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大将が岩陰に行ってしまい、副将が、なかなか帰ってこない大将にイライラしていると、ふと岩陰から女性が顔を出し、副将に向かって手招きをした。
それを見た副将はパッと表情を明るくして岩陰に走り出した。
「へへへ! やっとオレの番か!」
すると副将の後ろから兵長たち数人が追いかけるように走ってきて副将に言った。
「ふ、副将! オレたちもいいっすか!?」
「おねがいします!」
「もう待ちきれないっす!」
副将はそれを聞くとニヤニヤ笑いながら答えた。
「おお、良いぞ! 付いて来い!」
「「はい!!!」」
こうして副将と兵長たちは岩陰の裏まで走っていくと、なんと大将の剣を持ったメロナッカと、短パン姿で胸当てをした女性たちが立っていた。
副将たちは状況が掴めずに固まっていると、女性たちはファイティングポーズをとり、先頭の女性が小さく指示を出した。
「総員、かかれ」
ババッ! バババッ!
先頭の女性の声を合図に女性たちは飛び出すと、凄まじい勢いと共に拳と蹴りで副将たちを圧倒していった。
そして素早く副将たちの口を塞ぎながら次々と地面に伏せていくと、武器を取り上げて後ろ手に縛り上げ、1人また1人と奥へと運んでいった。
そう、彼女たちはマツリ王、格闘兵団・特別部隊の女性兵士たちだった。
メロナッカは女性兵士たちの強さを確認すると、伝達鳥に手紙を書いて封入した。
そして伝達鳥を空へ放つと、女性兵たちに指示を出した。
「仲間に作戦開始の手紙を送ったわ。さあ、みんな。また誘い込んでゲンゲゲロの兵士を捕まえるわよ」
「「はっ!」」
女性兵士たちは返事をすると、ドレスを着た女性兵士がゲンゲゲロの兵士を誘い込むために岩陰から出ていった。
◆
その頃、大将たちが陣取った川から離れたところに、最後列の下級歩兵たちのキャンプがあった。
下級歩兵たちは少ない食料を平らげると、すぐに横になって仲間たちと話し始めた。
「今日は歩いたなぁ」
「ああ、もう駄目だ。腹減ったからオレ寝る」
「そういえば先頭にいる大将の兵団たちは女捕まえたって」
「本当か? いいなぁ」
「オレらはヘトヘトに歩かされて……」
「なのに、戦闘が始まったら最前線だからなぁ」
「それにガンデロと手を組んでからは」
「給金が減ったしなぁ……」
「てか、なんか異常に眠くないか?」
「たしかに……。ふぁぁああ」
そして下級兵士たちは倒れるように次々と眠りについた。
するとそこへ薄っすらと紫色に光る影が近づいてきた。
それはなんと盾LOOPYに乗ってガスマスクをした研究員のエリシャウと、コラナッカ元男爵だった。
「コラナッカ様、やっぱりこの睡眠薬は最高傑作ですねっ!」
「まぁな。ここらの500人くらいは寝たんじゃねぇか?」
「はいです! では光蟲で合図を出しますね」
「ああ。光蟲でマツリの格闘兵を呼んでくれ」
コラナッカの了承を得たエリシャウは、光蟲を十数匹ほど空に放った。
光蟲は光を放ちながら上昇していき、その合図を受けた格闘兵たちは光蟲の下にいるコラナッカの元に集まった。
そしてコラナッカの指示の下、眠っている下級兵士たちに縄をかけていった。
◆
時を同じくして、ゲンゲゲロの領地との境では、マコ王を中心に兵たちが大勢集まってきていた。
マコ王たちは、ゲンゲゲロ領の倉庫で着々と準備が進む金属兵を制圧するため、夜の奇襲作戦で倉庫へ攻め入る計画だった。
マコ王は空を見上げると満足そうに呟いた。
「今日は恐ろしいほど月が明るいな。まるで我々の作戦を後押ししてくれているようだ」
するとその時1人の兵がマコ王に報告した。
「マコ王様! 兵の準備が整いました!」
マコ王の白騎士団、デウ王の重装備歩兵団、そしてヤクウィー王からはインメリア率いる騎馬隊を中心に、おじいさんとおばあさん、盾LOOPY兵団、魔王エヴも集結し、戦闘準備を終えていた。
しかし、盾LOOPY兵団を見たマコ王は全てが老兵だったため、少しだけ気になって尋ねた。
「盾LOOPY兵団の団長は?」
すると先頭のラジジが兜の面をあげて答えた。
「はっ! 私、ラジジであります!」
傷だらけのラジジの顔を見たマコ王は大きく頷くと、会釈をしながらラジジに言った。
「よほどの戦いを生き抜いてきたのだな。心配をしてしまった事を謝ろう」
するとその時、ガーゴイルが舞い降りてきてマコ王に報告した。
「報告いたします。やはり、ここから一番近い倉庫で魔族の仲間たちが金属兵に魔力を注入しています」
「そうか、想定通りだな」
「しかし、その倉庫の周りはすでに完成した金属兵3体とゴーレム10体が守っております」
「なに? ゴーレムだと?」
「はい。胸にはガンデロ帝国、魔導師団の紋章がありました」
「ほう、そういうことか。これは面白くなってきたな」
マコ王は少し考えると振り返って皆に言った。
「これより、魔族が金属兵に魔力を注入してる倉庫を制圧する! 倉庫を守るのは完成した金属兵3体にゴーレム10体! 割り当てを指示する!」
マコ王はまず最初にデウ王の重装備歩兵団に指示を出した。
「重装備歩兵団は横一列に広がって前進! 戦いの前線を作り押し上げろ!」
「「はっ!!」」
次にマコ王はインメリアを見て指示を出した。
「インメリア率いる騎馬隊は、我が白騎士団と共に先陣を切り、倉庫を右周りに1周! 金属兵とゴーレムをかく乱したのち分裂し、各々重装備兵の前線へ合流!」
「「はっ!!」」
するとマコ王は少しニヤリと笑ってインメリアに言った。
「くれぐれも我が白騎士団に遅れを取るなよ」
しかしインメリアは笑顔で答えた。
「承知。だがそちらが遅れたら先に行く」
インメリアの表情にマコ王は満足そうに笑った。
そしてマコ王はおじいさんとおばあさん、そして盾LOOPY団にも指示を出した。
「ひろし殿ご夫妻と盾LOOPY団は我々が戦っている間に倉庫内へ! 人間の敵兵が居たら交渉材料に使うため、できるだけ捕縛を! そして魔力を注入している魔族を奪還次第、脱出!」
「「はい」」
「倉庫内の行動と脱出は盾LOOPY兵団長、ラジジに全権の指揮をあずける! ひろし殿は投擲攻撃で、洋子殿は魔法で兵団を助けてほしい!」
それを聞いたラジジ、そしておじいさんとおばあさんは真剣な表情で答えた。
「はっ! 必ずや成功に導きます!」
「はい!」
「はい!」
そしてマコ王は全体に言った。
「我ら騎士たちは重装備兵と合流後、金属兵とゴーレムを殲滅する! 金属兵の弱点は内部の魔石! ゴーレムは関節の魔石が弱点だ! 皆、忘れるな!」
「「はっ!!」」
最後にマコ王は魔王エヴに言った。
「最後は魔王、頼んだぞ」
「うむ。私の上級魔法で倉庫周辺は跡形もなく吹き飛ばそう」
魔王エヴはニヤリと笑った。




