表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】最強クラス【影霊術師(シャドウネクロマンサー)】に覚醒し、俺を捨て駒にした勇者パーティと世界の全てに復讐する  作者: なすび
【第2章】KNT's of the Sword and Balance

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/168

63 影霊領域展開

前回のあらすじ

カイネの得物、《朽ち移し(ラストトゥラスト)》に斬りつけられた部分の再生能力が著しくダウンするデバフを受けるシド。

しかし四肢を根本から切り落として、丸ごと再生することで《朽ち移し(ラストトゥラスト)》のデバフを打ち消すのであった。


 ――キンッ! キンッ! キィンッッ!!


 カイネの鋸鉈(のこなた)、俺の影霊(シャドウ)剣の応酬。

 幾々度もの刃を重ねる。


「殺す殺す殺す殺す――――殺すッッ!!」


「こえェよマジでッ!?」


 《朽ち移し(ラストトゥラスト)》に触れた武器は急速に錆びる。

 数度剣戟を繰り返したらそれだけで武器は壊れ、そこに全力の鋸鉈を叩きこむというのが奴の黄金パターンなのだろう。


 対策としてデュラハン影霊(シャドウ)の剣を使ったまでは良かったが――その程度で有利を取れる程カイネは弱くなった。


「思った通り、影の方は錆びるという概念がないみたいだな」


「なら、刃を潜り抜けて肉をえぐるまでだ――《腐鎌ラスティサイス》」


「ぐえッ!?」


 カイネの腕に巻かれた包帯が、蛇のようにひとりでに動いて鋸鉈の柄に巻き付く。

 奴はそのまま伸びた包帯を鞭のように振り回し、先端に取り付けた鋸鉈で俺のデュラハンソードを避けて横腹に叩込んできた。


 鎖鎌ならぬ腐鎌ってことかよ……。


「クソつえェぞコイツッ!?」


『この包帯――聖教会の祝福で対腐加工が施されただけではないようじゃな。魔力を流し込むことで自在に動かすことが出来るようじゃ』


 肋骨の隙間に、ノコギリ状の刃が食い込む。


「ならこっちは影頭突きだゴラァ!」


「ッ!?」


 武器を影に戻し――脇腹に突き刺さった鋸鉈と繋がっている包帯を両手で掴む。

 それを思いっきり引っ張る!


 カイネはバランスを崩して俺の方へ倒れてくるので、鼻っ面に全力の頭突きを叩きこむ!


『野蛮な上に影と全くかかっていないぞ……』


 エカルラートが呆れているが、喧嘩殺法は俺の十八番だし、その場のノリで喋っているのもいつもの事だ。


 でも確かになんだよ影頭突きって……。


「ぐはッ!?」


 ふざけた攻撃ではあるが意外と効果的で、顔面の包帯が内側から血を滲ませる。


「なめ――るなッ!」



――打ッ!



「ごはッ!?」


 頭突きが急所に当たったにも関わらずカイネは怯まない。

 顔面攻撃のお返しとばかりに、カイネの拳が俺の口部に叩きこまれる。

 歯が数本折れて、カイネの拳に突き刺さり――刺さった歯で殺傷力を高めた2発目が左目にお見舞いされる。


「ぐべらッ!?」


 パンチ力はかなりの威力で、俺は玄室の床を数度跳ねながら吹き飛ばされる。

 歯はボロボロ、眼球は自分の歯で潰れて、更には間抜けな青あざまで出来ているだろう。


『喧嘩殺法でも負けとるではないか……』


 更に先ほどの剣戟で様々な箇所が切られており、小さな腐敗が積み重なって手足が痺れて思うように動かない。

 もう一度負傷箇所を切り落とさねばならないが――俺の自傷行為を悠長に見守ってくれる程ミイラ男は優しくない。


「《腐鎌ラスティサイス》ッ!」


 再びカイネは得物に巻き付けた包帯を伸ばして振り回すと――鋸鉈が高スピードで飛来!

 ギリギリの所でミノタウロスの戦斧を召喚し、腹を向けることで盾のようにして防ぐ。


 剣よりも面積が広い戦斧の方が盾として有効的だと判断したが――レベル3桁の狂戦士の腕力に遠心力が乗った攻撃は想像以上に重く――衝撃で身体が仰け反りたたらを踏む。



――掴ッ!


――疾ッ!


――斬ッ!



 カイネは長年の付き合いなのであろう《朽ち移し(ラストトゥラスト)》を完全に使いこなしていた。

 包帯を手繰り寄せ再び右手に納めると、床を蹴って体制を崩している俺目掛けて疾走。

 そのまま身を捻って半回転――



――轟ッ!



 ――と剣風を纏わせた渾身の一撃が迫る。



「まいった――負けたよ」



 カイネ――お前は強い。


 狂戦士クラスというシンプルな戦闘スキルでレベル3桁にまで肉体を鍛えあげ、無数の修羅場を潜り抜けた素の身体能力は達人の領域にまで研ぎ澄まされている。


 何より自分の身体が腐敗で苦痛を上げているにも関わらず、それを神の祝福だと捉えて受け入れる精神力も尋常じゃない。


 その手の精神的な強さ――心の強さは俺も負けていないと思ったが、お前の覚悟には敵わなかった。


 不死の肉体であることに胡坐をかき、負傷することを軽視していたのも敗因の1つだろう。



『ブルガァッ!』



 故に――――俺は自分に課したルールを破る。



「なん……だと……ッ!?」


 カイネの体重を乗せた渾身の一撃は、俺とカイネの間に召喚されたミノタウロスが身代わりになった。

 肉壁として召喚したミノタウロスの身体に、鋸鉈が痛々しく食い込んでいるが、ミノタウロスの巨体は仁王立ちを崩すことなく、俺を守護する盾となっている。


「俺じゃお前に勝てない――覚醒してから素直に敗北を認めたのは初めてだ」


 俺は今まで1対1(タイマン)において影霊(シャドウ)の力を借りないのをポリシーとしていた。

 それを破らざるを得ないということは、負けを認めるのと同意だ。


「ぐッ!?」


 カイネは鋸鉈を引き抜こうとするが、ミノタウロスは丸太のような腕で自身に刺さった鋸鉈を抑えている。


「がはッ!?」


 こうしてカイネの動きを封じ――影霊領域(シャドウフィールド)で影をカイネの背後まで伸ばし――背後からダークホースに騎乗したデュラハンがカイネの腹部を突き刺した!


『――――』


『ヒヒ――――ンッ!』


 ミノタウロスを影の中に戻すと、鋸鉈はカランと音を立てて床に落ちる。

 そしてデュラハンはカイネを突き刺したまま、長剣を頭上に掲げた。


「ぐはッ!?」


 串刺しとなったカイネは、自身の体重でズルズルと、更に深く刃が沈んでいく。

 デュラハンは思いっきり剣を振るうと、遠心力で吹き飛んでいき、壁に激突したのち、床へ落下。

 全身を激しく打ち付けてかなりのダメージを食らっただろう。


「効くだろこれ? 俺も食らった時はマジで死ぬかと思ったよ」


 今の一連の攻撃は、まだデュラハンが生身の肉体を持っていた時に俺に使った技だ。

 客観的にみると想像以上にえげつない攻撃だと、味方ならが畏怖せざるを得ない。


 流石は俺の師匠だぜ。


「俺の負けだが、殺されてやるつもりはない――天国で誇れ、テメェは強い」


 影霊領域(シャドウフィールド)を最大領域まで拡大させ、玄室の床ほぼ全てが俺の影に包まれる。



――【影霊領域(シャドウフィールド)

――【消費MP】1秒につき1。

――【説明】自身を中心にレベル×1メートルの領域を展開し、領域内の影霊シャドウのステータスをレベル×1%強化する。また、手を触れずとも領域内にいる死体に【影霊操術(シャドウネクロマンス)】を発動することが出来る。



 俺の現在のレベルは103。

 半径約50メートル以内の影霊(シャドウ)のステータスが103%強化――約2倍に増幅する。



『ブルルルルッ!』

『~~~~♪』

『――――』

『ヒヒ――――ンッ!』

『グルルルルルッ!』

『ギギャ――――ッ!』



 影の中から無数の影霊(シャドウ)を召喚。

 俺は全身を《朽ち移し(ラストトゥラスト)》で切り刻まれ、極端に再生能力が落ちて満足に身体が動かせない。



 だがまだ――――影霊達(こいつら)がいる。

サブタイトルの『影霊領域展開』は『影霊・領域展開』ではなく『影霊領域・展開』です。


決して呪術廻戦に影響された訳ではありません←



本当です。



嘘じゃないです。



信じてください。








本当は影響されました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「俺だけレベルアップな件」 「呪術廻戦」 他にもちらほら・・・見つけられるとちょっと嬉しい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ