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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第8章 神敵、『否定を否定』する

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第73話 【悲報】大天使による解析が終わった結果、“畏れ”と“武”が結ばれたようです


 ――天界にて。


 澄みきった空気のように、清らかな温もりを運ぶ風のように。

 天頂から降り注ぐ光のような朗らかさをもって、大天使の女性、“魔法”のクレズマーがポルカ=トラムの元へと訪れた。


「ポルカ=トラム様……解析が……終わり、ました……!」

「……そうか」


 髪を弄ることをやめず、全く興味がないことを声に込める。

 しかしクレズマーはそれにもかかわらず、自身の解析結果を嬉々として報告する。


「まず見てください!本来自我を持たないはずの下級天使ですが、わざわざそこの機能を作り出して魂と結合させているんです!うわぁ、何度見てもきれいな術式だなぁ~!しかも事前に下されていた『ルシアンを見つけ出せ』という命令を敢えて土台としてそのまま『人を見つけ、映像を流せ』という命令に書き換えているんですよ参りましたね、完全にポルカ=トラム様の創造能力を超えちゃってますよぉ(あ、これ言ったら怒られちゃうかも)さらにさらにこの天使の顔を見て何か気が付きませんか!?そうですそうなんです顔が丸っこくなっているんですただただきれいな顔をしているだけでは冷たい印象を持たれると人間の中では言われてると耳に挟んだことがあるのですがきっとそれを解消するために――」

「……長い」


 魔術のことになると早口で喋り出す“魔法”に対し、ポルカ=トラムは心底うんざりしていた。

 何よりも、女神をもってしても聞き取れないほどの早口に。


「あ……す、すみま……しぇん……」

「……要点だけを言え」

「……爆発します!」

「…………」


 1か100しか言わない“魔法”に、やはり“畏れ”ともども滅ぼすべきかと女神の思考が傾きかけた頃。

 “畏れ”が息も絶え絶えになりながらポルカ=トラムのところに駆け寄ってきた。


「はぁー! はぁー! し、失礼しますポルカ=トラム様! ふぅー……」

「……よい」

「クレズマー! 何度言えばわかる! 貴様が調べたことは我が代わりに話すと! あとは私が報告する。いいな!」


 俯きながら、“畏れ”にその場を譲るクレズマー。

 そしてクレズマーの報告書を必死に読み込んでいた“畏れ”が代わりに説明する。


「失礼しました、ポルカ=トラム様。既に報告をお受けしたかと思いますが、遂に“神敵”の居場所を突き止めました!」

「ほう?」

「奴の行使した魔法の痕跡を辿った結果……奴は別の次元に引きこもっているようです!」

「……ふむ」


 魔法を使えば、使用者の魔力が痕になって残る。

 その魔力を辿り、ようやく居場所を突き止めたのだった。


「ポルカ=トラム様! 我に“殲滅(せんめつ)天使”たちの指揮権をいただけますでしょうか! 必ずや“神敵”の首をお届けいたします!」

「よかろう」


 ようやく使えないクズどもが役に立ったかと、ポルカ=トラムの顔に笑みが浮かぶ。


「だが、首はいらん。この世界、全ての次元から奴を消滅しろ」

「はっ! いくぞクレズマー!」


 (きびす)を返し、女神の前から離れる2人。

 しばらく進んだ後、思い出したように“魔法”が声をかける。


「あ、待ってシンセイヴ」

「何だ?」

「この紐、引っ張ってみて……」

「紐?」


 下級天使の背中から出ている紐。

 それは、ルシアンが残した魔術式の一部を消すためにクレズマーが施した細工だった。


「よくわからんが引けばいいんだな? それ――んなぁぁっ!?」


 その瞬間、ルシアンが施した魔法陣――最後の罠が起動する。

 それは、魔術式を消した者に映像の中のゴブリンを体験させる精神魔法だった。


「やめろ――くっ!? サザロック! お前の気持ちは嬉しい――んがぁっ!? お前の、お前のどろりとした熱い気持ちが体内に――らめぇぇ!? 激しっ! 突かないでぇぇぇ!?」

「あー……自分で消さなくて……よかった」


 何が起こるかわからないまでも、よくないことが起こることは理解していたクレズマーだった。




 ◇◇◇◇◇◇


「はぁ~……戦いに行くの、やだなぁ~……」


 クレズマーの目の前には、先ほどポルカ=トラムの前に連れて行った下級天使。


「……きれいな魔法陣……魔術式……ふふ、きっと誠実でまじめな人なんだろうなぁ~……」


 彼女が解析して知ったこと。それは、いかに洗練された魔術の痕跡だったかということ。

 魔術に対する敬意を、畏れを、感謝を、誇りを、愛すら感じていた。


「きっと……わざとだろうなぁ~……」


 こんなにも魔術に精通している存在が、その痕跡を残すはずがない。

 なぜそれがわかるか。彼女自身も同じように魔術に向き合ってきたからだ。


「“殲滅(せんめつ)天使”、怖いからけちょんけちょんにしちゃって欲しいな! うふふ!」


 笑いながらも、その目からは涙がこぼれ始めていた。


「いっぱいお話……してみたいなぁ……魔法のこと……たくさん、たくさん……」




 しかしこの大天使は知らなかった。

 ルシアンが、魔術を愛する者を見捨てるはずがないと。


 そして……誠実でまじめではないということを。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿は

20時10分頃

となります!

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