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コラナッカは混乱に乗じてネイクラと一緒にデカトラに乗り込むと、全速力でデカトラを走らせた。
そしておじいさんたちのデカトラと合流するとデカトラから降りておじいさんたちに状況を説明した。
「あそこに居るのは竜騎士と魔導士! ドラゴンも操ってる! ここで倒さねぇとヤクウィー領がヤベえかもしれねぇ」
それを聞いたおじいさんとおばあさん、魔王エヴとエスプララ、インメリアとラゴ、そして黒猫はドラゴンのほうを見ると、すでに大魔導士が地上に降りて大きな魔法陣を展開していた。
それを見た黒猫は素早く走り出しながら骸骨姿に戻り、両手を広げて巨大な防御魔法陣を幾重にも展開した。
黒猫の防御魔法陣を見た大魔導士は詠唱をしながら心の中で呟いた。
(ほぅ。あの魔法陣は防御のためのものじゃな。しかし複雑極まりない術式じゃ。このような術式を操るとは面白そうじゃな)
しかし大魔導士がそう思った瞬間、なんとおばあさんの氷の大呪文が後半に差し掛かり、大魔導士の頭上には巨大な氷の塊が現れていた。
「なにっ!?」
大魔導士は巨大な氷の塊に思わず声をあげてしまうと、詠唱は中断されて大魔導士の魔法陣は消滅した。
そして大魔導士は慌てて防御の結界を張ると、それを幾重にも重ねて氷の魔法に備え、さらに自分の身体に魔法反射の術まで唱えた。
しかし、
ボワァァアアアアア!!
なんとドラゴンが炎を吐き、おばあさんの氷の塊を溶かし始めた。
それを見たおばあさんは急いで詠唱を完成させると、氷の塊は一直線に大魔導士へと飛んでゆき、大魔導士の防御結界にぶつかった。
ガガン! ガキイイン!!
おばあさんの魔法の氷は防御結界を破ったが、もう少しのところで大魔導士には届かなかった。
大魔導士は急いで防御結界を張り直すと、防御結界を張りながら逃げ出し、ドラゴンの近くへと走っていった。
「な、なんじゃあの魔法は! このわしが危なかったわい! 竜騎士殿、助けてくれ!」
それを聞いた竜騎士はドラゴンの頭を下げて大魔導士を引き上げ、自分のうしろへと匿った。
「大魔導士殿。ここは一旦退きましょう」
しかし大魔導士は冷静に答えた。
「いや、あれほどの魔導士は見たことがない。このまま飛び上がれば危険やもしれぬ」
「なるほど。これだけ見通しの良い開けた土地では逆に魔法の餌食になると」
「その通りじゃ。ここに来る前に食らった光の魔法を使われれば、我らの居場所は一目瞭然じゃ」
するとその時、竜騎士が何かに気づいて声をあげた。
「矢が来ます! 結界を!」
「なにっ!?」
大魔導士は慌てて防御の結界を張ったが、その結界はガラスが割れるように一瞬で崩れ去った。
パリン!!
ガン! パンッ!
その矢はエスプララが放ったオロチの矢だった。
オロチの矢は8本中6本は防御結界に防がれ、1本は大魔導士の体に、そしてもう1本は竜騎士が槍で弾き返した。
矢が体に刺さった大魔導士は戦闘不能になるような事はなかったが、大魔導士のプライドに火を点け、大魔導士は唸るように声を発した。
「うぬぬぬぬぬ! このわしに舐めた真似をしてくれるではないか。わしを怒らせたことを後悔させてやろう」
大魔導士はそう言って魔法の杖を高々と掲げると、素早く詠唱を始めた。
すると赤と緑の魔法陣がいくつも出現し、おじいさんたちを取り囲むように配置された。
それを見た竜騎士は感心するように呟いた。
「あれは噂に聞く超高等魔法の多重魔法陣。炎の魔法を風の魔法で強化するものだな……。さすがは大魔導士殿だ」
しかしそれとは対照的に、おじいさんたちは極めて冷静に対応をしていた。
おばあさんは大魔導士の魔法陣を見ると黒猫に尋ねた。
「猫ちゃん、あれは2つの属性かしら?」
「はい、炎と風の初歩的な組み合わせのようです。防御魔法陣で防ぎ切れます」
「わかったわ。じゃあ猫ちゃん、防御をお願いね。わたしは今度はドラゴンを狙うわ」
おばあさんはそう言って魔法の杖を掲げると、今度はおじいさんに言った。
「あなた、ここからドラゴンまで粘着玉は届くかしら」
それを聞いたおじいさんは粘着玉を出現させておばあさんに答えた。
「ああ、大丈夫だ。氷の魔法に合わせてドラゴンの口へ投げるよ」
「ええ、お願いしますね。エスプララちゃんもいけるかしら」
エスプララはおばあさんの言葉に笑顔で答えた。
「もちろんです、洋子様。お任せください」
「心強いわ、エスプララちゃん。ドラゴンを狙ってちょうだいね」
「はい!」
そしておばあさんは魔王エヴを見ると、魔王エヴは主人の指示を待つ子犬のような表情でおばあさんの指示を待った。
「エヴちゃん……。は、ちょっと待っていてね」
「えっ! あ、ええと……、はい」
おばあさんは、魔王エヴが魔法の威力を上げると、動くものに当てづらいという特性をよく知っていたので待機させた。
しかし魔王エヴは叱られた子犬のように意気消沈しながら立ち尽くした。
するとその時、大魔導士の魔法陣から炎と風が勢いよく吹き出した。
その光景を見た竜騎士は感嘆の声をあげた。
「おぉ……。なんという凄まじい魔法だ……。2つの属性の魔法を同時に放つとは……」
しかし、それを防御魔法陣で受けていた黒猫は驚愕しながら呟いた。
「なんという……、雑で威力のない魔法なのだ……。マガイルーあたりの魔法使いにも劣る……」
黒猫はそう言うと、防御魔法陣を押し出して大魔導士の魔法を跳ね返すように押し戻した。
パァァン!!
跳ね返された炎と風の魔法はそのままドラゴンのほうへ飛んでゆき、その様子を見た大魔導士は予想外の出来事に狼狽した。
「なぁっ!! わしの魔法が!! はわわわわわ!!」
その時、竜騎士は危機を感じてドラゴンを飛び上がらせようとしたが、ドラゴンが羽を広げた瞬間、エスプララの放った矢が羽の付け根を撃ち抜いた。
ズドドドドドド!!
ギャァァオオオオ!!
ドラゴンはバランスを崩してゆっくりと倒れ込むと、竜騎士と大魔導士の頭上にはおばあさんの巨大な魔法の氷が待っていた。
竜騎士は咄嗟に大魔導士の手を引いて地上へ飛び降りると、それを見ていたコラナッカがネイクラに大きな声で言った。
「ネイクラ、今だ! ドラゴンを操れ!」
ネイクラはその言葉を聞くと、目を閉じでドラゴンの意識に入り込んだ。




