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コラナッカはさらに煽るようにネイクラに言った。
「でも、こいつは竜騎士だぜ? 操れねぇくらいの精神力とかあるんじゃねぇの?」
しかしネイクラは大きく鼻息を吐いてコラナッカに答えた。
「もう! 信じないなら見てなさい!」
ネイクラは目を瞑って目元をピクピクとさせると、強大な念を竜騎士に送った。
それを受けた竜騎士は体を硬直させると、苦しそうに片膝をついてゆっくりと頭を下げた。
竜騎士のその姿を見たコラナッカは予想以上のネイクラの実力に本当に驚いてネイクラに言った。
「お、おまえ本当に天才じゃねぇか! 完全に竜騎士あやつれんのか! 驚いたぜ!」
それを聞いたネイクラは思わず嬉しそうに笑顔をこぼすと自慢げに答えた。
「当たり前じゃないの! 言ったでしょ、私は天才だって。こんな事だって出来るんだからね!」
ネイクラがそう言うと、突然、竜騎士はクラシックバレエを踊り始めた。
それを見たコラナッカはネイクラに駆け寄ると、嬉しそうに言った。
「ネイクラ、お前は本当にスゲェよ! まじ尊敬だぜ!」
「な、なによ。そんなに言われたら、天才の私だって恥ずかしいじゃない……」
ネイクラは恥ずかしそうにモジモジすると、それを模写するように竜騎士も同じようにモジモジした。
するとラゴが申し訳無さそうにコラナッカに言った。
「あ、あの……。そろそろ竜騎士さんを……、ええと、許してあげてくれませんか……。同じ騎士として、なんというか……、誇りが……」
それを聞いたコラナッカはネイクラに言った。
「ネイクラ、もう竜騎士を操らなくていいぜ。お前がスゲェって事はマジで分かった!」
するとネイクラは竜騎士の支配を解いてコラナッカに言った。
「私の凄さが分かったでしょ? もっと褒めてくれてもいいのよ」
「いや、ちょっとホントにスゲェと思ったぜ。さすが天才だな!」
「う、うふふ。そ、そうなの。私は天才なの。うふふふ」
ネイクラは嬉しそうに笑うと、その横では解放されてガックリしている竜騎士にインメリアとラゴが寄り添っていた。
インメリアとラゴは竜騎士を心配するように言った。
「竜騎士よ。あのような辱め、辛かっただろう。だが心配するな。私はお前の騎士としての誇りを尊重する」
「大丈夫です。誰にも言いませんから」
しかし、心配された竜騎士は完全にプライドを傷つけられ、意気消沈しながら答えた。
「いや、良いのだ。私と大魔導師が調子に乗って攻め込んだ事が全ての始まり。この程度の辱めなど……。くっ……」
竜騎士は思わず両手で顔を覆うと、インメリアとラゴは同情しながら竜騎士と肩を組んだ。
するとその時、少し離れた所から大魔導師の声が聞こえていた。
「だれか、だれか助けてくれんかのぉ」
コラナッカがその声に気づくと、なんと頭の骨と右腕だけになった大魔導師が助けを呼んでいた。
コラナッカは大魔導師に近づくと、大魔導師に尋ねた。
「おいおい、助けろったって頭と腕だけになっちゃってるけど」
大魔導師はコラナッカの声に嬉しそうに答えた。
「いやぁ、わしらの完全な負けじゃ。じゃが、助けてくれんかのぅ。わしは頭と腕だけあれば魔法が使える。わしはお主らの味方になる事を誓う。じゃから助けてくれんかのぅ」
それを聞いたコラナッカは大魔導師の頭を拾い上げ、おじいさんたちと相談した。
「ひろしさん。こいつ味方になるから助けてくれって言ってるけど、どう思う?」
おじいさんは少し不思議そうに大魔導師の頭を覗き込むと、黒猫がおじいさんに助言をした。
「ひろし殿。この者は一度敵対しております。信用するのは難しいかと」
するとそれを聞いた大魔導師は思いついたように提案した。
「もしわしを助けてくれるならば、3つの属性魔法や治癒魔法、それに膨大な教養を授けることができる。それにもし都合が悪くなったら、わしを叩き割れば良いこと。お主らなら簡単じゃろう?」
それを聞いたコラナッカは不思議に思って大魔導師に尋ねた。
「なんでそんなに助かりたいんだ? 何か理由があるのか?」
「……。わしは生前、マイミデ国の魔導士じゃった。わしはあの頃では考えられない2つの属性を同時に扱う魔導士として、この大陸の敵国を次々と従属させていったのじゃ」
「へぇ、なるほどな。おれも古文書で読んだがマイミデは今から1200年以上前の大陸統一国家だったよな」
「その通り。わしは90歳を超えるまで戦いに明け暮れ、この大陸を統一する手助けをしたのじゃ。じゃが王が大陸を統一した時、わしは強すぎるが故に危険視されたのじゃ」
「そうか。まぁ、そうなると結末は見えてくるな。暗殺でもされたのか?」
「うむ。ハニートラップに引っかかってな」
「はぁ? ハニートラップで死んだのか?」
「うむ。なにしろ、わしは90歳を超えて独身だったのものでな。交差点の角で、走って現れたパンをくわえた青い髪の少女にぶつかって恋心を抱いてしまってのぅ……」
「なんかそれ、古文書に良くある王道パターンなんだよな……。っていうか、90超えて少女に恋心抱くなよ」
「ああ、ははは。その通りじゃな……。じゃが心残りがあるのじゃ。それはのぅ……」
大魔導師は小さな声でコラナッカに心残りの事を話すと、コラナッカは少し顔を赤らめて恥ずかしそうに答えた。
「お、おい! おまえ、そんな事のために死にたくねぇのか!?」
「お当たり前じゃ! わしは蘇ったのじゃ! こんなチャンスはないのじゃ! では聞くが、お主は見たことがあるのか?」
「お、おれか? ……いや、見たくて見たわけじゃねえけど、偶然見ちまったっていうか……」
それを聞いた大魔導師は悲痛な声をあげた。
「い、いいなぁぁー! わしも生きてるうちに見たかったのじゃぁぁー」
「おいおい、おまえ大魔導師だろ? そんなんでいいのか?」
するとその様子を見ていたおじいさんがコラナッカに言った。
「男爵様、その方はわたしたちと歳が近いようです。もしよろしければ、わたしたちに預けて頂けませんでしょうか」
それを聞いたコラナッカはおじいさんの言葉に驚くと大魔導師に尋ねた。
「あの人はひろしさんって言って、さっき足止めした玉を放った人だ。それに奥さんは氷の魔法を放った魔道士。安全のためにお2人に預けるがいいか?」
「うむ、問題ない。むしろ、よろしくお願いしたい」
こうして竜騎士と大魔導師はおじいさんたちの仲間になったのだった。




