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魔族の兵たちがドラゴンの足首に突撃した事を確認したコラナッカは、デカトラから降り、荷台で弓の準備をしていたエスプララと杖を用意していたおばあさんに指示を出した。
「エスプララ、出番だぜ! ドラゴンの頭を撃ち抜いてくれ!」
「任せて」
「洋子さん、同じくドラゴンの頭を狙ってください!」
「わかったわ!」
エスプララとおばあさんはデカトラの荷台から降りると、2人並んで攻撃準備をした。
エスプララはイリューシュが使っていたオロチの弓に8本が1セットになったオロチの矢をつがえると、全身をしならせるようにして大きく弓を引き、照準を合わせた。
そしておばあさんは氷魔法の大呪文の詠唱を始めた。
「凍てつく氷の女神たちよ、我に冷血なる力を与えたまえ。凍る六花の結晶をもって嘆願する。あの者に絶対零度の裁きを!」
キィィン……
おばあさんが詠唱を終えると、巨大な氷の塊がドラゴンの頭上に現れた。
そしてタイミングを合わせるようにエスプララが矢を放った。
ゴォォオン!!
シャァァアアア!
エスプララが放った矢は空中で8本に別れ、そのまま一直線にドラゴンの頭へと飛んでいった。
そして、
ズドドドドドドド!!
全ての矢が命中すると、そこへおばあさんの氷の魔法が炸裂した。
ズガガガガガガ!!!
グォォオオ……
ドラゴンは頭への集中攻撃を受けて硬直すると、それを見たコラナッカはおじいさんとメメに言った。
「ひろしさん、メメ、今だ! ドラゴンの頭を狙ってくれ!」
「はい!」
「はい!」
おじいさんはコラナッカの指示を聞くと、火炎玉を大きく振りかぶって投球フォームに入った。
そしておじいさんは大きく一歩を踏み出すと、腕をしならせて火炎玉をドラゴンの頭へと投げつけた。
シャァァアアア……
パンッ!
火炎玉はドラゴンの頭に当たって破裂すると、炎が一気に燃え上がり、ドラゴンの頭を炎が包みこんだ。
それを見たメメは、矢じりに風の魔石が埋め込まれた矢をつがえると、力いっぱい弓を引いて素早く矢を放った。
ヒャッ!
フワァァアアアアア!!!
メメが放った矢は風の渦を巻き起こしながら飛んでゆき、見事ドラゴンの頭に命中した。
すると風の魔石が埋め込まれた矢は炎を巻き込んで渦を作り出し、炎の火力を増していった。
ギャオォォオオオオ!!
ドラゴンは炎の攻撃に大きく咆哮すると、大きく体を揺らして下がろうとした。
しかしその時、
ゴキャッ……
なんと魔族の兵たちが全力で攻撃していた足首の関節が砕け、ドラゴンはバランスを崩して倒れていった。
ドゴォォオオ……
それを見たコラナッカは予想外の出来事に驚きながら声をあげた。
「まじか! 魔族のやつらヤルじゃねぇか!!」
ドラゴンが倒れると、メメは素早く大地の精霊の魔法を呼び出した。
「大地の精霊たちよ、力をお貸しください!」
メメがそう言って地面を叩くと、地面から何本もの太い木の枝が飛び出し、そのまま倒れたドラゴンの口に絡みついた。
そしてそこへ、おじいさんが粘着玉を次々に投げ込むと、ドラゴンの口は完全に封じられて炎を吐き出すことが出来なくなった。
コラナッカはおじいさんとメメの活躍に笑うと親指を立てながらメメに言った。
「おっしゃー! ひろしさん、メメ、最高だぜ!」
コラナッカは意気揚々とデカトラに乗り込むと、外で待機していた魔王エヴに指示を出した。
「ドラゴンは足止めできた! こらから全員を退避させるから、そしたら頼んだぜ!」
「うむ。動かぬドラゴンならば、問題なく灰にしてみせよう」
コラナッカは魔王の返事を聞くと、おじいさんたちに大きな声で指示を出した。
「ひろしさん、みんな! 急いで逃げるから荷台に乗って!!」
その声を聞いたおじいさんたちは走って荷台に乗り込んだ。
コラナッカはみんなが荷台に乗り込んだ事を確認すると、窓から顔を出しておじいさんたちに言った。
「おっし! 魔族のヤツらのとこへ出発するからしっかり捕まってて!」
ヒュゥゥウウウウ!
コラナッカはデカトラを発進させると、窓から片手を出してラジジたちに集合の合図を送った。
ラジジは右手で指示を了解した事を伝えると、盾LOOPY団は一斉にコラナッカのところへ集まって並走した。
コラナッカは集まってきたラジジたちに窓から顔を出して指示をした。
「今から撤退する! できるだけ魔族のやつらを乗せて逃げてくれ! 残りはデカトラに乗せて逃げる!」
「はっ!!」
こうして魔族たちは歩幅の大きい巨人や速く移動できる者はそのまま逃げ出し、それ以外の魔族たちはラジジたちとデカトラで撤退した。
◆
足首を砕かれて身動きが取れなくなったドラゴンから全員離れると、魔王エヴがイグナイト・ザ・サンダーバーストを放ち、ドラゴンを完全に焼き尽くした。
そして、インメリア率いる騎馬隊と白騎士団も狼と熊の群れを撃破し、怪我をした兵士たちも全員救出されてクラクモたちの治療を受けていた。
こうしてネクロマンサーが操る屍たちとの戦いは終わった。
◆
戦いが終わり、インメリアの騎馬隊にいたラゴが最後の見回りをしていると、1人の若い女性が話しかけてきた。
「わたしは、ネクロマンサー。わたしが今回の犯人」
「なにっ!?」
ラゴは驚きながらも、若い女性の腕を掴んで拘束した。
◆
ラゴはネクロマンサーの女性を連れてインメリアのところへ行くと、インメリアに女性の事を話した。
「インメリア、この女性がネクロマンサーだと言うのだけれど」
すると女性は無表情でインメリアに言った。
「わたしは、ネクロマンサー。わたしが今回の犯人」
しかしインメリアは鼻で笑うと優しく女性に言った。
「ふっ。お前は身代わりだろう? お前の顔は人など殺したことのない者の顔だ。それに自分が犯人だから捕まえろという犯人はいないぞ」
「……」
「それよりお前は本当にネクロマンサーなのか?」
「ええ。でも死体の操り方も知らないし、少し前までは普通に暮らしていたわ」
「そうか、何か理由がありそうだな。とりあえず、お前は私が預かる。その分だとネクロマンサーの仲間の元へも帰れないだろうしな」
インメリアの言葉に女性は悲しい表情を見せると、インメリアは女性を庇うように言った。
「申し遅れた。私はインメリア。お前は今から家に隠れていた逃げ遅れの女ということにする。心配するな、お前は私が必ず守る」
「ありがとうございます……。わたしはアリオネルダ。宜しくお願いします」
アリオネルダはインメリアに頭を下げた。




