両手をかざしてくる。

 絶え間なく押し寄せる『消去』の波。瞬き一つする間に、俺の心臓は数千回も存在を否定され、そのたびに俺の論理がそれを『維持』へと繋ぎ止める……150年前の俺なら、対峙した瞬間に魂ごと霧散(むさん)していただろうな。


「『極大炎球魔法(アポカリプスバースト)』×100!」


 正直“書き直し”に手いっぱいで、この程度の魔法を使う羽目になる。

 さすがは、神。


「ふっ! どうした? この程度の炎、明かりにもならんぞ!」

「視力まで落ちてるとは……神の座を降りたらどうだ?」

「ぬかせ!」


 ポルカが『極大炎球魔法(アポカリプスバースト)』に手を向けると、一瞬で消え去る。

 だが気を逸らせたことでこちらの“書き直し”は完了だ。


「『魂装幻夢(ファンタズムヴェール)瘴気(ミアズマ)!』」

「……不快! 汚らわしい!」


 見えない特濃の瘴気はお気に召さなかったようで、周囲ごと見えない瘴気を消し去られる。


「我自らゴミは処分してやろう! 『神の大いなる千の慈悲サウザンド・ミゼリコルディア』」


 巨大な手の平が――やつの言葉通りなら1000の手が、俺をめがけて飛んでくる。

 権能の範囲を手に集中させることでより効果的なのだろう。

 これに触れるとさすがにまずそうだ。


「『絶対防御・不壊(ふえ)』」


 『不壊』の概念を刻んだ障壁が千手を阻む。

 止まったところから存在を解析し、『万象崩壊(オールブレイク)』に組み込んで崩壊させていく。


「ほう? これを防ぐか。ならば――『神が導く百の言葉ハンドレッド・オラクル』」

「――むっ」


 100の口が現れ、不気味な合唱が始まる。

 障壁を超えて耳から侵入する呪詛が、再び俺を書き換えようとするが――。

 これは効かない。

 

「あいにく歌は間に合ってる。お前よりもかわいらしい天使が近くにいてな」

「“歌”か。ならば――」

「次は俺の番だ。こい、ゼファウルゴス・MK-Ⅲ(マーク・スリー)


 “武”との戦いを経て強化された俺のゴーレム、その数10体。


「ほう、ちょうどいい。我も呼ぼう。『十の神罰騎士(テン・セインツ)』」


 ポルカの呼び出した白銀の騎士たちとMK-Ⅲ(マーク・スリー)たちが激突する。

 『絶縁黒鉱』の機体が消滅し、白銀の鎧が崩壊する。

 数はたまたまだろうが……全て同時に消滅してしまった。


「……ルシアン・エヴァーハートよ、そろそろ終わりにしようではないか」

「……そうだな。おばあちゃんの相手はもう飽きた」


 一瞬の静寂。


「…………」

「…………」


 そして――。


「『我、唯一神(ザ・ワン)』」

「『加速(ブースト)』」

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


いよいよ最終決戦!


明日の投稿は

18時30分頃

20時10分頃

20時40分頃

となります!

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