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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第4章 ささやかな胸に去来する願い

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第39話 秘宝をおもちゃに、アイリスを海の星に


 約束の時間になったため、冒険者ギルドに向かう。

 そこには既に30人ほどの人間の男性――の姿をしたエルフたちが待っていた。


「ん? やつらは……」

「推測:かれらはにんげんではない」

「その通りだが、秘密にしといてやってくれ」


 さすがと言うべきか、マールとコアちゃんは彼女らの正体に気が付いたようだ。

 前回はそれに気が付かないほど話に夢中になっていたらしい。


 もちろん、ギルドにいるのはエルフだけじゃないが……みんな俺と目が合うと顔を伏せてしまった。


「(1時間の魚人体験は効果抜群だったようね!)」

「(ああ。人を変えるのは時間じゃなく、強烈な体験と言うことだな)」


 さて、本題のエルフたちだ。


「ルシアン殿、お待ちしておりました。申し遅れました、私ユリエナと申します」

「ユリエナ、待たせたな。約束の品だ。まずは性能をチェックしてくれ」


 先ほどコアちゃんが整形してくれた、ピン留めタイプのヘアアクセサリーとなった魔道具。

 とりあえずの見本として数個だけ渡す。


「ありがたい。早速着けさせてもらいま――おお!? 強力な魔力の膜が!」

「状況に応じて出力が変わるから魔力消費は抑えられる。自分の魔力を注げばその分長持ちするぞ」

「なんと! では失礼して……」


 そう言って、昨日魚人を放り込んだところと同じ場所から海に飛び込むユリエナ。数人のエルフもそれに倣う。

 しばらく海の底を歩き回ったり、魔法の発動を試していたが、数分後に浮上してきた。


「素晴らしいです! 地上とほとんど変わりない!」

「それどころか魔法の威力が格段に上がってます!」

「この魔道具、里の秘宝よりすごいんじゃない!?」


 『里』とか言っているが大丈夫か?

 正体を偽装中では?


「地上でも単純な障壁として機能する。古代竜のブレスに数発耐えられる程度だが」

「リーダー! これを里の秘宝にしましょう! あんなおもちゃじゃなくて!」

「(里の秘宝をおもちゃ呼ばわりはあんまりね……)」


 その通りだ。里の秘宝とまで呼ばれる物、何か隠された機能があるに違いない。

 だから1度分解させてもらえないだろうか。


「……こ、これが30個もあるのでしょうか?」

「いや1000ある」

「せっ!?」

「ほれ」


 魔界の倉庫から、大きな布にまとめて包んだ魔道具を取り出し、ユリエナの足元に置く。

 おずおずと中身を確認した彼女は、意外と冷静だった。


「我々に……世界征服でもしろと……?」

「この程度じゃあ無理だ。俺がいる」

「それはそうですが……悪しき者が手にすれば、そう考えても……」

「お前らなら大丈夫だろう」

「……その信頼を違えぬよう、努力します」

「ああ」

「あの、それと……」


 まだ何かあるのだろうか。

 俺としてはさっさとブルースフィアに向かいたいのだが。


「30しか想定していなかったので……応援を呼んできてもよろしいでしょうか?」

「応援? お前ら(エルフ)のか?」

「はい。そう遠くないところに同胞の集落がいくつかありまして……」

「構わんが、俺たちは先に行くぞ?」

「あ、はい。我々も数名は深海に、他の者たちで手分けして仲間を集めようかと」

「そうか」


 それはもう俺たちには関係ないな。


「(えっ!? 一緒に行くんじゃないの?)」

「(ん? なぜだ?)」

「(だって……てっきり見返り――『抱かせろ』とか言うのかと)」

「(お前は俺を何だと思ってるんだ)」

「(性欲120%の男)」

「(…………)」


 あまりにもな言葉である。

 見返りも、もう貰っているようなもんなのだが……まあいい。ミラが気が付いた時を楽しみに待っていよう。


「ではルシアン殿、それとお仲間の方々。いざブルースフィアへ、参りましょう!」

「……ああ」


 一緒に行くことになった。


「我は先に行くぞ!」

「マールさん!? 行動が早い!」

「否定:うみ……みず……こわい……ぶくぶく……」


 マールが真っ先に、アイリスがそれを追いかけて海に飛び込む。

 コアちゃんは海が怖いらしいが、『否定』と言われると――。


「コアちゃんよ、可能性を否定することは、俺が否定する。抱えて連れて行ってやるから安心しろ」

「懇願:やめろーうあー……ああ……」


 コアちゃんを抱えながら海に飛び込む。

 そこはたくさんの色とりどりの魚が、日の光に反射して幻想的ともいえる光景が広がっている。


「ほら、なかなか美しい場所だろう? 『可能性』を安易に否定してしまえば、その先にあるものを知らずに終わるのだぞ?」

「……じゃしん……ぶくぶく……」


 コアちゃんはいつの間にか水の中じゃなくても『ぶくぶく』言うようになってしまった。

 体を脱力させ、なすがままといった様子だ。


「(きっと、トラウマなのね……)」

「(ん?)」


 ミラがよくわからないことを言っているが……まあいい。

 マールたちはどこに――。


「おいアイリスよ! 足から風が噴出して……浮かべるぞ!」

「本当ですか? 私も――きゃ~~~!?」

「アイリスぅーーーっ!?」


 騒がしいからすぐに見つけた。

 しかしアイリスがものすごい勢いでどこかに飛んで行った。



誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


明日の投稿は

12時10分頃

18時10分頃

20時10分頃

となります!

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