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マコ王が割り当てを指示し終えると、おじいさんはブツブツと呟きながら玉をたくさん並べはじめた。
それを見たおばあさんは不思議そうにおじいさんに尋ねた。
「どうしたんですか?」
「え、いや、コラナッカ男爵様から色々な玉を沢山いただいのだけど、分かりやすいように名前を書いているんだよ」
「へぇ。色々あるのね」
「ああ。これが麻痺玉で、こっちが睡眠玉。それで、これが粘着玉で、これが粘着解除の粉。ええと、これは何だっただろうか……。ああ、回復玉だ」
すると、おばあさんが気になっておじいさんに尋ねた。
「回復玉って、あれかしら。当たると回復するのかしら」
「そうみたいなんだ。当たると霧状に回復薬が飛び出すんだそうだよ」
「へぇぇ。コラナッカさんって発明家なのね」
「あの人は、本当に器用で頭の良い人なんだよ」
おじいさんはおばあさんと話しながら玉を種類別に分けてアイテム欄に収納した。
◆
マコ王は全員が準備を整えたことを確認すると、デウ王の重装備兵に出撃命令を出した。
「これより作戦を開始する!! 重装備兵団、前進!!」
「「はっ!!」」
ガシャッガシャッガシャッガシャッ……
重装備兵団が前進を始めると、マコ王は白騎士団とインメリアの騎馬隊に指示を出した。
「では行くぞ!! 白騎士団、インメリア騎馬隊、出撃だ!!」
「「おおお!!!」」
その瞬間、魔馬に乗ったインメリアが恐ろしい速さで飛び出し、マコ王を一瞬で抜き去って先陣を切った。
マコ王はその速さに驚愕しながら声を漏らした。
「なっ! なんだあの馬の速さは!」
すると今度はインメリアの後ろを遅れることなく、インメリア騎馬隊の戦馬たちが騎士たちを乗せて白騎士団を追い抜いていった。
さらに驚くべきことに、2人の弓兵たちを乗せた戦闘用馬車を引く馬たちも白騎士団に迫ってきていた。
その戦闘用馬車を一番乗りで引いていたのはガララ川の戦いで多くの負傷者を運んだあの大柄な老馬だった。
「ばかな! ヤクウィー領の馬たちはどうなっているのだ!」
そして大柄な老馬が白騎士団のすぐ後ろまで迫ってくると、マコ王は剣を抜いて高く掲げ、白騎士団を鼓舞した。
「我らは誇り高き白騎士団! 遅れを取るな!」
「「「おぉぉおお!!」」」
白騎士団はマコ王に鼓舞されて勢いを増した。
◆
その頃インメリアはすでに倉庫に辿り着き、後ろを走るラゴに大声で尋ねた。
「ラゴ! 金属兵とゴーレムがこちらに気づいた! ゴーレムは動きが遅いが金属兵はどう思う!?」
「見たところ、金属兵の質量は鎧だけのようです! おそらく人間よりも速く動くでしょう!」
「分かった! ならば、速く走れる馬に乗っている私たちが金属兵に突っ込んでかく乱する! 後ろの騎馬隊と戦闘用馬車はゴーレムをかく乱するように伝えてくれ!」
「わかりました!」
ラゴは左右の腕を機械的に動かして手信号で後続に指示を出すと、インメリアたちの先頭集団はそれぞれ別れて金属兵に突撃した。
そして後続の騎馬隊と戦闘用馬車も散開してゴーレムたちを陽動するように移動し始めた。
ドドドドドドドドド……
先頭のインメリアは1体の金属兵に突撃を仕掛けると、金属兵は突然矢のようにインメリア目がけて飛び込んできた。
それを見たインメリアはニヤリと笑って素早く魔剣を構えた。
「速い! が、見える!」
キンッ!!
インメリアは魔剣で受け流すように金属兵の攻撃を弾くと、すれ違うように魔馬を加速させた。
すると金属兵は背後から魔馬に向かって凄まじい勢いで追いかけ始めた。
しかしインメリアはそのまま加速して倉庫を右回りに魔馬を走らせると、追いかける金属兵を引き連れたままデウ王の重装備兵団に合流した。
ガシャッ!!
重装備兵団は二重の隊列で大盾を並べて構えると、それを見た金属兵は一瞬怯んだ。
しかし金属兵の背後からはマコ王率いる白騎士団と騎馬隊が迫り、金属兵は逃げ場を失って重装備兵団を突破しようと突撃した。
しかし、
「総員、突撃ぃっぃいいいい!!」
ガシャン!!!
なんと重装備兵たちは突っ込んでくる金属兵に大盾を前にして突撃した。
「「「おおおぉぉぉおおおお!!!」」」
そして金属兵と激突した。
ガオォォォオオオンン!!
「ぐはぁっ!!」
先頭で金属兵の剣にさらされた重装備兵2名は大盾を破壊されて屈み込んだが、即座に転がるように左右へ逃れると、後列の重装備兵が金属兵を押し返した。
「押し返せぇぇええ!!」
「「「おおぉぉぉおおおお!!!!」」」
ガォン!!
すると逃げ場を失った金属兵は無理やり剣を振ろうとしたが重装備兵の大盾が近すぎて剣を振ることが出来なかった。
「今だ! 金属兵を盾で叩き押さえろ!!」
ガシャン! ガン! ゴォン!
重装備兵は一斉に金属兵を囲みこむと、数の力で無理やり金属兵を押さえつけた。
そして後ろから重装備兵の背中を駆け上ってきたインメリアが、金属兵の鎧の隙間から見える魔石を魔剣で貫いた。
「でやぁっ!!」
パァァアアン!
シュゥゥゥウウウ……
金属兵は魔石を破壊されて動かなくなった。
その後ろでは、マコ王も重装備兵に囲まれた金属兵を1体仕留め、ゴーレムたちも白騎士団と戦闘用馬車から放たれる弓に正確に関節を射抜かれて苦戦していた。
◆
その頃、空から戦況を見ていたガーゴイルのガーは遠くの街に松明の火が集まってゆく様子が見えた。
「松明の明かり……。奇襲が見抜かれましたか。いやしかし、あの倉庫からの連絡手段は無いはず……」
ガーは松明の明かりに近づきながら目を凝らすと、やはり兵士のような人物たちが慌てて何かを準備している姿が見えた。
その様子を見たガーは羽を翻して倉庫の方へ引き返した。
「なるほど、やはり倉庫の状況が伝わっているようですね……。そ、そうか、遠隔操作か! 魔力の詰まった魔石なら可能だ!」
ガーは金属兵の遠隔操作に気づくと、倉庫のマコ王のところへ急いだ。




