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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第7章 神敵、世界を創造する

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第64話 芽吹く世界樹の苗木と、慈しみの心


「の、乗り心地は……いかがでしょうか」

「結論:わるくない」


 根負けし、コアちゃんをその背に乗せたグランタイガーの後について森の奥を進む。

 フロラディーネはマールを追いかけて行ったし、残りのウッドトロルは黙々と後ろを付いてきているだけ。


 このまま順調にいけばいいが……。


「わっはっはっはー! お前の血は何色だー!? その(つる)の下には何が隠れてるんだー!」

「やめっ……これ以上は……死んじゃう……!」

「大丈夫だぞ! 死んでもルシアンが治してくれるぞ! 安心して実験台にされるがいい!」


 ダメそうだ。

 前方から、いかにも拷問しているだろうマールの声が聞こえてくる。


「マールさん!? その方……もうほとんど人間の体だけじゃないですか!?」

「おお、アイリス! 遅かったなっ!」

「ええ、遅すぎましたとも! かわいそうに……」


 アイリスの懇願するような目に応えるように、フロラディーネを回復してやる。

 まったく……命を粗末にするとはけしからん。


「(あんたに似たのよ! さっきまでもっとひどいことしてたじゃない!)」

「(…………)」


 さて、フロラディーネのケガも治ったようだし先に向かうか。


「何だルシアン、実験はダメか?」

「こいつら世界樹まで案内してくれるんだと。歯向かってこないなら、見逃してやろう」

「そうだな! 歯向かってこないならな! わっはっは!」

「ははは!」

「(やってることが暴君だわ……)」


 わかってはいるが……どうしようもない。

 俺だけでなくマールまでもが同じことをしていたとは……もう笑ってごまかすしかない。


「へ、へへ……」

「要望:ふるえるな」


 グランタイガーが何かを思い出したかのようにガクガクと震えながら進み始めた。

 その後ろで黙ってばかりのウッドトロルだったが……ようやくその口を開いた。


「人間よ……」

「ん?」

「……世界樹を手に入れ、何を望む?」

「ふむ……」


 このトロル、見た目はいかにもマヌケそうだが……虎や植物人間よりもさらに知性を感じるな。

 ここはごまかさずに伝えておくか。


「正直に言おう。俺の世界を守護するガーディアンを造るための素材に使う」

「守るため、か……」

「ついでに植樹する」

「……ん?」

「植樹して、俺の世界にいる人たちに恩恵を分けてもらうつもりだ」

「……なんと……」


 正直に答え過ぎたか。まあいい、邪魔をするなら――。


「着きましたよ」

「ん? おお、これが世界樹か……立派な木だ。生命力も内包する魔素も桁違いに大きい」


 考え事をしていたため気が付かなかったが……目の前には視界いっぱいに広がる巨大な幹。

 見上げれば生命力に富んだ青々と茂る葉。


「……人間よ、望むのは世界樹の苗木だったな」

「ん?」


 ウッドトロルが会話を続ける。

 後ろを見ると、フロラディーネや虎がウッドトロルに頭を下げている。


 どうやら、このウッドトロルが世界樹の番人だったようだ。


「くれるのか?」

「ああ。私の姿を見て侮らないほどの知性のある人間は久しぶりだ。苗木を渡すことは構わない」


 随分太っ腹だ。しかし裏がありそうだな。


「その心は?」

「世界樹は……苗木までは、種の持つ生命力で問題なく育つ。しかしそれ以上は、生命力と魔素が潤沢(じゅんたく)にある場所でないと育たんのだ」

「なるほど、手に入れたとて育てられるかは別と言うことか」


 だが、問題なさそうである。“狭間の世界”は魔界から拝借した魔素が潤沢(じゅんたく)にあるからな。


「責任をもって立派な世界樹に育てると誓おう」

「……であれば、何も言うまい。いくつ必要だ?」

「1つで十分だが……」

「……それだけでいいのか? 苗木は……たくさんあるが」


 何だ、やけに押し付けたがるな。

 貴重な世界樹ではなかったのだろうか。


「(家庭菜園経験者のミラちゃんにはわかるよ! せっかく芽吹いたのに、育てられる環境がないからもったいないんだ!)」

「(……なるほど?)」


 ミラの言うことはいまいちわからんが、要は苗木は余ってるということか。


「ならば3つほど貰おう」

「……わかった」


 心なしか嬉しそうに、苗木を取りに向かっているウッドトロル。

 まあ……貰えるものはありがたく貰っておくに越したことはないな。


「持ってきたぞ。今は成長が止まって休眠中だが……植えてしばらくすれば育ち始める……はずだ」

「わかった。何から何まですまないな」

「構わない。我の弟や妹を……頼むぞ」


 そう言うと……ウッドトロルは光の粒子となり、世界樹に飲み込まれていった。




 ◇◇◇◇◇◇


「さて、埋めるぞ」

「懇願:まかせろ」


 コアちゃんの手には、子ども用のスコップがしっかり握りしめられている。

 場所は……以前コアちゃんがダンジョンを掘ろうとしていたところだ。


 その時は1時間ほどで作業をやめてしまい……既に数日が経過している。

 本人曰く、『ちょっと、きゅうけいちゅう』とのことだったが……ちょうどいい穴があるのを使わない手はない。あと5倍は掘らないといけないが。


「ここに埋めていいな?」

「同意:ダンジョンよりも、えいえんのいのち」

「……そうか」


 永遠の命は既に手にしているようなものなのだが……今回は植物を育てることで慈しみの心を養うことが目的だ。

 ということで、貰った苗木のうち1つはここ――家の裏に植えることに。


「(どんどん親ばかが加速する……!)」

「(ミラもだろう?)」

「(……ちょっとだけね!)」


 ミラは以前、コアちゃんを妹みたいなものと言っていたが……まあ似たようなものだろう。


「解析:つ……かれ……た……」

「よし、変わろう」

「懇願:…………」


 既に喋ることもできないコアちゃんに代わり、サクサク掘る。

 たまには魔法を使わない作業も悪くはない。


「……よし、このくらいでいいだろう」

「同意:いよいよ……!」

「ああ。永遠の命、その第1歩だ!」


 掘った穴に苗木を置き、土を被せる。

 その瞬間、まるで感謝と喜びを伝えるかのように苗木が淡く光り出した。


「ふわぁ~……」

「コアちゃんよ、植物には水が必要だ。これから毎日あげられるか?」

「同意:できる!」


 よしよし、順調だ。

 無表情ながらも、どこか楽しそうに水をあげるコアちゃんの頭を撫でる。


「疑問:いつおおきくなる?」

「ん? そうだな……100年後くらいか?」

「……たのしみ」


 しゃがみこんでジッと世界樹の苗木を見つめ始めるコアちゃん。


「(ふふふ、かわいいね)」

「(……あの熱意が、今度はいつまでもつかな)」

「(またそんなこと言って!)」




 しかし俺は甘かった。

 これからことあるごとに、『100ねん、たった?』と聞かれることになるとは……。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿は

20時10分頃

となります!

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