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インメリアが剣を抜くと、アカネは第2試合の声をあげた。
「さぁ、本日2試合目! 大注目の試合が始まるよぉ!!」
「「おおぉぉおお!!」」
そしてアカネはインメリアの所へ駆け寄ってインメリアを紹介した。
「こちらの竜騎士に挑むのは、この国最強の騎馬隊を率いるインメリアさんだぁ! さぁ、彼氏の敵は取れるのかぁ!?」
「「わぁぁあああ!!」」
インメリはは少しだけ顔を赤くした。
アカネは中央に出ると、両者に声をかけた。
「試合は実践形式で、急所の頭、首、心臓のどれかに寸止めかチョイ当てで試合終了ね。あとインメリアさんは皮を斬られたら即終了ね」
「うむ」
「承知した」
それを聞いたアカネは飛び跳ねるように後ろへ下がると、試合開始の宣言をした。
「それじゃ、いくよ! 第2試合、開始!!」
試合開始の合図と共に、インメリアは目を閉じて必殺の剣技を放った。
「魔剣技、散華!」
シャッ!!
インメリアは一瞬体が消えるほどの速さで移動して竜騎士に斬りかかった。
竜騎士はその動きに驚いたが、すぐにインメリアの剣に槍を合わせていった。
カカカン! カカン! カカカカン!!
竜騎士は全ての刃筋を槍で跳ね返すと、体を伏せるほど低くしてインメリアの脚を狙った。
ブンッ!!
しかしインメリアは軽やかにステップして槍をかわすと、体勢を低くしている竜騎士の頭を狙った。
「もらった!」
ブンッ!
竜騎士はその攻撃を冷静に見切ると、低く振った槍をもう一回転させ、インメリアの剣を力強く弾いた。
キィィイイン!!
ザッ! ザザッ!!
インメリアと竜騎士は一度大きく距離を取って離れると、観客からは歓声があがった。
「「おおぉぉおお!!」」
インメリアの試合を見ていたラゴは感心しながら呟いた。
「竜騎士殿、インメリア相手に余裕すら感じる戦い……。昨日、もし竜騎士殿が真っ当な槍を持っていたなら私は死んでいたかもしれない……」
ラゴがそう呟いた瞬間、今度は竜騎士が打って出た。
竜騎士はインメリアに走り込むと、大きく飛び上がってインメリアの前で槍を地面に突き刺した。
すると竜騎士が突き刺した槍から炎が巻き起こり、インメリアに襲いかかった。
「なっ! 炎だと!?」
インメリアは突然の炎に驚きながらも軽やかに炎を避けきると、なんとそこへ竜騎士が投げた槍が、刃のついていないほうを先にして飛んできていた。
ヒュゥゥウウ!
キィィン!
インメリアは竜騎士の投げた槍を剣でなぎ払うと、突然アカネの声が聞こえた。
「そこまで! 試合終了ぉ!」
インメリアは事情が掴めずに周りを見渡すと、なんと竜騎士がインメリアの首の後ろに手刀を寸止めしていた。
インメリアは剣を納めて竜騎士の槍を拾い上げると、槍を竜騎士に渡しながら笑顔で言った。
「私の完敗だ。竜騎士殿の投げた槍も逆さで、気を使わせてしまった」
竜騎士はその言葉を聞くと少し硬直してからインメリアに答えた。
「インメリア殿。私は今まであなたのように美しい騎士道を持つ方に出会った事は少ない。模擬戦でも勝負に負けた者は酷い言い訳をして喚く者が多かった」
それを聞いたインメリアは笑顔で答えた。
「いや、勝負の勝ち負けは明確だ。負けた者が喚くなど、恥の上塗りにしかならない。実戦であっても相手があなたのような紳士な騎士であれば、私は笑顔で死ねるだろう」
「インメリア殿……」
竜騎士は槍を受取りながら感慨深そうに声を漏らすと、竜騎士はインメリアに提案した。
「インメリア殿。それに良ければラゴ殿も、私と稽古をしないか。インメリア殿は手練れの槍術士との戦闘経験が浅いと見える。そしてラゴ殿が嫌でなければガツデ流槍術をお教えしよう」
それを聞いた2人は目を輝かせながら答えた。
「それはありがたい! 私は槍使いが苦手なのだ!」
「良いのですか!? ぜひガツデ流槍術を教えてください!」
「もちろんです。全力で教えさせていただこう。私はこの模擬戦で目が覚めた。そして騎士の誇りが何たるかを思い出した」
こうしてインメリアとラゴは竜騎士と稽古をすることになった。
◆
その頃、マルちゃんやゲゲロっち、そしてリッチと元ガンデロ皇帝のイケオジが農作業をするサトゥマ芋畑は、昼休みになっていた。
マルちゃんはパンをかじりながら、また新たにやってきた新入りに声をかけていた。
「いやぁ、また骨が来るとはなぁ。リッチもそうだけど、北から骨がやって来るのって流行ってんの?」
すると骨の新入りは笑いながら答えた。
「ははは、実は僕も骨になっててビックリっていうか」
「え? もしかして君、蘇った系とか?」
「え、そうなのかなぁ。気づいたら骨になってて」
「そっかそっか、それじゃあ何があったか分からないよな。ってか、故郷を探してここに来たって言ってたけど、この難民の町って最近出来たばっかりだし、ここで合ってるのか?」
「あ、それなんですよ。このあたりで間違いないんです。でも、もう滅んじゃってたみたいで。ははは」
「そうかぁ。故郷に帰ってきたら無かったって、一番キツイやつだよなぁ」
「はい……。なので僕はここで生きようかなって。幸い骨でも皆さん優しくしてくれますし」
するとそれを聞いたリッチが新入りの骨に言った。
「この村では骨でも問題ないですから安心してください。ただ、酒場でのループ飲みは禁止になりましたので、ご注意を」
「ループ飲み……、ですか?」
「はい。我ら骨は一度飲んだ酒を腹で受け取ると、何度でも酒を楽しめるのです。ですが最近、店主にバレてしまいまして……」
「な、なるほど。ありがとうございます先輩。同じ骨同士、勉強になります」
すると仲間の1人が新入りの骨に尋ねた。
「そういやぁ、お前も名前が長かったよなぁ」
「あ、はい。僕の名前は、メチャツ・ヨイ・ダイマド・ウシナン・デスガ、です」
「長っ! じゃあさ、最初のメチャツでいいよな。おれらいつもあだ名で呼び合ってるんだ」
「はい、もちろんです! では僕のことはメチャツと呼んでください」
しかしそれを聞いたリッチは首を傾げながら呟いた。
「メチャツ……。あれ? メチャツ……、まさか若くして魔法研究を極め、1000の兵を一瞬にして氷漬けにしたメチャツ大魔導師じゃ……」
メチャツはリッチの言葉が耳に入ると、笑顔でリッチに言った。
「あ、はい。でも1000ではなくて5000の兵です。もちろん、皆さん無事に解放しましたよ。ははは」
なんとメチャツはネクロマンサーが蘇らせた英雄の1人で、故郷へ帰ると言って居なくなってしまった1人だった。
「ええっ!? 本当にメチャツ大魔導師様なのですか!? あの4つの属性を合成して新たな魔法を開発した大英雄の……」
「はい。でも今となっては過去の話です。今はこうして農作業をして皆さんとお話しているほうがとっても楽しいです。ははは」
「そ、そうですか……」
マルちゃんとゲゲロっち、そして仲間たちはよく分からず話を聞いていたが、リッチとイケオジだけは伝説の魔導師に驚いていた。




