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その頃、再び男爵となったコラナッカはエリシャウと共に研究室に籠もり、次々と発明品を作り出していた。
そしてコラナッカは大型の発明品を完成させて一息ついた。
「ふぅ。やっと出来たぜ! ひろしさんのケイトラからヒントを得たデカトラの出来上がりだ!」
なんとコラナッカは、人が30人は乗れそうな大型の荷台を備えた大型トラックのような乗り物を完成させた。
そのデカトラと名付けられたトラックは魔石の力で地面から少し浮いていて、タイヤは付いていなかった。
それを見たエリシャウは興奮しながらコラナッカに言った。
「コラナッカ様! この短期間ですばらしぃですぅ! 早く試運転に行きましょう!」
「そうだな! まだ屋根とか付いてないけど走るのには問題ねぇ。テストついでにベベの村に行こうぜ。ひろしさんに新しい玉を渡したいんだ」
「いやぁ~、コラナッカ様はホントにひろしさんが好きですねぇ~~。もしかして、年の差BL的なぁ~~」
「おいおい、それは流石に妄想すぎるだろ。まぁ、けどさ、ひろしさんには本当に良くしてもらったんだよ。なんかさ、初めて恩返ししたいと思った人なんだよな」
「あ、え、あ、そ、そうだったんですね。すみません、茶化したみたいに言っちゃって……」
「いやいや、謝るなって。ぜんぜん大丈夫だから。でも昔のおれだったら怒ってたよな。うん、あ、ええと……。エリシャウ……、えっと、あの、今まで悪かったな」
「えっ! はっ! え、いえ! こ、こちらこそすみませんでした!」
エリシャウが驚きながら直立すると、コラナッカは気まずくなって無言になった。
しかしコラナッカはその場を明るくしようと、新しい玉を見せながらエリシャウに言った。
「で、でさ、これがひろしさんの新しい玉なんだけど、なんとその名もアリ玉だ! 当たると無数の噛みつきアリが飛び出して、鎧の隙間から入ってくっていう恐怖の玉だ!」
「うぉおお! それは凶悪ですね!」
「あ、あとこれはカラシ玉! なんとあの辛い赤カラシを600倍にまで濃縮した液体が飛び散るんだぜ!」
「うひょぉぉお! 目にでも入ったら3日は開けられませんね!」
「そうなんだよ! 早くひろしさんに届けないとな! さぁ、デカトラのテストに出かけるぞ!」
「はぁい! いますぐ準備してきますー!」
エリシャウはそう言って研究室から出て走り出すと、嬉しそうに呟いた。
「うふふ、良かった。コラナッカ様が元気になって。うふふ」
エリシャウは急いで部屋に荷物を取りに行った。
◆
しばらく後、コラナッカとエリシャウはベベの村に居た。
コラナッカはボッサボサの髪をかき上げながら、同じくボッサボサの髪のエリシャウに言った。
「このデカトラ、おれが作っといてなんだけどさ」
「はい……」
「これ、めっちゃ速くね!?」
「はぁい!!」
「昼過ぎにコラナッカ領を出たんだぜ!? 日が沈む前にベベの村って、ヤバくねぇか!?」
「はぁい! やべぇっす!!」
するとコラナッカの姿を見つけたおじいさんが嬉しそうに駆け寄ってきた。
「お久しぶりです、コラナッカ男爵様!」
コラナッカはおじいさんの声に気づくと両手をあげて答えた。
「ひろしさん、ひろしさん! これ見てよ、ひろしさんのケイトラにヒントを得て作ったんだぜ!」
おじいさんは大きなトラックのようなデカトラを見て驚きながらコラナッカに言った。
「これをコラナッカ男爵様が作ったのですか!?」
「そうだせ! 魔石の加工とか配置とか推進方向の調整が難しくって苦労したけど、なんとか完成したんだよ。しかも、めっちゃ速い!」
「いやぁ、コラナッカ男爵様は本当に器用ですね。感心します」
「いやいや、それほどでもないけどな。……あ、そうそう! ひろしさんに新しい玉をたくさん持ってきたぜ!」
コラナッカはデカトラから飛び降りておじいさんに新しい玉を手渡すと、嬉しそうに玉の説明を始めた。
「これはアリ玉って言ってさ、この玉が当たると無数の噛みつきアリが飛び出して敵の鎧の中に入り込むんだぜ。もちろん痛いだけで敵は死なないから安心してな」
「なるほど。ですが、それはなかなか恐ろしい玉ですね。……しかしアリたちは玉の中で死なないのでしょうか」
「そう思うでしょ!? そうはいかないのがコラナッカ様の発明品だぜ。この玉の中には極小の氷の魔石が入っててさ、寒さでアリ活動が鈍るんだよ。で、玉の内側は餌になっててさ……」
コラナッカが満面の笑顔でおじいさんに説明する姿を見たエリシャウは、優しい笑顔になって2人を見守った。
◆
それからしばらくはガンデロ帝国の動きもなく、コラナッカはデカトラをさらに5台作り上げ、それをヨクヨ商会が全て買い上げた。
そして、南の海では半魚人たちを中心にかつての難民たちが街を作り上げ、塩の生産から干物の生産までを効率よく管理することが可能になった。
さらに、とうとうベベの村の近くの遺跡は完全に改築され、魔族たちが快適に暮らせる町になっていた。
その上、マデマメヤ国全体の公共事業によってヤクウィー王の領地にも潤沢に水が行き渡るようになり、それに携わったかつての難民たちも生活水準があがった。
その流れで、かつての難民たちは次第に大きな町を作るようになり、マデマメヤ国の経済はさらに活性化して、国民の生活水準は大きく向上した。
こうしてマデマメヤ国が栄えていく一方、ガンデロ帝国は米集めに翻弄されながらも、帝国の力を結集してなんとか僅かな籾と茶碗1杯ぶんの米を集める事に成功した。
そしてその米は皇帝の間でガンデロ四世に献上されたが、米を炊くとい発想が無かったので、ガンデロ四世はそのまま米を口に入れた。そして……
ガリッ! バリバリバリ! ガリガリ……
「うっ……」
ガンデロ四世は炊いていない米のあまりの硬さに驚きの表情を隠せずにいた。
しかしガンデロ四世は口に入れた米を飲み込むと、皇帝の間に居る者たちに高らかに宣言した。
「我々は力を手に入れた! このコメという植物の種は我らに栄光をもたらすであろう! 早急に増やすのだ!」
ガンデロ四世はそう言うと、さらに米を口の中に放り込んだ。




