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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第1章 誇り高く上を向くもの

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第4話 銅貨2枚の蘇生術と、月の花


 『位相転移』を使い、死の森から数秒でライブラへと帰還する。

 治療したとはいえ、ロケット少女を急いで休ませてやる必要があるからだ。


「……あら、あなたは……」


 最初に受付をしてくれた女性が、俺を見て怪訝(けげん)な顔を浮かべている。


「確か依頼に向かったはず……」

「ああ、終わったよ。とりあえずこれが『死の森』にいたモンスターの魔石だ」

「――っ!? これは……こ、こんな……大きな……」


 カウンターの上に無造作に投げ出した黒い魔石。人の頭より少し大きいくらいだろうか。

 それを見た受付嬢の顔が驚きに染まり、言葉を失って金魚のように口をパクパクさせていた。


「(ふふん! ルシアンのすごさはこんなもんじゃないわ!)」

「(まあな)」


 この程度の魔石など大したものではないが、ミラも清々しているようでよかった。


「おいおいおいおい! 一体何を倒したってんだ!?」

「ドラゴンか何か……いずれにしろSランク以上じゃ……」

「な、なんだって……Fランクじゃなかったのかよあいつ……」

「お、俺……あいつに失礼なこと言っちゃった……」


 周辺にいた冒険者たちも騒ぎ始める。


「こんなことって……Fランクのソロが持ち帰っていい代物じゃないわよ……ギルドの予算が……」

「金貨100枚はくだらないんじゃ……?」

「うっそ! 私のお月給の……50倍!? ひょえー……」

「あんたさ、有望な冒険者に失礼なこと言っちゃってたけど……まずいんじゃない?」

「……あ……」


 最初の受付嬢以外の職員も集まり、魔石を眺めながら好き勝手言い始めた。

 しかし今はそれどころじゃないのだ。


「失礼、ギルド長に呼ばれているので」

「え!? あ、はい……」


 呼ばれているというのはもちろん嘘だが……ギルドの奥、重い扉を開ける。

 そこには少しばかり化粧の濃くなったミュリエラがいた。


「(ぷっ! 笑っちゃいけないけど……お化粧へたっぴね!)」

「(それ、絶対に言うなよ)」


 ミュリエラの様子から、どうやら俺が戻ってきたことには気が付いていたようだ。

 恐らく俺のために慣れない化粧までして……なんといじらしい。


「お、思ったより早かったですね……!」

「ああ、ちょっと予定外のことがあってね。それより……何だか雰囲気変わったか? 嫌いじゃない」

「は、はい……ちょっとだけ……ちょっとだけ……」

「(いーえ! 何回も何回も化粧し直したあとがある! ぐぬぬぬ~~~っ!)」


 だから、言ってやるなって。

 俺のために努力してくれたんだから、嬉しいじゃないか。


「すまないが、この子を寝かせても?」

「え? あ、はい……この方は……」


 腕に抱えていた少女をソファに降ろす。

 はだけた胸を隠すために巻いていた俺のマントが、彼女の血で染まっていた。


「Aランク冒険者のアイリスさん!? 大けがを負っているようですが……」

「ああ、けがの治療は済んだから大丈夫。とはいえ見知らぬ女性を休ませるのに適した場所がここ以外に浮かばなくてな。すまない」

「そういうことなら……いえ、そうじゃなくても来ていただいて構いませんけど!」


 アイリスとやらは眠っているからいいが、今の『冷鉄の美女』さんを見たらどう思うだろう。

 濃い目のチークではない理由で顔を真っ赤に染める彼女を。


「……ん……ここ、は……?」


 どうやら俺たちの会話で目を覚まさせてしまったようだ。

 アイリスさんが顔をしかめながら体を起こす。


「あ、あなたは……夢じゃなかったんですね……」

「おはよう。体の調子はどう?」

「はい、おかげさまで……でも……」


 何やら言い淀んでいるアイリス。

 だが、体を起こした拍子に再び(あらわ)になったロケットが気になって仕方がない。

 俺の頬をペシペシするマスコットなど気にならないくらい。


「……私、死んだと思いました」

「ああ、死んだよ」

「えっ……?」

「あっ」


 しまった、つい別のことに集中していたから正直に話してしまった。

 まあ説明をごまかす必要がなくなったと思えばいいか。


「こほん。アイリスさん、こちらにいるのは人類史上最高の魔術師様です。この方の力をもってすれば蘇生など簡単なのですよ。しかしこれは禁忌指定の術、あなたのためにも内密にしておくことを勧めます」

「そうなんですか……ギルド長様が仰るなら……」


 アイリスの様子から、いかにミュリエラがギルド内で信頼されているかがわかる。

 見知らぬ俺から言ったとしても、信じられないだろうし。


 しかし、1つだけ情報を付け加えなければいけない。


「だが――」

「そうだ、お金……! 治療してもらったのならお金を!」


 どうやらこの子も律儀な性格のようだ。

 金には困っていないが……そうだ、『暗黒の月』を手に入れたがっていたな。


「銅貨2枚だ」

「へ? そんなはずは!」

「構わない。金には困ってない。ほら」

「は、はい……」


 おずおずと、自分のカバンから銅貨を取り出すアイリス。

 その際に胸がはだけていることに気が付いたようで、顔を真っ赤にして胸を隠しながら銅貨を手渡す。


「では、少し待っていろ」

「へ?」


 貰った銅貨で、さっそくギルドの受付に行き薬草を1株購入する。

 ギルド内は未だに先ほどのことで騒然としているが……知ったこっちゃない。


 再びギルド長の部屋に戻り、ミュリエラの机の上に薬草を置く。


「『暗黒の月』は、実はたいした物ではないのだ」

「……え?」

「濃い瘴気をたんまり吸っただけの薬草ってことだよ」


 きょとんとしたアイリスの前で、魔力を瘴気へと変換し薬草を包む。

 すると白い花がみるみる黒く染まり、怪しく(ほの)かに光り出す。


「そ、そんな……!」

「アイリスさん、彼は簡単に言ってるけど……普通は無理――私でも。まず魔力を瘴気に変換なんてできないし、瘴気そのものを扱えない」

「存じてます……! これは……あなたは一体……」


 瘴気の操作はもはや息をするレベルでできるが、それはどうでもいい。


「どうぞ」

「え!? 私に……?」

「命を懸けてでも必要だった、そうだろう?」


 女性に贈る花としてはいまいちだが。

 彼女は依頼を受けていたということは、失敗すれば違約金も生じてしまうだろうし。


「……あ、ありがとう、ございます……んっ」


 頬を染め、大事にするように『暗黒の月』を胸に抱くアイリス。

 そして花に込められた俺の魔力に体が反応した様子も見せる。


「(あーあ、これ絶対落ちちゃったじゃん! はぁ~~~!)」 

 


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話は

19時50分頃

となります

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