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「茂雄コーチ! おなしゃぁス!」
魔王エヴは気合もろとも腹から声を出すと、茂雄はミットを構えて魔王エヴに言った。
「いつでもどうぞ魔王さん」
「あじゃじゃぁぁス! いかせでいだだきゃぁぁス!」
なんと腹筋6回で死にかけていた魔王エヴは、その悔しさをバネに茂雄の指導の元、体をバッキバキに鍛えていのだった。
魔王エヴはガードを固めながら素早くステップすると、軽やかにワンツーパンチを決めていった。
パンパン! パンパン! パンパン!
茂雄はミットで魔王エヴのパンチを受けながら、ミットで魔王エヴの顔を狙った。
ブンッ…… フッ
しかし魔王エヴはそれを素早くよけると、茂雄のミット目がけて鋭いアッパーカットを決めた。
バンッ!
それを見ていたボクシング部の他の部員たちは口々に呟いた。
「まさか魔王さんが……」
「ああ。間違いなくボクシングの才能あるよな」
「パンチ重いなぁ」
すると、その様子を横で見ていた柔道部のアカネはニヤリと笑うと、手にバナナの皮を出現させて呟いた。
「エヴっち、やるじゃんか。でもコレはどうかな。へへ」
アカネはそう言うと、魔王エヴの足元にバナナの皮を投げつけた。
ヒュッ!
バナナの皮は魔王エヴの足元に落ちると、魔王エヴは見事にバナナの皮の上に足を乗せた。
ズルッ!
魔王エヴは見事にすっ転んだ。と思いきや、なんと、そのまま片手でバク転をして体勢を整えた。
それを見たアカネは思わず声をあげた。
「うおっ! やるじゃんエヴっち!!」
すると魔王エヴはファイティングポーズを取って答えた。
「アカネ! あじゃじゃぁぁス!」
それを聞いたアカネは笑いながら答えた。
「ははは、エヴっち何で変な喋り方なんだよ!」
魔王エヴはアカネの言葉に少し冷静になると、ゆっくりと両手のグローブを下ろしてアカネに言った。
「いや、なぜか分からぬのだが、ボクシングをしようとすると気合が入りすぎるのか、ドスの効いた声になってしまってな……」
魔王エヴがそう言うと、茂雄が軽くミットを叩いて魔王エヴに言った。
「ははは、魔王さん。まだミット打ちの途中ですよ」
それを聞いた魔王エヴは眼光鋭くファイティングポーズを取ると、気合もろとも声をあげた。
「あぁい!! しつれしゃしゃした! おなしゃぁぁあス!」
魔王エヴは素早くワンツーパンチをミットに打ち込んだ。
◆
その頃、村の広場ではメロナッカが主宰するダンス部がレッスンを始めようとしていた。
ダンス部の部員たちは整列して並ぶと、メロナッカは新しい女の子が居ることに気づいて話しかけた。
「あら、あなた新しい娘ね。私は講師のメロナッカよ。あなたは?」
「あ、はい……。私はアリオネルダ」
「まぁ! エレガントなお名前ね。よろしくね」
「あ、は、はい。私なんかが……、ええと……」
アリオネルダが慌てるとメメがメロナッカに言った。
「メロナッカ先生、アリオネルダは恥ずかしがり屋で……」
「うふふ、大丈夫よ。アリオネルダちゃん、分からないことがあったら何でも聞いてね」
それを聞いたアリオネルダは恥ずかしそうにしながら答えた。
「ありがとうございます」
その様子を見たメロナッカは優しくウンウンと頷くと、片手を大きく挙げてダンス部のみんなに言った。
「さぁ、始めるわよ! 今日はアリオネルダちゃんもいるから最初からおさらいよ!」
「「はい!」」
「じゃあ、最初のステップからセクスィーにウェイブね! いくわよ! ワン、エン、トゥー、エン、スリー、エン、フォー、エン……」
アリオネルダは恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに、隣のメメと一緒にダンスを始めた。
◆
その頃、魔馬が主宰する裏クラブが活動を始めていた。
魔馬たち戦馬は、ヨクヨ商会の仕事が終わるとサトゥマ芋の葉が増えすぎるのを防ぐためサトゥマ芋畑に放されていたのだった。
戦馬たちはサトゥマ芋の葉を食みながら魔馬の話を聞いていた。
「サトゥマ芋の葉を減らしたら、ぶつかり稽古だ。今のうちに食べておけ」
「「はい!!」」
「しかし皆、先日の戦いは素晴らしかった。特に、ネクロマンサーの操る熊や狼の群れを切り抜けた時は感慨深いものがあったぞ」
それを聞いた馬たちは嬉しそうに答えた。
「ありがとうございます」
「魔馬様のおかげです」
「はい、その通りです」
すると魔馬も嬉しそうに馬たちに言った。
「いや、お主たちの努力があってこそだ。お主たちはインメリア騎馬隊として戦地へ赴き、全員主人を死なせずに戻ったのだ。お主たちは私の誇りだ」
しかし、1頭の戦馬が魔馬に言った。
「申し訳ありません! 私は主人に大怪我をさせてしまいました! それも私が倒れたばかりに!」
それを聞いた魔馬は葉を食むのを止めてその馬に言った。
「ああ、見ていたぞ。だが、お主は怪我をした主人が乗りやすいように伏せ、そして再びあの熊と狼の群れを切り抜けてクラクモ医療団へと駆け抜けた。お主は命がけで主人を守ったのだ」
「し、しかし……、我が主人はクラクモ様でも治癒できないほど腕を……」
するとその時、ちょうどクラクモ医療団のデカトラがやって来てサトゥマ芋畑の前に止まった。
ヒュゥゥ……
そして、デカトラからクラクモが降りてくると、なんとクラクモと一緒に腕を痛めてしまった馬の主人も降りてきた。
そして主人は自分が乗っていた馬を見つけて駆け寄ると、馬の額に自分の額を寄せて優しく頬を撫でた。
「お前のお陰で助かった。ありがとう。それに、すまなかった。不甲斐ないおれは怖くなって手綱を曖昧に引いてしまった……。転んだ傷はないか?」
それを聞いた馬は静かに息を吐いた。




