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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第3章 無垢なる絶壁に刻まれしもの

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第34話 無垢なる献身、もたらすは理性の暴走


「あ、おかえりなさいマールちゃん! ルシアン様! アイリスちゃんにミラちゃんも!」


 新たな旅の仲間、コアちゃんを連れて『ライブラ』に帰還した俺たちを迎えてくれたのは、ロルウェンナのほんわかした声だった。


「ああ、ただいま」

「うふふ♪」


 にこやかに笑うロルウェンナ。受付に座っており、なんとなくこなれてきた感じがする。


「推測:マールのははうえ、『個体名:ロルウェンナ』?」

「ん~? こんにちは、あなたは……マールちゃんとルシアンくんの子ども?」

「母上! 何を言って……」


 顔を赤らめながらこちらをチラチラ見ているマール。

 何をしているのやら。


「否定:この中でルシアンとはんしょくこういをしたものは、おま――」

「ははは何を言ってるんだろうな。ロルウェンナ、この子は『コアちゃん』、旅先で拾った子だ」

もご(懇願:)……もごもごご(てをはなせ)

「まあ! コアちゃんって言うのね? よろしくね!」


 余計なことを言いだすコアちゃん。

 大事なことを伝え忘れていた。


「(コアちゃんよ、人の思考や記憶を勝手に読み取るのは禁止だ)」

「(疑問:なぜ?)」


 念話で伝えるつもりだけだったが、コアちゃんも念話で返してきた。使えたのか。

 

「(人はそれを好まないからだ。そうだな……お前がダンジョンの時に罠や宝の場所を調べられるのは嫌だったろう?)」

「(肯定:りょうかい、ルシアンのしじにしたがう)」

「(あとついでに『コアちゃん』と呼ばれることは受け入れろ)」

「(…………りょうかい)」


 こいつが何を思って『コアちゃん』と名乗ったか不明だが……『コアちゃん』ちゃんと呼ばれる方が不自然だ。


「ルシアン様、戻られましたね……おや、この子は……」

「推測:『個体名:ミュリエラ』。ルシアンにリエラとよばれている。ただいま」

「……不思議な魔力。膨大な魔力を無理やり濃縮してその身に留めている……?」


 さすがはミュリエラ。正体はわからなくても魔力の状態は即座に理解したようだ。


「この子は……まあ旅の仲間だな。コアちゃんだ。世間知らずだからいろいろ教えてやってくれ」

「ルシアン様がそう言うなら……コアちゃん、わからないことがあったら何でも聞いてね」


 意外なことに、リエラにもすんなり受け入れられたようだ。

 『冷鉄』は崩さないまでも厳しくない視線を向けている。


「『読取』の承諾と判断、解析開始――完了」

「へ?」


 コアちゃんの魔力がリエラを包んでいる。

 どうやら『何でも聞いてね』が記憶と思考の読み取り許可だと思ったらしい。 


「疑問:『個体名:リエラ』が『愛しのルシアン様が帰ってきて嬉しいにゃん♡ ルシニウム接種しなきゃにゃん♡ スースー♡』といっている。どういういみ?」

「ちょっと!? あなた何言って……お、おほほほほ……!」

「(あの年増エルフ……どういう意味にゃん)」

「(……さあ)」


 リエラのやつ、澄ました顔でそんなことを考えていたのか。今更ごまかすように笑っても遅いとは思うが。

 ルシニウムなど俺ですら聞いたことがない物質だぞ。


「推測:ルシアン、つかれたからだに、やすっぽいさけ。ここでのめるのか?」

「ああ、その通りだな。リエラ……に頼むのは悪いか。ロルウェンナ、エールを人数分頼む」

「はぁ~い♪」


 真っ赤な顔のリエラを置いて、ギルドに併設してある酒場に移動。

 運ばれてきた冷たいエールを一気にあおる。


「――ふぅ悪くない」

「(エールを一気飲みして感想がそれって、逆にかっこ悪いわよ)」

「(仕方ないだろう、本当はエールは好きじゃないのだから)」


 コアちゃんの時のは、例え話のつもりだったのだが……。

 魂は全くの別物だが、やはり見た目に引っ張られてコアちゃんを甘やかしてしまうな。


「(いい加減自覚したら? あんた、ほとんどの女性に甘いわよ!)」

「(…………)」


 ……そんなはず……。


「あらあら、コアちゃんったら口の周りに泡をたくさんつけて……拭き吹き♪」

「解析開始:『エール』。かつてダンジョン内で得た物と同種の物と断定。成分特定、魔力変換開始――」


 アイリスに口を拭かれながら、流暢(りゅうちょう)に何やら呟き始めたコアちゃん。


「生成完了。提案:ルシアン、のめ」

「ん? これは……作ったのか?」

「懇願:のめ」

「あ、ああ……」


 瓶に入ったぬるいエール。相変わらずまずいが、間違いなくエール。

 恐らくかつてコアちゃんダンジョンに挑んだ冒険者が持ち込んだ物を再現したのだろう。やはり元ダンジョン、物を作り出すのは得意らしい。


「質問:うまいか?」

「あ、ああ。うまいぞ。できれば……さっき飲んだのと同じ、冷たい方がいいが……」

「考察:ルシアンはひえたエールのほうがすき。生成完了、のめ」

「あ、ああ……うまいぞ」

「実験:ルシアンの各種耐性の解析結果から、さらに『うまいエール』にむけて成分調整、900%濃縮……のめ」

「……ああ、うまい。久しぶりに酒の感覚だ……」

「歓喜:わたしはやくにたつだろう。もっと、のめ」

「……ああ」


 少しばかり頭が回らないのは……幼いミラと同じ姿の子が晩酌してくれているからだろうか。

 世の中の父親の気持ちが少しわかった気がする。


「あ、あの……大丈夫ですかね、ルシアン様……」

「アイリスちゃん、大丈夫! ギルド職員として私が責任もって見守ってるから♪」

「あ、はい。ロルウェンナさん、よろしくお願いいたします」

「アイリスよ! 我らは先に宿に向かおうぞ! 早く『転移魔法陣』の解析を進めたい!」

「……そうですね。ルシアン様、お先に失礼します!」

「きゅっきゅー!」


 どうやらミラも含めてアイリスたちは先に休むようだ。


「懇願:のめ」

「あらあら、コアちゃんったら、いい子ね~!」

「同意:いいこ」

「もっともーっと、ルシアンくんにお酒をあげちゃお~♪」

「承諾:のめ」

「いいねいいね~♪ うふふふ♪」




 久しぶりに前後不覚になるほど酔っぱらってしまい……目覚めたときには見知らぬ部屋。


 そして裸のロルウェンナが隣で寝ていた。

誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

18時10分頃

20時10分頃

となります!

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