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ネイクラは大笑いをすると、ドラゴンと視界を共有しながらインメリアに言った。
「あぁーっはっはっは! 大逆転よね。私が目が見えなくてもドラゴンと視界が共有できるから。もうこの村なんか炎で消し飛ばせるから! みんな死んでくれる?」
しかしその時、なんとネイクラの視界が少しづつぼやけていった。
そして突然ドラゴンと共有した視界が真っ暗になると、ネイクラは驚きながら狼狽した。
「なに!? なんなの!? ドラゴンは!?」
ズゥゥン……
するとドラゴンが着地する音が聞こえ、ネイクラはさらに狼狽した。
「なんなの!? ドラゴンは!? なんで!? なんでなの!?」
なんとドラゴンはアリオネルダが乗っ取って操作をしていた。
アリオネルダは必死にドラゴンを止めようとしたその時、膨大なネクロマンサーの才能が開花したのだった。
アリオネルダはドラゴンを安全に着地させると、メメに言った。
「メメさん。ドラゴンさんが私に話しかけてきます。ドラゴンさんは西の島へ行きたいと言っています」
しかしその声を聞いたネイクラは声を荒げてアリオネルダに言った。
「こ、この私の屍が他のネクロマンサーに乗っ取られただと!? ば……、ばかな!」
ネイクラは狼狽えながらアリオネルダに言った。
「おい、お前はネクロマンサーだな! 我らの掟を忘れたか!? 屍の話を聞くな! 話を聞けば逆に屍に乗っ取られるぞ!」
しかしアリオネルダはネイクラに答えた。
「私は私を都合よく使ったあなた達を恨んでいます。あなたがどんな事を言っても話は聞きません」
アリオネルダの毅然とした態度を見たインメリアはアリオネルダに尋ねた。
「アリオネルダ。このネクロマンサーの女にはお仕置きをしなければならないようだ。辛い赤カラシを600倍にまで濃縮した液体をかけるのと、噛みつきアリの大群に体を噛ませるのは、どちらが良いか?」
それを聞いたネイクラは思わず声をあげた。
「ひぃぃっ!」
しかしアリオネルダはしばらく静かに考えると、インメリアに言った。
「おまかせします」
それを聞いたインメリアは嬉しそうに答えた。
「分かった、任せろ! 両方だな!」
「イヤァァアアア!! やめ……、て……」
それを聞いたネイクラは絶叫すると、なんとそのまま気を失ってしまった。
すると、アリオネルダも突然膝をついてゆっくりと倒れ始めた。
近くにいたゴゴとメメはアリオネルダを受け止めると、それを見たインメリアは剣を抜いて警戒した。
その様子を見ていたゴゴはインメリアに尋ねた。
「ど、どうしたんだな。な?」
「いや、ドラゴンを操るアリオネルダが倒れた。ドラゴンが暴れ出すのではないかと警戒した」
しかし屍のドラゴンは大人しく立ったままだった。
するとインメリアは剣を納めてアリオネルダを気づかった。
「アリオネルダ、大丈夫か?」
アリオネルダは顔色を悪くしながらもインメリアに答えた。
「はい、大丈夫です。突然いろいろ起きたので体が驚いてしまったようです」
「そのようだな……。よし、クラクモに診てもらおう」
インメリアはそう言ってアリオネルダを抱きあげると、クラクモの所へ歩き出した。
アリオネルダは抱きかかえられた事に驚くと、思わず声を上げた。
「あ、あの! ごめんなさい」
「なぜ謝る。今は何も気にせず静かに休め」
「あ……、はい……。ありがとうございます……」
アリオネルダはそう言って力を抜くと、インメリアはゴゴとメメに言った。
「ゴゴ、メメ、念の為ドラゴンを見張っておいてくれ」
「わかったんだな。な」
「はい」
そしてインメリアは村人たちを守っていたラゴを見つけて声をかけた。
「ラゴ、あのネクロマンサーの女を捕らえておいてくれ。今日はコラナッカ男爵が新しいデカトラの納品に来る。彼の事だ、きっとネクロマンサーは面白い研究材料だとか言うだろう」
「分かった。任せてくれ」
ラゴはそう返事をするとネイクラの元へと歩いていった。
◆
午後、ヨクヨ商会の取引が忙しくなってくる頃、新しいデカトラを納品しに来たコラナッカとエリシャウが村の外れにある小屋でネイクラを尋問していた。
コラナッカはネイクラに目の治療のための包帯で目隠しをし、ネイクラの周りに様々な測定機と死体を置いてネイクラ尋問していた。
「おい、今お前の目の前にキツネの死体を置いた。操れるだろ?」
しかしネイクラは何も答えなかった。
するとコラナッカは芝居するようにエリシャウに言った。
「この女、喋れねぇんじゃねえか? なぁエリシャウ、この女の喉を切り開いて治療してくれよ」
「はい、それが良いですね。ではこのナイフで」
エリシャウがそう言うと、ネイクラは咄嗟にキツネの死体を操って視界を乗っ取った。
しかしネイクラはキツネの体を動かそうとすると、体を左右にクネらせる事しかできなかった。
「うっ……、うう……?」
ネイクラは思わず声を漏らすと、その様子を見たコラナッカはネイクラに言った。
「悪いな。それはキツネじゃなくて、新鮮な魚の死体だ。キツネなんか操らせたら危ねぇからな」
それを聞いたネイクラは悔しそうに術を解くと、コラナッカは感心しながら呟いた。
「なるほどな。ネクロマンサーは死体が見えなくても、死体は感知できるんだな。ほほぅ」
そしてコラナッカは床に置いていた魚を見ると、興味深そうにエリシャウに言った。
「それにしてもネクロマンサーは目が見えなきゃ死体が何なのかは分からねぇみたいだな」
「そのようですね。遺跡の集落に置いた本物のキツネの死体には気づかなかったようですね」
それを聞いたネイクラは必死にキツネの死体を探した。
しかし距離が遠すぎて死体の気配を正確に探すことが難しかった。
するとエリシャウがコラナッカに言った。
「そういえば、村の外にあるヨクヨ商会の倉庫の横に鳥が死んでいたと聞きましたが、それも気づかないようですね」
ネイクラはその言葉に必死に鳥の死体を探すと、遠くにぼんやりと死体の気配を感じ取った。
「……!」
ネイクラはその死体に精一杯の術を送ると、なんと操ることに成功した。
(やったわ! 鳥の死体なら助けを呼びに行ける!)
ネイクラはそう思って視界を共有した。
ピチピチ……
しかしヨクヨ商会の倉庫の横で、魚がピチピチと跳ねただけだった。
ネイクラはまた騙されたのだった。




