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「くっ! くうぅぅうう!」
ネイクラは2度も騙された事に思わず声を漏らすと、コラナッカは計測器を見ながらネイクラに言った。
「今、一生懸命に術を放ってくれたおかげで、結構いろいろ計測できたわ。あとは……」
コラナッカはそう言うと、小屋の扉を開けて村の外に待機してもらっていた黒猫とリッチに大きく手を振った。
それを見た黒猫とリッチは小屋に向かって歩き始めた。
コラナッカは慎重にネイクラの様子を見ながら小さく呟いた。
「ちょうど納品の人手にリッチ連れてきてて良かったぜ。さぁて、意識があるアンデッドはどうなるかな」
黒猫とリッチは小屋にどんどんと近づいてきたが、ネイクラは何の反応も示さなかった。
その様子を見たコラナッカは黒猫とリッチに手で合図をして小屋から離れてもらった。
コラナッカは顎に手を当てると、ウンウンと頷いてエリシャウに言った。
「なんとなくネクロマンサーの操れる対象と範囲が分かってきたな。まぁ、こんなネクロマンサーの下っ端みてぇなヤツでテストしても参考にならねぇかもしれねぇが」
コラナッカの言葉を聞いたネイクラは思わず反射的に声をあげた。
「下っ端とは失礼な! 私はネクロマンサー最強の双子の1人! 我ら以外にドラゴンを操れるものなど居ないのだぞ!!」
しかしそれを聞いたコラナッカは笑いながら答えた。
「ホントお前は簡単に引っかかるな。じゃあ今測定した範囲が現状のネクロマンサーの最大範囲って事になるな……。しかし範囲は集落1つ分くらいか。意外と小さい範囲だな」
「小さい範囲だと!? 一度操った屍ならば、かなりの距離まで操れる! 最強のネクロマンサーを甘く見るな!」
「おお、なるほどなるほど。だからあのドラゴンは魔王領から呼べたんだな。ほんとにお前は自分から情報を漏らすんだな」
「ぐっ! ぐぬぬぬ!!」
ネイクラは唇を噛んだ。
◆
その頃すっかり体調が戻ったアリオネルダは、なんと屍のドラゴンに乗り、ハーピィたちと一緒に空を飛んでいた。
ドラゴンには、誰かが見かけても驚かないよう首から腹にかけて特大のヨクヨ商会の旗が取り付けてあったため、地上でドラゴンを見た人々は驚きながら口々に言った。
「おいおい、ヨクヨ商会だってよ」
「あの巨大なドラゴンが商会の?」
「いやヨクヨ商会ならあり得るぞ」
アリオネルダはドラゴンと会話をしながら西へと向かっていた。
ドラゴンはアリオネルダに西の島にいる子どもたちに会いたいと願い出て、アリオネルダは西の島へと向かっていたのだった。
しかし横を飛ぶハーピィたちは少し疲れた様子でアリオネルダに言った。
「ごめん、アリオネルダちゃん。ちょっとだけスピード落としてもらっていい?」
それを聞いたアリオネルダは慌てて返事をするとドラゴンに話しかけた。
「ドラゴンさん、もう少しゆっくり飛べる?」
するとドラゴンはアリオネルダに念で答えた。
「うむ。あのハーピィたちは少し疲れているかもしれぬ。私の背に乗るように言ってくれぬか」
アリオネルダはドラゴンの言葉を聞き終えると大きな声でハーピィたちに言った。
「みなさん、ドラゴンさんが背に乗ってください、と言っています」
「えっ、ほんとに!?」
「乗っていいって!?」
「やった、乗ろうよ!」
ハーピィたちは嬉しそうにドラゴンの背中に着地すると、ふぅっと息を吐いてアリオネルダに言った。
「ほんとは結構キツかったんだよね……」
「ドラゴンの羽ばたき1回の距離でさぁ」
「あたしたち何回羽ばたいてるか。はは」
それを聞いたアリオネルダは申し訳なさそうにハーピィたちに謝った。
「ごめんなさい、私なにも知らずに……」
するとハーピィの1人が答えた。
「ううん、ぜんぜん大丈夫。だってアリオネルダちゃん羽ないから分からないもんね。それにしてもドラゴンぜんぜん操れてそうだね」
「はい。でもまだ完全に操れているのか自信は無いんです……」
「大丈夫! もしドラゴンが操れなくなってアリオネルダちゃんが落ちちゃっても、あたしたちが居るから安心して!」
「はい、とても心強いです。ありがとうございます」
するとハーピィは少し嬉しそうに話題を変えた。
「そういえばアリオネルダちゃんは村とか遺跡に気に入った人とか魔族はできた?」
「えっ!? ……気に入った……、ですか?」
「そうそう! いまアリオネルダちゃん遺跡の集合住宅に住んでるし、村でヨクヨ商会の制服の納品と管理もしているじゃん? どっちかに気に入った相手ができたかなって」
「あ、ええと、まだそんなに関わってないのですが……、私を救護室に連れて行ってくれたインメリアさんはカッコイイなって……」
それを聞いたハーピィたちは盛り上がって口々に言った。
「やっぱ、インメリアさんモテよるね!」
「男女問わず人気だよね。カッコイイ!」
「でもラゴさんとカップルなんだよなー」
すると話題が逸れてハーピィたちはコラナッカたちの話に夢中になった。
「ってか、コラナッカ男爵の助手? のエリシャウさん見た? 絶対に男爵が好きだよね」
「だよね! あたしもそれ思った! だって目が恋してるもんね」
「それそれ! だってエリシャウさんの髪型、相当時間かかってるよ絶対!」
するとハーピィはアリオネルダに話をふった。
「ねぇ、アリオネルダちゃんはどう思う!? エリシャウさん見た!?」
アリオネルダは話をふられて一瞬驚いたが、仲間に入れてもらえたようで嬉しい気持ちになってハーピィに答えた。
「私もエリシャウさんがコラナッカ男爵を好きなんだと思います。だって、ずっと目でコラナッカ男爵追っていましたから」
それを聞いたハーピィたちはさらに盛り上がった。
「え、それ完全に好きモードじゃない!?」
「うん、好きな相手は目で追っちゃうよ!」
「ぜったい確信犯だわ、エリシャウさん!」
ドラゴンは背中の上で繰り広げられる女子トークに参加できず、静かに西の島へと向かって飛んでいた。




