表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第5章 小さな胸に抱きし愛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/61

第52話 100年越しの共同作業と、王都を包む光


 ――1週間後。


 少し間が開いたのは、目の前に広がる美しい援軍を待つためだった。


「ルシアン殿、我ら『ユリエル』の民……必ずや恩に報います」

「助かる。わざわざすまないな、ユリエナ」

「……いえ。将来の夫のためですから」

「むっきー!(むっきー!)」


 リエラの呼びかけに応じて集まったエルフたち。

 その数総勢1000人。コアちゃん作、以前渡した『劣化版お手軽誰でも邪神討伐装備』と今回の『お手軽誰でも魔人化解除セット』を携えている。


「まず俺たちが王都に突入して瘴気をあらかた浄化する。その後はエルフの戦士たちに来てもらい、魔人化した人間を浄化してもらう。今はモンスターとはいえ、元々は罪のないこの国の民だ。なるべく傷つけないように頼む」

「もちろんです!」


 基本的に彼女たちは魔人の浄化と捕獲を優先し、マールたちはその他のモンスターがいれば討伐に当たることになっている。

 残念ながら、俺は新技の制御に集中するため、ほとんど動くことはできないだろう。


「ルシアン様の近くにある魔法陣の中に入れれば……公爵邸――聖女様の所にある『マール人形』と入れ替わる、ということですね……?」

「そうだ。この魔法の発案者に敬意を表した、見た目にもかわいいマール人形だ」

「素晴らしい魔法です……しかし、マール殿が恥ずかしそうにしてますが……」


 そんなところもかわいらしいだろう。


「よし、準備はいいか?」

「もちろんです」

「はい!」

「任せろ!」

「結論:いける」

「(ミラちゃんに、まっかせなさーい!)」


 リエラ、アイリス、マール、コアちゃん、そしてミラ。

 力強い返事と瞳を受け取り、いざ瘴気に覆われるソニプロフェン王国王都へ。


「行くぞ!」


 結界を展開し、ひたすら王都の中心を目指す。

 途中、元人間の魔人や高ランクの『カース・フェンリル』などの高位モンスターを見かけるが、今は無視だ。


「この辺でいいだろう」


 王城が目の前に見える、王都の中心。


「頼むぞ――ミラ、『人神換装(キャスト・オン)』!」


 人々を蝕む絶望を払うように、長い銀髪が光を反射する。その深い漆黒の瞳は、絶望などに負けない強さを秘めている。

 最愛にして、最も信頼しているパートナー、ミラ。


「行くわよぉー! 魔素よ! 命の源たる魔素よ! 私の求めに応じよ! (ことわり)を否定して全てを覆せ! 存在の反転、闇を光へ! 『万象反転(リバースワールド)瘴魔転生(ミアズマジック)』!!!」


 かつて『退廃の(かいな)』の瘴気を吸収し魔石へと変換した大技。

 それを人化したミラが行使する。


「来るぞ! 魔人とカース種の大群だ!」


 その魔力に魅かれ、王都中のモンスターが殺到する。

 殺してはいけない、と言うのが面倒だ。


「ガルォォォオオオーーーンッ!!!」

「ルシアン様にお見せするんだ! はっ、とっ、やっ――はぁっ!」


 迫りくるカース・フェンリルを、空中ジャンプを交えて翻弄したアイリスが叩き斬る。

 彼女の成長が誇らしい。


「魔人は任せてちょうだい。氷柱、魂を凍らせて――『アイスバインド』」


 リエラによる魔法で、魔人の下半身を拘束する氷が出現する。

 相変わらず頼りになるやつだ。


「わっはっはっ! こうも実験台がいっぱいだと嬉しいなぁ! 『ウインド・転移』」


 マールはモンスターの首に風を送り込み、内部から破裂させている。時々失敗しているが……なかなかえげつない。

 常に前を見ている彼女が、間違いなく必要だ。


「懇願:まもれ……ぶくぶく……」

「よしよし」


 コアちゃんはふるえながら必死にしがみついている。

 そして俺はコアちゃんを撫でる。


 完璧な連携の元、少しずつ瘴気は晴れ、順調にモンスターの数が減っていく。


「ルシアン様!? 魔人が多すぎて無理なんですけど!?」

「モンスターも多くて――きゃっ!?」

「…………」


 なかなかうまくいかないな。


「見つけたぞ!」

「あれが魔人!? 本当に人なの!?」

「2足歩行の奴は魔人だ! 多分!」


 どのように料理しようか考えていると、エルフたち――ユリエナ達の声が聞こえた。

 予定より早いな。


「早いじゃないか」

「この魔道具のおかげです! 試しに入ってみたら問題なかったので、予定より早く突入しました!」


 何事も実験してみる。いい心構えだ。


「魔法陣展開――『マール式転移』! その魔法陣に浄化した人間を放り込め! 多少のケガは向こうの聖女が治す!」

「了解です!」


 打ち合わせ通り、エルフたちが片っ端から人間を浄化し、魔法陣に突っ込み始める。

 助けられたものは軒並み意識を失っているが……転移した先でロルウェンナ率いる冒険者たちやラビラビィ、王国の人間が介抱しているはずだ。


 しかし、想定外のことが再び起こってしまう。


「くっ……マール人形が……!」


 人間と入れ替えに転移してきたマール人形が溢れ、魔法陣を塞ぎ始めてしまう。

 一体どうすれば……!


「……くっ! このままでは転移が……!」

「困惑:どうしたの?」

「あの魔法陣を塞いでいる人形をどうにかどけなければ……いや、ついでに『自立型モンスター迎撃魔道具』にすることができれば……!」

「考察:……できれば?」

「とても……嬉しい……!」

「結論:まかせて!」


 これが、子の成長を喜ぶ親の気持ち……!

 コアちゃんが恐る恐る魔法陣に近づいて、マール人形に触れる。

 するとマール人形がこぞって『カース種』の元へ飛んで行って――自爆した。


「結論:むふっ」

「……すごいぞコアちゃん!」

「懇願:なでろ」


 マール人形よ、さらば。


「(随分余裕ね! こっちは大変だって言うのに!)」


 ミラへと視線を向けると、笑いながらも冷汗を流している。

 術の制御に精一杯なようだ。


「……人間の転移は落ち着いたな。ミラ、一緒にやろう」

「あら、共同作業? まだちょっと早いんじゃないかしら!」

「いじわる言うな。100年以上待ちくたびれてる」

「……私もよ」


 軽口をたたきながら、ミラの横に立ち、魔法陣に手を伸ばす。


「「『万象反転(リバースワールド)瘴魔転生(ミアズマジック)』」」


 俺とミラ、2人の魔力の色が混ざり合って、王都の空を塗り替えていく


「いっけぇぇぇーーー!!!」


 やがて――。


「ふぅ、これでどうよ!」

「ああ、やったな」


 王都の空に、再び青空が戻った。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

20時10分頃

となります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ