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『禁忌魔術を極めすぎて追放された賢者、死んだ最愛の女性(毛玉)を蘇生させるついでに世界を蹂躙する~「ダメ」と言われるほど、俺の魔術は加速する~』  作者: たゃんてゃん
第2章 秘められし蕾とその開花

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第15話 位相転移と、里から逃げた巫女


 次の目的地。

 マールの里帰りの手伝いとミラのご飯(魔石)補充のために禁足地と言われる場所に向かう。


「あ、ああ。『退廃の(かいな)』は『フゾスタール』という国の奥地にある。あのヒキガエルの家からだいたい1週間はかかるはずだ」

「まあまあ遠いな」

「まあの」


 魔界の倉庫から出て、適当なところで立ち止まる。


「この辺でいいか」

「何をして……そうか、また次元を裂いて――んなっ!? あれは『フゾスタール』の王城!?」

「魔界は次元が不安定と言っただろう。それを利用して、こうして転移しているんだよ」


 これを俺は『位相転移』と呼んでいる。厳密に言うと違うが、まあ似たようなものだ。


「なぜだ!? どうしてだ!? 1週間はかかる距離だぞ!? そんなことがあっていいのか!?」

「不可能を可能にするのが魔法だろう」

「ならば我にもできというのか!?」

「いずれできるだろう」

「…………そうか」


 怒ったり考え事したり忙しいやつだ。

 だがこうして考え込むということは、彼女なりに成長しようとしていること。

 素直な奴は嫌いじゃない。


「(ふぃー! やっぱりこっちは落ち着くわね! 魔界は相変わらず息苦しいもの!)」

「(瘴気、それに魔素の濃さが段違いだからな)」


 次元の裂け目を超え、フゾスタールの王城が遠目で見えるところに降り立つ。

 『退廃の(かいな)』の場所は知らないので、後はマールに案内してもらわねば。


「マール、案内頼む」

「……それがのう……」


 何やら言いにくそうにもじもじしているマール。


「我は里から出たことが無くて……詳しい場所がわからんのだ。誘拐されたときは馬車の中であったし……」

「……そうか」

「さ、里の決まりでな! 巫女となるものは外に出てはいけないと決められておる!」


 そう言うことなら仕方がない。

 しかしよく『フゾスタール』の城のことはわかったな。


「それは……お辛いでしょう?」

「アイリスよ、そうなのだ! 我は里の決まりに従うのが嫌でちょっとだけ抜け出して……その先でバルトスに捕まってもしもうて……」


 掟に逆らって里を抜け出た日にたまたま誘拐に合うとは。

 マールもなかなかツイていないらしい。


「その里の方向、恐らくだがあっちだな」

「わかるのか!?」

「ああ、だいたい10キロってとこか。濃い瘴気を感じる」

「10キロ先の瘴気を感じられてたまるか!」

「探知範囲を広げただけだ。普段はさすがにもっと狭い」

「伸ばせて1キロだ!」


 まあまあやるじゃないか。

 リエラもそのくらいと言っていたはずだし。


「まあまあ、方向も分かったことですし! 歩きながら話しましょう! 私、マールさんのこともっと知りたいです!」

「アイリス……お主本当にいいやつだの。何が聞きたい? 何でもいいぞ!」


 では、その陥没した――。


「里の……巫女さんは何をしているのですか?」

「うむ。『退廃の(かいな)』で発生した瘴気を結界内に抑える役目を担っておるぞ。巫女というのは、その魔術を中心になって行う者だ!」

「なるほど、だからそんなに魔法が得意なんですね!」

「まあの……と言いたいところだが、こいつのせいで我などまだまだだと悟った」


 それは素晴らしいことだ。

 上達へのは、自分の未熟さを見つめるところから始まる。


「でも、どうして里の外に出てはいけないのです?」

「瘴気はいつどこで爆発するかわからんからの……いつでも対処できるようにな。それと危険な魔物にも対処することもある」

「そうなんですか……あれ? じゃあ今頃里は……?」

「先代の――母上が変わってくれているはず……多分……」


 まあ、そうだろう。

 巫女と言っても特別な力があるとかではなく、ただ生涯を瘴気への対処に捧げさせられている程度の物らしい。


 しかし、だからこそ抜け出したくなる気持ちもわかる。


「別に、お前じゃなくてもいいんだろ?」

「…………」

「魔法の能力に優れていれば、お前じゃなくても」

「……そうなのだ。ただ、我の家系が最も優れた魔力を宿すからと……その程度のことで一生里に縛られる。里から出るな、1歩も出ちゃダメだと」


 ほう。


「だから、抜け出してやったのだ!」

「わかるぞ。ダメだと余計に言われたらやりたくなるのが人間だ」

「うむ! その通り! 例えこの逃亡が禁忌だと言われて、我は後悔していないぞ!」


 先ほどは禁忌はダメだ禁術もダメだと言っていたはずのマールだが……この短時間で考えが変わったらしい。

 精神は大人だが、成長速度は今の見た目通りらしい。




「気を付けよ。そろそろ瘴気の影響が出てくる場所だ」

「何だか息苦しいかもです……」


 話しながら進むこと数時間ほど。

 マールの住んでいた里とやらはまだ見えないが、他の場所よりも数段瘴気が濃くなってきている。


「1つ気を付けなければならぬことがあっての」

「マールさん?」

「……我々は瘴気を抑えることはできるが、その影響を受けたモンスターを閉じ込めておくことはできん」

「というと……」

「つまりな、瘴気に侵されて通常よりも強く狂暴化したモンスターが出てくるかも知れぬということだ」

「……『カース種』、ですね……」


 かつてアイリスを死の淵へと案内した『カース・フェンリル』。

 彼女にとっては苦い思い出だろう。


「ま、まあ……この辺はまだ問題ないだろうが……の」


 『カース種』はより本能的な生き物である。

 自分より弱く、おいしい魔力の持ち主を見つければ一目散に寄ってくる奴らだ。

 ということで――。


「お、噂をすればお出ましだぞ。魂の構造から――恐らく『カース種』だろう」


 アイリスの剣を握る手の力が、強くなるのを感じた。


誤字脱字、感想などいただけたらうれしいです!

★★★★★いただけたら泣いて喜びます!!


次話の投稿は

21時10分頃

となります!

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