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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第8章 神敵、『否定を否定』する

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第70話 王都を癒す天使の歌声と、念願の母娘丼


 ――翌日。 


 『戦いで傷ついた人たちをわらわの歌で癒すのであーる!』との大天使の言葉を受け、仕方がなくソニプロフェン王国へ。

 チャチャとコアちゃんだけを連れ、ちょっとした慰問(いもん)だ。


「(ん~……人的被害はないと思うけど、建物はめちゃくちゃね~……)」

「(そうだな)」


 ミラの言葉通り、傷のない建物は1つもなく王都はかつての面影が全く残っていない。


「むむむー! やーっぱり、わらわの思った通りであーる! 人々の嘆き悲しむ声が――」

「ふんはぁっ!!!」


 チャチャの声をかき消すように、老婆が瓦礫(がれき)を粉砕する声が。


「ええ~……」

「おやお嬢ちゃん。ムチムチしているが……ちょいと筋肉が足りないんじゃないかい?」

「……むー!」

「見てごらんよ! この筋肉を……オラァァァ!!!」

「ひぃっ!?」


 半分ほど崩壊していた民家の壁、それを根元から引っこ抜く老婆。


「解析:データにある、にんげんのげんかい……300%こえている」

「(……やりすぎたね)」

「(……神の言う『あるべき姿』を突き詰めた結果だ)」

「(そうだけどさっ! あんなおばあちゃんまでオーガみたいな体になってるよ!?)」


 老人に活力が(みなぎ)っているのは、平和な証拠である。


「だが……チャチャの言う通り、お前の歌も必要のようだな」

「ふぇ? あ、あれは……」


 町の広場に、コアちゃんくらいの子どもたちがたくさん集まっている。

 大人たちは街の復興に忙しいようで……子どもたちは暗い顔で暇をつぶしているようだ。


「こうしてはいられないのであーる! 早速――あれ? 『美少女歌姫聖奏隊』は!?」


 自己愛が強い。


「お前の『召喚』の声で呼び出せるぞ」

「わぁ! さすがルシたま! 『召喚、美少女歌姫聖奏隊』なのであーる!」


 チャチャの呼び声に応じ……華やかな衣装に身を包んだチャチャ・ゴーレムたちが現れた。

 いつのまにこんな着飾っていたんだか。


「(ロルウェンナと楽しそうに作ってたよぉ~!)」

「(なるほど、ロルウェンナか)」


 確かに彼女の手腕なら納得だ。

 マールの巫女服に施した金色の蝶を見ればわかる。


「むむ!? この黒い箱はなぁに? ……7個もあるよ?」

「それは『音響拡声器』だ。特定の魂の持ち主――まぁ、それぞれ発する音を大きくするための専用装置だな」

「わぁ! ルシたま大好き――じゃなかった、嬉しいのであーる!」

「(チョロ)」


 隠されたギミック――有事の際は広範囲殲滅(せんめつ)用決戦兵器となることは黙っておこう。


「さて、俺は野暮用を済ませてくる。コアちゃんもここで待っていろ」

「らららるぅ~~~♪ あ、行ってらっしゃい!」

「承諾:はやくもどってきて」


 嬉しそうに音響の確認をしているチャチャと、それをジッと見つめているコアちゃんを置いて王城へ。

 長い階段を登った先に、町の建物程とは言えないまでもところどころ崩れた王城が見えた。

 重い扉を開けて中に入ると……王女セシリィが玉座に座っていた。


「あ、ルシアンじゃーん。この度は、ありがとうございます」

「おいおい、王族がそんな簡単に頭を下げていいのか?」

「その王族のこと、3日前に会った時抱いたくせにー。母娘丼で」

「(は?)」


 しまった。まずい。なぜ俺は記憶を消しておかなかった?

 セシリィのことを信じすぎていたのか? こいつは言いふらさないと?

 そんな訳がない、こいつは絶対に言いふらすじゃないか。今みたいに。


 いや過去の失敗は今は捨て置け。俺には立ち向かわなければいけない最強の嫁がいるのだから――。


「(被告人、死刑)」

「(待て! 弁明を――)」

「(許しません。くらえー! 無限羽叩きーーー!!!)」


 痛――くはないが、くすぐったくて鬱陶(うっとう)しい羽の乱打が顔面を襲う。

 目に羽が当たるし、鼻がムズムズする。全体的にかゆい。

 これが……ミラが飽きるまで続くのだ。地味に辛い。


「聞いたぞ。王を排して実権を握ったと」

「そうそう。ルシアンから貰ったお薬を飲んだ兵士たちが頑張ってくれたー」

「力になれたようで。どうだ、お祝いに王城を修復してやろうか?」

「んー……王都全部直してくれるなら、ついでにお願いしてもいい?」


 やれやれ、仕方がない。


「――ほれ、直したぞ」


 指をパチンと鳴らす。

 ここにいる限りわかりにくいが、王都全体の建物は元通りになっているはずだ。


「ありがとー。ついでに、私の功績にしてもいい?」

「構わん。俺との関係を結んでいたのは間違いなくお前の功績だしな」

「……だよね、未来の夫さん」

「…………」

「まさか、一国の女王に手を出して……逃げるなんて、ダメだよ?」

「……ダメと言われたら……いや……」

「(むっきー! あの女ぁっ!!!)」

 

 なぜだろう、敗北感。


「……それじゃあ、俺は行くぞ。連れを待たせてる」

「……また来てくれる?」

「ああ。お前が呼べば、必ず」

「……んふ。次来てくれるまでに、この国を立派に立て直すよ」


 (きびす)を返し、無言で手を上げて返事をする。


「(腹立つ! 腹立つ! 腹立つ!)」

「(…………)」


 八つ当たりの様に続けられる、無限の羽叩きを受けながら……。

 おっと、大事なことを忘れていた。


「セシリィ、今回の戦いで出た天使の体を貰いたいのだが」

「え? いいよー。正直困ってたんだよねー」


 死体を放っておくと病の元になるからな。それは天使でも例外ではない。


「……今度は何企んでんの?」

「ふっ。お前にも見せただろう? 王と大天使のやり取りの記録」

「あーね。我が父親ながら、さいってーだったわ」


 そう、セシリィがクーデターを決意するほど、アイリスすら王を見捨てるほど失望させるほどの大天使とのやり取り。

 天使の体を媒体に、映像と声が流れるように“書き換え”て――。


「くくく……それを、天使の体を使って世界中にばらまくのさ」

「わーお。エグいことすんねー」


 ついでにサザロックの熱烈なゴブリンを愛するシーンも入れてやろう。信仰心が失われれば、やつらも困るだろうしな。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿は

20時10分頃

となります!

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