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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第8章 神敵、『否定を否定』する

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第76話 【悲報】色とりどりの夏野菜は、女神さまのお気に召さなかったようです


 ――天界にて。


「…………」


 女神ポルカ=トラムの目の前には、“畏れ”のシンセイヴが震えながら膝を付いていた。


「も、申し上げます……ポルカ=トラム様……」

「…………」

「こ、此度の“神敵”討伐の任ですが……その……」

「…………」

「し、“神敵”の卑劣な罠によって……」

「…………」


 続く言葉などわかっている。

 既に女神の頭の中では、この“失敗作”をどう処分するか考えていた。


「……敗走を余儀なくされ……ました……」

「…………」


 右手を上げて“畏れ”を消そうとしたその時、ようやく女神は気が付いた。

 “畏れ”の背後にいる、(みにく)い存在を。


「なぜ“殲滅(せんめつ)”共がこの場にいる」

「は? それはもちろん、我々と同じく天上の民、その一員ですから!」


 先ほどまで震えてばかりいた“畏れ”が、まるで別人のようにハキハキと告げる。

 その表情には笑みすら浮かんでいた。


「……“殲滅(せんめつ)”のようなゴミをこの場に連れてくるなと言っていたはずだが?」


 普段の冷たい視線や言葉とは異なり、実際に物理的な破壊を伴う魔力を込めながら“畏れ”を睨みつける。

 美しく整えられていた部屋の装飾は砕け、絹の様に白い床には亀裂が入る。


 しかし、“畏れ”はどこ吹く風とでも言うように……逆に笑みを深めて続けた。


「我々は――ふふふ! ポルカ=トラム様、我々は! あなたへのお土産なのです! ふふふふ!」

「は……?」

「ご覧ください! このトマト! 真っ赤に熟しててとてもおいしそうでしょう!」

「……なぜ……?」


 いつの間にか、“畏れ”の手の上にはトマトが乗っていた。

 それだけではない。

 “殲滅(せんめつ)”たちの手にはキュウリやナス、そしてゴーヤなどの野菜が。


「…………」

「『せっかく採れたが……俺たちの口には合わなかった。せっかくだから貰ってくれ』だそうですよ! いやぁー、ははは! ルシアン様は気前がいいですなぁ!」

「何を……」

「ああ……ルシアン様、あの方は……あの方こそが真の救い……うふふふ、あはははは!」


 “畏れ”の顔は最早笑顔を通り越し、あたかも慈愛に満ちた主君に仕える忠実な部下のような、恍惚とした表情を浮かべていた。

 その対象は当然、女神ではなかった。


「……貴様――」

「さささ、どうぞどうぞ――おや?」


 “畏れ”が手にしたトマトを差し出そうとしたその瞬間、全ての野菜が弾け飛んだ。

 真っ赤な汁が、青臭い匂いが、鼻を突く苦い汁と実の破片が、女神の部屋をこれでもかと汚す。

 そして、あろうことか――


「……き……さまぁ……!」

「やや! ポルカ=トラムの顔に飛び散ってしまいましたねぇ! うぷぷ! いつも澄ました顔が真っ赤になって――あーっはっはっ! ですがさすが女神! 真っ赤になってもお美しい! お似合いで――」

「死ね」

「ひゃぶっ!?」


 しかし、女神が“畏れ”を消す前に――“畏れ”の頭が弾け飛んだ。

 その様は先ほどの野菜同様、女神の顔に真っ赤な化粧を施す。


「あびゃ」

「ぐえ」

「おぼっ」


 “畏れ”の爆発を合図に、“殲滅(せんめつ)天使”たちも同様に弾け飛ぶ。

 否、この場にいない、『彼の世界に許可なく足を踏み入れた者』たちが一斉に爆発していた。


 ルシアンが用意した、本物の“お土産”だった。


「……おのれ……」


 目を血走らせ、血が出るほど歯を噛み、手を震わせながら……実に1万年ぶりに、女神が大声を上げた。


「おのれ! ルシアン・エヴァーハート……許さぬッ! 絶対に許さんっ!!!」


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿はお休みです!


次話の投稿は

29日20時10分頃

となります!


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