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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第8章 神敵、『否定を否定』する

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第71話 【悲報】悪魔のような天使の醜態が世界中にばらまかれた結果、女神さまがプンプンしちゃったようですぅ~~~!


「……ポルカ=トラム様……」

「……何だ?」


 温かく優しい光の下気だるげに髪の毛を弄っていたこの世界の主ポルカ=トラム。


 彼女の元に、かつてないほど昏い顔をした“畏れ”のシンセイヴが訪れた。

 神聖な雲の上を歩いているはずなのに、まるで汚泥の中を這っているかのような足取りだった。


「……ご覧いただきたい……物が……」

「何だ。我は忙しい」

「その……“神敵”に関することで……」

「……彼奴(きゃつ)のことは貴様らに一任したはずだが」


 凍てつく冷気よりもなお冷たい主神の声に、思わず消滅を覚悟した“畏れ”のシンセイヴだったが、彼の忠誠心はどうにかその恐怖に打ち勝てた。

 なぜなら、更なる叱責がこの後に待ち受けていることを知っていたからだ。


「申し訳ございません。しかし……ポルカ=トラム様にもお伝えしなければと……」

「……わかった。それで? 後ろの下級天使が関係しているのか?」

「……はい。これは“神敵”が人間にメッセージを伝えるために利用した天使です……」


 “畏れ”のシンセイヴが連れていたのは、ルシアンが改造を施した天使だった。

 かつては虚ろだったその目は、何かを探すようにキョロキョロしている。


「……再生しろ」

「ようやく出番ですね! では再生します! あー、あー……こほん。ピッカー!」


 陽気な天使の言葉に対し、鬱陶(うっとう)しそうに目を細めたポルカ=トラムだったが、その目をさらに細めることになる。


「……これは……我々がソニプロフェン王国の王と会話した時の様子です……」

「…………」


 そこには一部始終が――シンセイヴが人間の国を『餌』だと表現したこと、そしてサザロックが女を犯すと宣言している場面が写っていた。


「…………」

「どう? どう? 気になっちゃう!? 気になっちゃうでしょ! この後ポルカ=トラム様1番の配下の大天使様がどうするか! うふふ! ではでは、続きをどうぞぉ~!」


 場面の切り替えを伝える下級天使のマヌケな言葉に、ポルカ=トラムの目は限界まで閉じられる。

 だが次の瞬間、映し出された映像に目を限界まで見開いた。


 それは王国を蹂躙(じゅうりん)している……と思い込み、数多の天使がゴブリンを強姦している映像だったからだ。

 彼女が唯一と言っていいほど顔と名前を把握している大天使の1人、“武の権能大天使”サザロックまで同じことをしている。


 そして彼が絶頂を迎えると同時にマヌケな顔を晒したところで、映像は終わった。


「…………」

「どう? どう? 衝撃的な場面でしょ! これが僕らの本当の姿なんだよぉ~! うふふ! でもでも安心してね! 今大天使とポルカ=トラムをやっつけるために~、ルシアンっていうイケメン魔術師――」

「…………」


 下級天使の言葉を最後まで待たず、ポルカ=トラムが権能を行使して消滅させる。

 彼女が指先をわずかに動かしただけで、天使の存在そのものが音もなく、光の塵にすらならず『無』へと帰した。


 一方の“畏れ”のシンセイヴは、自分も消されると思い身構える。


「…………」

「……ポ、ポルカ=トラム様……」

「……ふぅー……」


 どうやら今すぐ消されることはなさそうだと、肩の力を抜く。

 しかしその甘い考えごと魂を凍らせるように、ポルカ=トラムの視線が彼を貫いた。


 神の瞳に宿った、怒りですらない……『廃棄処分を検討する無機質な光』の冷たさが。


「……我の唯一の失敗は、貴様らを造ったことのようだ……」

「も、申し訳ございません!!!」

「……特に、サザロックの奴は……“神敵”が消さなければ、我自ら消していただろう……」

「そ、その通りでございます! サザロックのせいで……天界の神聖さが下等なゴブリンなどに汚され――」

「……何を言っている?」

「は……はい?」


 “畏れ”としても、サザロックの行動には同意しかねるところがあったのは事実だった。

 それ故に、ポルカ=トラムから帰ってきた言葉の意味するところが理解できなかった。


「サザロックを止めなかったそなたも同じであろう?」

「は、はい……その通り……です」


 納得できなかった。納得できなかったが……それでも頷くしかなかった。

 自分に突き刺さる冷たいプレッシャーの前には、自身のプライドなど些細なものでしかないと。


 自身の価値が最底辺まで落ちたことを理解し、だからこそ“畏れ”は前を向いた。


「ただいま、“魔法”のクレズマーが下級天使の解析を行っております! “神敵”の魔力の痕跡を見つけ、それを追跡して奴の居場所を突き止めるため!」

「……“魔法”か。最も期待していなかった造物が、今や1番頼りになるようだな……」

「……はい!」


 ポルカ=トラムにとって、魔法は概念操作の下位存在でしかない。

 少しの興味と消去法で選んだ“魔法”だった。


「しばしお待ちください! 必ずや……必ずや私“畏れ”のシンセイヴと“魔法”のクレズマーが“神敵”の首を持ち帰ります!」

「……そうしろ。消されたくなければな」

「はっ!!!」




 “痕跡”がルシアンが仕掛けた罠とも知らず。

 “畏れ”の消滅、そのカウントダウンが始まった。

 

 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿は

20時10分頃

となります!

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