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インメリアを先頭にべべの村に急ぐ兵士たちの最後列で、慌てている兵士たちがいた。
それは2人乗りの戦闘用馬車に乗った弓兵だった。
なんと、あの大柄な老馬は嘶きとともに全速力でインメリアたちを追いかけていたのだ。
弓兵たちは慌てて大柄な老馬に声をかけた。
「お、おいおい、無理するな! あれだけゴーレムとやり合ったんだ、もう走れないだろう!」
しかし大柄な老馬はどんどんと速度をあげていった。
その後ろ姿を見た弓兵は隣の弓兵に言った。
「これはやる気だな。おい、おれたちも負けてられないぞ」
「はい、そのようですね。しかし、先ほどの戦いで金属兵の特徴は掴みました。城壁を攻略するときに放つ紐付き矢を使うのはいかがでしょう」
「おお、あれか! 城壁の頂上に絡ませて兵士を登らせる紐を垂らす矢だな! それを金属兵絡ませて動きを封じる作戦か」
「はい! 紐の端をこの戦闘用馬車に繋げておけば、さすがに馬車の重さで動けなくなるかと」
「それは名案だ! よし、準備しよう!」
弓兵たちはそう言うと、馬車の椅子の下に収納されている紐付き矢を取り出して準備を始めた。
◆
その頃、ベベの村では金属兵2体を相手に苦戦を強いられていた。
素早い動きの金属兵の攻撃から黒猫が防御魔法陣で守りつつ大熊笹と茂雄が応戦していたが、大熊笹の投げ技は効かず、茂雄の拳も効いてはいなかった。
しかし大熊笹は冷静な声色で黒猫に言った。
「猫さん、我らが不甲斐なく申し訳ない。まずは村の人たちが逃げ終えるまで時間を稼ぎましょう」
それを聞いた黒猫も冷静に防御魔法陣を展開しながら答えた。
「いえ、大熊笹殿。我の暗黒魔法も生きてはいない者には使えません。こちらも不甲斐なく申し訳ありません」
すると茂雄も少し苦笑いをしながら言った。
「大丈夫です。我々でも敵の足止めはできているようです。頑張りましょう」
茂雄がそういった瞬間、何かが金属兵に向かって飛んでいくのが見えた。
「あれは」
ガシャン!
ボワァァアアア!!
それはなんと哲夫が投げつけた豪炎の壺だった。
そして驚くべきことに、大熊笹たちは懐かしい機械音を聞いて少し笑顔になった。
ゴォォォオオオオ!!!
ドガァァン!
なんと和代が召喚した軍神・零式が金属兵にタックルを食らわせた。
大熊笹たちが振り返ると、懐かしい甲冑姿の哲夫と緑色の鎧を着た和代がいた。
哲夫は笑顔で両手に豪炎の壺を出現させると、大熊笹たちに声をあげた。
「村の人たちは魔族さんたちの遺跡に避難完了しました! お手伝いしますぞ!」
最高の援軍を得た大熊笹たちは気合を入れ直して金属兵と対峙した。
するとその時、村の門の外に数騎の騎士がやってきて声をあげた。
「我が名はライズ! 英雄ライズの息子にしてヤクウィー騎士団長! お主の好きにはさせぬ!!」
ライズが名乗りをあげると、すぐ後ろにいたヤクウィー王の次男、エルジョルートが飛び出した。
「我が名はエルジョルート! 我が死と引き換えになろうとも、ヤクウィー領で好き勝手はさせない!」
エルジョルートは剣を抜くと側近の騎士を率いて金属兵へと突撃していった。
その姿を見た和代は思わず声を漏らした。
「あの子があんなに勇ましくなって……。わたしも負けていられないわ」
和代はそう言うと、エルジョルートが向かっている金属兵に軍神・零式を向かわせてエルジョルートに叫んだ。
「エルジョルートさん、その斧を持った大男は味方です! 援護します!」
「承知した!!」
エルジョルートは返事をすると馬を加速させていった。
◆
その頃、ガンデロ帝国の皇帝の間では伝達鳥の報告にガンデロ四世が大声をあげて叱責していた。
「何をやっているんだ! 準備中の金属兵を大量に失い、魔族どもも奪われるなど、失態以外の何事でもないぞ!」
側近の従者たちは何も言えずに下を向いていた。
「倉庫で何があったのだ! 警備には完成した金属兵3体にゴーレム10体がいたのだぞ!」
すると側近の従者の1人が顔を上げて汗を垂らしながら答えた。
「報告によりますと、ゴーレムは弓兵に倒され、金属兵のうち2体は大量の重装備兵に囲まれて魔石を破壊され、そして、もう1体は……、ええと……」
「なんだ! 言え!」
「は、はい! もう1体は、1人の兵士に魔石を破壊されました!」
それを聞いたガンデロ四世は驚きと怒りを通り越して冷静になった。
そして静かに玉座に座って足を組むと、奥に控えていた魔導師団長を呼んだ。
「魔導師団長、来い」
「はっ!」
「金属兵は連戦連敗だ。あれだけ時間と労力をかけてだ。この責任、どう取るつもりだ」
「……申し訳ございません。」
するとその時、皇帝の間の扉が開き、伝令が入室してきた。
「緊急報告でございます! ベベの村で奇襲作戦を行っている金属兵が1体やられ、残り1体となりました!」
それを聞いたガンデロ四世は表情も変えずに伝令に聞き返した。
「何にやられたのだ」
「はい、それが敵の金属兵に破壊されたとの事で、我が帝国の金属兵よりも大きく、羽も使わず空を飛ぶと……」
伝令の言葉にガンデロ四世は思わず笑った。
「ふっ……。こちらの計画を、ことごとく台無しにしてくれるな」
ガンデロ四世はそう呟くと玉座から立ち上がって魔導師団長に冷たく言った。
「魔導師団長、おまえは黒魔術で命と引換えにアンデッドの王、リッチとなれ」
それを聞いた魔導師団長は体を震わせながら答えた。
「そ……、それだけは……」
「お前はリッチとなって死人を蘇らせ、アンデッド兵団を作るのだ。白金級のお前の魔力なら問題ないであろう? 金属兵の穴埋めをしろ」
「……しかし、そんな」
その様子を見たガンデロ四世は控えていた近衛兵に指示を出した。
「おい、魔導師団長を押さえつけろ」
「「はっ!!」」
ガッ!
「や、やめてください! た、助けてください皇帝陛下!」
するとガンデロ四世は後ろに控えていた魔導師団の団員の老人に言った。
「お主は黒魔術が使えたな」
「はい」
「やれるか?」
「……はい」
魔導士団の老人は、ゆっくりと魔導師団長の元へと歩いていった。




