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おじいさんたちが戦闘の準備をしていると、コラナッカとエリシャウがデカトラでやって来た。
そして、コラナッカとエリシャウはデカトラから降りると、コラナッカは嬉しそうにおじいさんのところへ走った。
「ひろしさん!」
「これはこれは、コラナッカ男爵様」
「ひろしさん、おれまた新しい玉を作ってきたんだよ」
「本当ですか? いつも、ありがとうございます。ですが、よろしいのでしょうか、いつも頂いてばかりで……」
「何言ってるんだよ、良いに決まってるじゃん! 見てよ、これが新しい玉でさ、火炎玉っていうんだ」
コラナッカはそう言うと嬉しそうに火炎玉をおじいさんに手渡した。
「火炎玉ですか……?」
「ひろしさんが使ってる爆発する球の強化版みたいなもんでさ、この玉が当たると、当たった場所から炎が延焼して火だるまさ!」
「ええっ? そんな事が?」
「その玉の中には小さい炎の魔石が入っていて、球に圧入してある揮発性の高い油に引火するんだ。これならドラゴンも火だるまだぜ!」
「それは凄いですね。とても心強いです」
「今度の敵はみんな一度死んでるから、ひろしさんも気にしないで戦えるでしょ」
「そうですね……。それでも、できれば誰も傷つけたくはないのですが、今回はそれよりも皆さんの命をお守りしたいです」
「そっか。ひろしさんはどこまでも優しいな……」
コラナッカとおじいさんが話していると、突然角笛の音が響き渡った。
ブォオッ! ブォォォオオ!!
角笛の音を聞いたマコ王は声をあげた。
「屍たちが来たぞ! 総員配置につけ!!」
ドドドドドドドド……
すると遠くからネクロマンサーに操られた屍の熊と狼の群れが町に侵入してきた。
その様子を確認したマコ王は騎馬隊、白騎士団、魔族の兵に指示を出した。
「白騎士団、インメリア騎馬隊、魔族の兵! 屍に突撃!! 殲滅せよ!!」
「「「おおぉぉぉおおおお!!!」」」
その声に一番乗りで飛び出したのはインメリア率いる騎馬隊だった。
インメリアの乗る魔馬を先頭に、戦馬たちは恐ろしい勢いで加速していくと、後続の白騎士団と魔族の兵たちをどんどん引き離していった。
マコ王は白騎士団を率いながらインメリアの騎馬隊に感心して呟いた。
「それにしても、なんという加速力だ。もはや異次元だな」
しかしマコ王が呟いている頃、すでに先頭のインメリアの騎馬隊は屍の熊たちに突撃していた。
インメリアは魔剣を抜いて高々と掲げると、後続の騎馬隊に声をあげた。
「いくぞ! 中央突破して、背後から攻める! 白騎士団と挟み撃ちだ!!」
「「おおぉぉぉおおおお!!」」
インメリアは魔剣を構えると、魔馬に話しかけた。
「魔馬よ、いけるな」
それを聞いた魔馬は加速しながら答えた。
「あの程度の獣など、止まった石像にすぎぬ」
魔馬はそのまま屍の熊の群れに突っ込むと、ジグザグにステップしながら疾風のごとく駆け抜けていった。
そして、後に続く戦馬たちも魔馬と同じようにステップしながら軽やかに屍の熊の群れを駆け抜けていった。
そのままインメリアの騎馬隊は殆ど無事に通り抜けると、一気に方向転換して、熊の群れの背後から襲いかかった。
「総員、突撃ぃぃいい!!!」
インメリアの声が響き渡ると、騎馬隊は剣を抜き、突撃していった。
その頃、後方からその様子を見ていた魔族の兵士たちとゴゴはインメリアたちの鮮やかな戦いぶりに驚いていた。
「インメリア、すごいんだな。あんなにたくさんの敵をすり抜けるだなんて、おどろいたんだな。でも、おでたちも、負けてられないんだな。な」
するとその時、デカトラに乗ったコラナッカが魔族の兵に追いついてきて大声でゴゴに言った。
「スケルトン兵たちがあらわれた! 数は約500だ! 魔族の兵はこちらの援護を頼む!」
「わ、わかったんだな! な!」
「ついてきてくれ! 頼んだぜ!!」
コラナッカはそう言ってデカトラを加速させると、町の1件の家から顔を出した2人の人物が物珍しそうに通り過ぎたデコトラを見ていた。
2人は顔を見合わせると家の中に隠れて静かに話しだした。
「あの騎馬隊たちの戦いに、あの乗り物、それに魔族が共闘だと……?」
「ああ、魔族が指示に従っている……。しかし尋常じゃないほど訓練されている騎馬隊だな。それにあの乗り物、恐ろしい速さだ……」
「あの最弱と言われたヤクウィーが……。信じられん」
なんとこの2人は元ゲンゲゲロの領地からヤクウィーの領地に派遣されていたガンデロ帝国のスパイの生き残りだった。
「だが、このヤクウィーの予想外の変化はおれたちに好都合だ」
「ああ。それにあの屍たちはネクロマンサーに間違いねえ。ガンデロ皇帝陛下が知っておかなきゃならねえ情報がたんまりだ」
「おれたち低級スパイはガンデロ帝国がゲンゲゲロから引き上げる時に見捨てられたからな……。だが、この情報を持って帰れば……」
「ああ、ガンデロ帝国に役に立つ情報を持って帰った英雄スパイだ。昇格と褒美は間違えねえ」
「お、おい。あれを見ろ」
「スケルトンが現れたな。見に行くぞ」
2人は家から出て、隠れながら移動した。
◆
その頃、スケルトンの群れに向かっているコラナッカは、隣に座っているリッチに確認するように話しかけた。
「リッチ、心の準備はできたか? 知り合いがあの中に居るんだろ?」
「あ、はい……。でもダリンダさんも……、ええと、あの世に帰って楽したい……、って、言ってましたし」
「……」
コラナッカが何も返事をしないとリッチは少し悲しそうに言った。
「だけど……。ダリンダさん、最初から私がスパイだって知っていましたし……。だから気を使ってあんな事を言っていたのかもしれません……」
するとコラナッカはリッチに言った。
「そのダリンダってやつが仲間と一緒に魔力を注入した首飾りをくれたんだろ? なら、スケルトンたちは死ぬことを願ってるんじゃねぇの?」
リッチはコラナッカの言葉を聞いて首からかけている首飾りを優しく触ると、コラナッカに答えた。
「……そうですね」
「じゃあ頼むぜ。スケルトンたちはすぐそこだ」
コラナッカはそう言うと、デカトラを止めた。




