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その頃、ガンデロ帝国のスパイの生き残りたち2人が、町から逃げ出そうとしていたネクロマンサー3人を捕まえていた。
スパイの生き残りはニヤニヤと笑いながら3人を尋問していた。
「おれらに見つかるとは運の良い奴らだな。だが、おれたちからは逃げられないぜ。おれらは特殊な訓練を受けたスパイだ。格闘や捕縛術には自信がある」
それを聞いた3人は目を逸らして下を向いた。
「おまえらドラゴンたちを操ってたネクロマンサーだろ? じゃなきゃ逃げ出さないよな?」
すると3人のうちの1人答えた。
「いえ……、我々は旅の者でして、たまたま近くを通りかかっただけです」
「はぁ? たまたま近くを通るには不自然な場所だ。じゃあ、行き先はどこなんだ?」
「行き先……」
「あたりまえだろ? 旅してるんだろうが」
「あ、ええと、あてもなくもなく旅をしていたというか……」
「んなわけねぇだろ、そんな軽装で」
「いや、これは……」
「お前らネクロマンサー確定だな。これでおれたちは英雄スパイだ! とんでもない土産ができたぜ」
すると仲間のスパイの生き残りもニヤニヤと笑いながら言った。
「だな! これで昇格と褒美がたんまりだ!」
◆
その夜、おじいさんたちは戦いの勝利を祝し、町の広場で大きな篝火を設けて祝賀会を開いていた。
祝賀会は、ヤクウィー王からデカトラで差し入れられた酒で大いに盛り上がっていた。
そしてその盛り上がりの中、マコ王は篝火の前に止められたデカトラの荷台に飛び乗って声をあげた。
「皆のもの! ひととき静粛に頼む!!」
ザワザワ……、シーン……
マコ王の言葉にその場が静かになると、マコ王はゴゴを呼んだ。
「ゴゴ! ここへ!」
するとその声に驚いたゴゴは恐る恐るマコ王のいるデカトラの荷台に登った。
マコ王はゴゴの前で姿勢を正すと、ひときわ大きな声で宣言した。
「此度の戦い、武功は等しく皆にあるが、その中でも魔族の兵たちは一際大きな武功をあげた! ドラゴンの脚を砕く功績、大変見事であった!!」
それを聞いた魔族の兵と皆は歓声をあげた。
「「「おおぉぉぉおおおお!!!!」」」
そしてマコ王は大きな布の包みをインメリアから手渡されると、その布を広げながら皆に宣言した。
「これはドラゴンの角2本だ! このうち1本を魔族の者たちに贈り、我ら人間と魔族との友好の証にしたいと思う!」
それを聞いたゴゴは緊張した面持ちでドラゴンの角を受け取った。
そしてゴゴは受け取ったドラゴンの角を手に持って高々と掲げると、満面の笑顔で魔族たちに言った。
「みんな、やったんだな! おでたちがんばったもんな! 人間のみんなも、エルフのメメもがんばったもんな! な!」
「「「おおぉぉぉおおおお!!!!」」」
ゴゴの姿を見たメメは涙を流して喜び、魔王エヴもゴゴの勇姿を喜んだ。
するとマコ王は近くに居たラゴに言った。
「ラゴよ、酒はあるか?」
「もちろん、まだまだあります!」
マコ王はラゴから酒を受け取るとゴゴの手を取って皆に言った。
「よし! 魔族よ! 人間よ! エルフのメメよ! これからの友好関係に乾杯しようではないか!」
「「「おおぉぉぉおおおお!」」」
「ではいくぞ! 我らの明るい未来に……、乾杯!!」
「「「かんぱーい!!!」」」
こうして祝賀会は夜遅くまで続いた。
◆
祝賀会も終わり、女性たちが眠るテントではネクロマンサーのアリオネルダが1人だけ起きていた。
アリオネルダは思い立ったように立ち上がってテントの外に出ると、テントの外で番をしていたゴゴが気づいて話しかけた。
「どうしたんだな? 用を足すのかな、な?」
「ううん。生きてるかどうか確認したくて」
「んん? ええと……。おまえはどう見ても生きてるんだな。な」
するとアリオネルダは少しだけ笑みを浮かべて答えた。
「ありがとう。夢じゃなかったみたい」
「ははは、夢じゃないんだな。おでは起きてるから夢は見れないんだな。な」
「うふふ、面白いゴブリンさんね」
「そ、そうか? ははは」
「それに、あなたの奥様も素敵ね。メメさんは何も言わずに抱きしめてくれたわ。私の事を知っているみたいに」
「メメは……、メメはむかし大変だったんだな。ええと、メメは優しいんだな。でも、ええと……、なんて言えばいいんだな? な?」
ゴゴが困っているとアリオネルダは笑顔でゴゴに言った。
「大丈夫。メメさんが苦労をされていた事も分かるわ」
「そ、そうか! メメの事を分かってもらえて、ありがとうなんだな。な。ははは」
ゴゴは嬉しそうに笑うと、アリオネルダはスッと涙をこぼした。
それを見たゴゴは慌ててアリオネルダに言った。
「だ、だいじょうぶか? どこか痛いのか?」
「ううん、大丈夫よ。ごめんなさい、素敵なご夫婦ね。私ずっと1人だったから少し羨ましくて」
スッ……
するとその時、テントからメメが出てきてアリオネルダの横に並び、アリオネルダの手を優しく握った。
「アリオネルダさん、私も長い間1人だった。でも、もう大丈夫。これからは私たちが側にいるから」
それを聞いたゴゴも慌ててアリオネルダの手を握って言った。
「そ、そうなんだな。おでもメメと一緒に、そばにいるんだな。だから1人じゃないんだな。な」
アリオネルダは優しく2人の手を握り返すと、静かに涙を流した。




