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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第4章 ささやかな胸に去来する願い

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第45話 復活した邪神と、復活した悪しき風習


「解析:悲しい感情……リエラ、ひどいこと、された……けど、ルシアンが、いた。よかった」


 無機質な声のまま、コアちゃんがリエラの服の裾をぎゅっと握る。

 感情を学ぼうとしている彼女なりの、精一杯の慰めなのだろう。


「結論:だけどやっぱり、ルシアンは、じゃしん」

「(いや、今のいい話の流れでそうなる!?)」

「結論:……あったかい、じゃしん」

「(――コアちゃんっ!)」


 一応言っておくが、俺は人間だ。


「ふふふ、そうね。『もう誰にも傷つけさせん』とか言いながら……100年も待たせる、悪い邪神よね」

「同意:わたしもひどいめに……ぶくぶく……」

「あら? こんなかわいい子まで……ルシアン様ったら……」

「(多分リエラが思ってる1兆倍はひどいことだったけどね……)」


 俺も学んだ。

 今度から実験の時は事前に説明しようと思う。


「さて……本当は私も行こうかと思ったのだけど、やめておきます」

「む?」


 実はリエラを誘うつもりだったのだ。久しぶりの里帰りでもどうかと思って。

 だが……それも見透かした上での返事だな。

 過去を振り返ったことで整理がついたのだろう。


「私はミュリエラ。あの里とはもう何の関係もない、ただあなたの女。まだ抱かれてないけど……」

「……そうか。それならそれでいい」

「(聞こえたよね? 最後の呟き聞こえたよね!? 許さないけど、無視するのもどうかと思うよ!)」


 ここにも複雑な感情があるぞ、コアちゃん。


「(その名も乙女心――やかましいわ!)」

「(なら心を読んで突っ込むな)」




 それから少し談笑した後、すっきりした顔のミュリエラに見送られて宿に向かった。




 ◇◇◇◇◇◇


 ――数日後。


「懐かしいな」

「何だか暗い森ですね」


 ユリエナの故郷であるエルフの里、その森の入口にて彼女を待つ。


「ふむ……確かに瘴気を感じるぞ! しかし……」


 マールにとっても馴染みの深い瘴気。

 確かに感じられるが、明らかに“弱い”。


「推論:これはじゃしんじゃない? じゃしんといっても、ルシアンじゃない」

「わかってるから。いや……邪神の気配は感じるんだがな……」


 邪神ではあると思われるが、普段のに比べると非常に弱い。

 かつての“左足”と同じ魔力波形は感じるが……まるで『使い古した残滓(ざんしょう)』か、『誰かの記憶を具現化』させた紛い物のようだ。


「ルシアン殿、お待たせしました」


 森の様子を観察していると、その奥からユリエナがやってきた。

 今回は最初から美しい女性の姿である。


 彼女に連れられ、森を進みながら改めて状況を聞く。


「実は……ルシアン殿が訪れたことのある里、それとは別にもう1つ里がありまして……」

「ん? 昔はなかったと思ったが」

「はい。元々の村『カツテナ』とは(たもと)を分けた新しい村『ユリエル』ができたのです」

「その名は……」

「はい。生贄(いけにえ)の風習を忘れず、同じ過ちは繰り返さないようにとの思いで、若い者たち中心で立ち上げた村です。私が一応族長の立場にあります」


 贖罪(しょくざい)のつもりか知らないが――いや、当時幼かったユリエナにそれを求めても仕方がないか。


「しかし大丈夫か? 確かあの村は古いとはいえ結界に守られていた。新しい村にも結界が?」

「はい、『カツテナ』にある里の秘宝。それには頼らず……というか頼れず、自分たちの力だけで何とかやってきたのですが……邪神が復活して……」


 ああ、ブルーセルミのときに『おもちゃ』に格下げされたやつか。

 若者が頑張ってるところに、邪神の奴め。


「あの時いただいた魔道具を活用させていただいていますし、喫緊(きっきん)の問題ではないのですが……」

「まあそれでも限度はあるからな」

「はい……」


 あの魔道具をユリエナ達だけで独占したわけでもないだろうし。


「ではもう1度邪神を倒せ、と言うことだな」

「いえ……そうしてもらえるのが1番かも知れませんが……」

「ん?」


 なにやら歯切れが悪い。

 海底で邪神を倒したのを見て、ここでもそれを頼もうとしたのかと思ったのだが。


「……実は、再び……」

「(あ、これ嫌な予感するわ)」


 同じく。


「……『カツテナ』の老人たちが、生贄(いけにえ)を要求してきまして……」

「(ほーら)」

「……相変わらずだな」


 本当に、救いようがないと言うかなんというか。


「結論:むいみ」

「そうだぞ! 結界に必要以上に魔力を注いでも、ちょっと頑丈になるだけだ!」

「許せませんね……!」


 普通の感性をしていたらそうなる。

 しかもマールが言うように、生贄(いけにえ)は邪神に捧げるものではなく、あくまで結界の魔力補充用にしかならない。


生贄(いけにえ)が必要など、迷信でしかないじゃないか」

「その通りなのですが、特にご老人方はその迷信を大事にしているのです……」

「そういうもんか。ならば老人たちの中から誰かをたてればいいのでは?」

「……若い者の方が効果的、と言うことで……」


 ああ、ようやくわかった。

 なぜ最初に里が2つあることを話したのか。


「(里の対立、それに駆り出されたわけだ)」

「(つまり、迷信好きのおじいさんたちを『どうにかして!』ってことね!)」


 めんどくさい以外の言葉が見つからない。


「はっきり言うが、めんどくさい。俺には関係ない。ついでに言えば、お前の姉のミュリエラと里も既に関係ない」

「……ですよね」


 だが、まあ仕方がない。


「……お前がミュリエラの妹でなければ帰っているところだ」

「ありがとう、ございます……ルシアン殿」


 こうなれば里の秘宝とやらはやはりいただくか。

 『カツテナ』の老人を根絶やしにするのなら必要がないだろう。


「……着きました。ここが『カツテナ』です」


 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

18時10分頃

20時10分頃

となります!

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