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異世界おじいちゃん 〜みんなで異世界転生〜  作者: オイシイオコメ
異世界おじいちゃん ~みんなで異世界転生~
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 その頃ネクロマンサーの双子、ネイクロとネイクラは皇帝の間でネクロマンサーの仲間から報告を受けていた。


「ネイクロ様、ネイクラ様。英雄墓から多数の英雄たちを蘇らせることに成功しました。しかし……」


「しかし?」


「英雄たちは強靭な精神力を持ち、ほぼ全員が操ることができず……。数人はすでに故郷へ帰ると言って居なくなってしまいました」


「なんだと? だが、そんなもの逃げた英雄との術を解除すれば死ぬだけだろう。なぜ取り逃がした?」


「それが……。すでに気づいた時には術者の術の範囲を超えており……。もはや解除は不可能かと……」


 それを聞いたネイクロは思わず声を荒げて叱責した。


「ネクロマンサーともあろうものが何をしているんだ! もっとしっかり管理をしておけ!」


「はっ、申し訳ございません! しかし、残った英雄たちは高級住宅街に住まわせ、皆満足しているようでございます」


「……そうか。ならば引き続きそこで厳重に管理しておけ」


「はっ!」


「あとは敵の状況だな。まず、逃げたガンデロ帝国が滅びたというのは本当か?」


「はい。混乱に乗じて私が偵察してきましたが、ガンデロ皇帝は処刑されて隣国のマデマメヤ国の支配となり、難民となった人々はヤクウィーの領地へ行くと」


 するとその話を聞いていたネイクラがネイクロに言った。


「お兄様、ヤクウィーは油断なりません。お兄様のドラゴンを倒したヤクウィーは許せませんわ」


 しかしネイクロは少し考えてネイクラに答えた。


「うむ。確かにヤクウィーの力は気になるが、ヤクウィーの領地は情報が無さすぎる。もうすでに我らが知っている弱いヤクウィー領では無いようだ」


 するとネイクラは少し笑みを浮かべながら答えた。


「大丈夫ですわ、お兄様。私たちにはドラゴンが居るのですもの。闇夜(やみよ)に乗(じょう)じて私が偵察してきますわ」


「おお、確かにその手があったな。だがくれぐれも見つかるなよ。我らの戦力はまだ乏しい。先に攻め込まれたら厄介だ」


「はい、お兄様。絶対に見つかりませんわ」


 ネイクラは自信満々に笑った。


 ◆


 その日の深夜、ネイクラは単身ドラゴンの背に乗ってヤクウィー領の上空を飛んでいた。


「やっぱり深夜なら、誰にも気づかれずにヤクウィー領に入れるわね」


 そして上空からヤクウィー領を観察すると、沢山の町や村、そして整備された道と大都市が確認できた。


「あの最弱と言われていたヤクウィー領が、なんて栄えているの……。どこか攻めやすい脆弱(ぜいじゃく)なところがあると思っていたのに……」


 そしてネイクラはドラゴンを大きく旋回させると、少し高度を落として詳細に観察し始めた。


「……あれは間違いなく兵の訓練場ね。こんなに沢山あるなんて。これは予想以上に調べなくてはならないわ……」


 ネイクラはさらに高度を下げると、兵の訓練場の近くを詳しく調べ始めた。


「……あれは兵舎ね。あの規模は数千以上は兵が居そうね。それにしても、なんて大規模な兵舎なの……」


 するとその時、東の空が薄っすらと明るくなり日の出の時間が近くなっていた。


 それに気づいたネイクラはドラゴンを旋回させると、なんと、地上に1人の人間と馬が居ることに気づいた。


「人……!」


 そしてネイクラはその人間と目が合ってしまった。


「しまった!」


 なんと地上にいた人間と馬は、落馬してクラクモにも治療できずに騎士を諦めた元騎士と、共に戦ってきた戦馬だった。


 元騎士と戦馬は南からの輸送が許され、住んでいた兵舎から戦馬と一緒に南の村へと出発するところだった。


 元騎士はネイクラに気付いて素早く戦馬に乗り込むと、全速力で馬を走らせた。


 それを見たネイクラは顔面蒼白になって呟いた。


「なんで見つかるの? 見つかったらだめじゃない……。失敗しちゃだめなの。お兄様のお役にたちたいの。お役にたたないとダメなの! あいつ殺す!」


 ネイクラは目を大きく見開いて逃げていく元騎士を睨みつけると、ドラゴンを急降下させて元騎士を追いかけた。


 しかし戦馬はどんどん加速してゆき、なんとドラゴンを少しずつ引き離していった。


 戦馬を駆る元騎士は腰を高くして前傾姿勢をとり、さらに戦馬を加速させると優しく戦馬の首を撫でながら言った。


「ははは。まさか、こんな緊急事態になるなんてな。頼むぜ、ここから一番近いベベの村まで全速力だ。あの村には強い皆さんがいる。皆さんに指笛で合図したら村を守るために旧魔王領まで走り抜けてドラゴンを引き付けるぞ!」


 ブルルル!!


 戦馬はその言葉を聞くと、眼光鋭く息を吐いた。


 しかしその時、引き離されて見境を無くしたネイクラはドラゴンに炎を吐かせた。


「ぜったいに逃さないわ!!」

 ブオォォオオオオ!!


 すると、元騎士は予想もしていなかったドラゴンの炎に驚いてしまった。


「なっ! うわぁぁっ!!」


 元騎士は思わず手綱に力を入れて引いてしまうと、戦馬は強制的に進行方向を変えられてしまい、グラリとふらついてしまった。


 その時、戦馬の視界はスローモーションになり、脳裏には主人を落馬させてしまった記憶が鮮明に蘇った。


 そして、あの日と同じように縺(もつ)れていく前足を感じた。


 しかし戦馬は目を大きく見開いて首を高く上げ、大きく声をあげた。


「二度も倒れてなるものか!! 主人は私が守る!!」

 ヒヒィィィン!!


 ガッ!!


 戦馬は前足が縺(もつ)れる前に後ろ足を力強く蹴り出すと、なんとさらに加速して転倒するよりも早く前に進んでいった。


 ダダダダッ ダダダッ!


 そしてドラゴンの炎から逃れるように土煙をあげると、そのまま見事にドラゴンの炎を避けきって走り抜けた。


 すると戦馬を操る元騎士も冷静さを取り戻して手綱を握り直し、戦馬に声をあげた。


「ありがとう! また、お前に助けられたな! このまま走り抜けるぞ!!」


 ブルル!!


 戦馬は一直線にベベの村へと向かった。


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