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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第3章 無垢なる絶壁に刻まれしもの

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第35話 素直になれない心と、素直すぎる心


 ――翌朝。


 ロルウェンナとは別のタイミングでギルドに向かう。

 飲食スペースには既にアイリスたちが待っていた。


「ルシアン様、おはようございます! 昨夜はお楽しみでしたね!」

「――ッ!? あ、ああ……」


 もちろん酒を飲んでいたことを指して言っているのだろう。

 眩しい笑顔の彼女がそんな皮肉を言うはずがない。


「(判決:死刑)」

「(すまんて)」


 ぴょんと飛び跳ねて肩に乗ってきたミラ。

 彼女には全て理解されているのだろう。ごまかす気が全く起きない。


「ルシアンよ! 早速で悪いが――ん? 何やらルシアンから母上の匂いがするな……?」

「――ッ!?」


 その瞬間、ギルド内の時間が少しだけ止まった。

 こいつ……本当に犬じゃないのか?


「あ、あれだ……昨日宿まで送ってもらったから……」

「そう言うことか! ところで『転移魔法陣』のことだが――」


 いかん、マールの言葉が一切入らない。


 視線を上げると、事情を察したらしいアイリスが顔を赤らめて(うつむ)いており、リエラの顔が冷たい。

 周囲の冒険者たちも『ロルウェンナさんは“伝説の掃除人”の女だったのか……』『俺狙ってたのに……』などと口々に言っている。


「ルシアン? ルシアン!? 聞いているのか!?」

「あ、ああ……ちょうどいいからコアちゃんに聞いてみたらどうだ? 彼女なら詳しいだろう」

「それもそうだな! コアちゃんよ、今の聞いていたか?」

「…………」


 しかし、コアちゃんは何も反応を返さない。

 おかしいな、朝からずっとこんなだ。故障したのか?


「……コアちゃん? おーい、コアちゃんっ!」

「……『見せつけっクス』……ダメ……ぜったい……」

「何を訳の分からぬことを……コアちゃん、『転移魔法』のことだが――」


 やれやれ。


「リエラよ」

「何でしょう、ルシアン様。100年近くお預けを食らっている虚しい女に、何の用でしょう」

「そう拗ねるな。これをお前に用意してきたんだ」

「これは――んゆっ!?」

「そう、『長距離念話の指輪』だ。俺とお前の魔力だけに反応するように作った特別性の、な」

「ゆ――ゆっ!?」

「いらない、か?」

「いりゅ!!! 指輪……! ふわぁ~……ルシアン様が、私に……私だけに……!」

「そうだ、お前だからこそだ」


 ふぅ……何とかなりそうだ。

 大きめのサファイヤがはまった指輪……こんなこともあろうかと以前作っておいたものだ。

 ついに渡す時が来てしまったな。


「……コホン。こ、今回は……許します。ですが――」

「解析:『個体名:ミュリエラ』のしんぱくすう150%じょうしょう」

「ちょ、ちょっとコアちゃん!?


 さっきまで反応のなかったコアちゃんが急に横に来て呟き始める。


「“感情の理解”のため、解析開始:喜び90%、怒り0%、不明な感情10%」

「ルシアン様!? その子止めてぇ!?」

「思考の解析――完了:『しゅきしゅきルシアン様♡ だーいしゅき♡』――もごごっ」


 1つだけ確かなことがある。

 それは、リエラが2度と『冷鉄の美女』とは呼ばれないだろうということだ。

 ギルド職員や冒険者のニヤニヤ顔がそれを物語っていた。


「リエラよ、瘴気に関連する情報はないか?」

「そう言うと思って調べておきました。ロルウェンナさん、いいかしら」

「(さすがにそれは無理だと思うよ……)」


 全てなかったことにしようと、敢えていつも通りの会話を始める俺たち。

 『ププ……』と笑い声が聞こえるが、気のせいだろう。


「ロルウェンナさんにはルシアン様専属の受付嬢として働いてもらおうと思っていますが、構いませんね?」

「は~い! ルシアンくん専属の受付、ロルウェンナです!」

「……ああ、頼む」


 事ここに来て『専属』か……。

 たまたまのタイミングなのだろうが、意味深に聞こえる。


「まずはぁ~……ソニプロフェン王国の『死の森』、イッカーヌ公国の『闇の砂漠』とぉ~……」

「ああ、その2か所は行ったことがある。魔界との境界が薄いから発生している瘴気だな」

「なるほどぉ! それと……あっ、これかな? 『海底国家ブルースフィア』」


 海底国家、つまり海底に居を構える亜人たちの国か。

 以前行った海底の古代都市とは遠く離れていたため、行くこともなかったが。


「詳しく話してくれ」

「はい! ええっと……『水中で生活する水棲亜人が中心の国』で、たどり着くのに専用の魔道具か相応の魔法が必要な国みたいですね」


 マーメイドやセイレーンといった人間と海の生物の特徴を持った水棲亜人。

 その他にもほぼ魚に足が生えたような見た目のサハギンなどがいる。


「そこにある冒険者ギルドから、最近救援要請が入ったそうです。何でも魔物の数、特に『カース種』が増えたのだとか……」

「ほう」


 瘴気の影響なのは間違いないだろう。

 どうして最近になって増えたのかは不明だが。


「ルシアン様、私からも説明します。そのブルースフィアからの救援要請ですが、海中深くに位置するためなかなか応援を送れないのが実情でして……」


 水中は空気の問題と水圧の問題があるからな。

 高位の防御結界と『環境調整魔法』程度は必要最低限、並みの魔術師では藻屑(もくず)になるのが目に見えている。


「ですので、冒険者ギルドの関係者としてもルシアン様にご助力いただけると……」

「構わない。お前が喜ぶのならそうしよう」

「(あ、今日はリエラに甘い日なのね)」


 その通りである。


「おいおい……ブルースフィアの救援依頼に即答だと? Sランクでも一握りしか行けねぇ場所だろ?」

「さすが“伝説の掃除人”……」


 盗み聞きしていたらしい周囲の冒険者が言うように、本当に限られた者しか行けない場所だ。

 たまには善行を積むのもいいだろう。


「……ありがとうございます、ルシアン様。ですが私は別に――」

「解析:喜び100%、思考の解析、完了:『ルシアン様しゅき♡ 嬉しい♡ 結婚しゅる♡』」

「――っ!?」

「疑問:なぜ『個体名:ミュリエラ』は……こころとちがうことばかり、いう?」

「そ、それは……」

「疑問:『しゅき』とはどういういみ?」

「……た、たすけてルシアン様……」


 ……早く行こう、その方がリエラのためだ。色々な意味で。

 

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

20時10分頃

となります!

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