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ガンデロ帝国に侵攻されてから数ヶ月ほどが経った頃、新貴族連合は一体化して1つの国家を樹立していた。
国の名はマデマメヤ国とし、新貴族連合の貴族の名の頭文字を並べた国名となった。
5人の王が共存する五王政を掲げたその政治は多数決のお陰で決断を早くし、様々な事を柔軟に変革していった。
特に奴隷解放宣言によって多くの働力が生まれ、その多くが南の海へ赴いて漁獲量を何倍にも膨れ上がらせた。
そして、魔王領では年中収穫できる米がヤクウィー辺境伯の長男エエウヤスが行った計画生産によって、ヨクヨ商会の倉庫に入り切らないほどの収穫量となっていた。
さらにエエウヤスが交配した「サトゥマ芋」はそこら中で収穫ができるようになり、生活水準はかなり高くなった。
その上、クラクモを中心とした医療団が結成され、国内の病気や怪我を治療する巡回制度も完成していた。
その頃にはヤクウィー領のみならず、マデマメヤ国内では魔族も信頼を得て人間と共存し始めていた。
もちろん一部の人間は怖がることをやめなかったが、自然に人間との生活に溶け込んでいった。
そうなると、ゴブリンのゴゴも人目を気にする事なく、街中を歩くことができるようになっていた。
―― メロナッカ王領 ――
ゴゴとメメは休みをもらってメロナッカ王領に遊びに来ていた。
メメはヨクヨ商会のお役目でメロナッカ王領にある街によく来ていたが、ゴゴは栄えた街に来るのが初めてだった。
メメはゴゴに似合う服をプレゼントしたくて、服やアクセサリーの店がたくさんある繁華街にやって来ていたが、ゴゴは少し緊張しながらメメに言った。
「お、おでみたいなゴブリンが、こんなキレイなとこに、いていいのかな? な」
「もちろんだよ。……でも本当に魔王様には感謝だよね。私も助けて頂いたし、ゴゴだって魔王様にお世話になっていなかったら会えなかったから」
「え、ええと、魔王様に感謝なのは、わかるんだな。それに、メメが感謝なのもわかるんだな。な。ええと……」
ゴゴが少し困っているとメメはゴゴを優しく抱きしめて言った。
「一番感謝しているのはゴゴだよ。いつも、もありがとう」
するとゴゴは笑顔で答えた。
「お、おではメメにありがとうなんだな! な!」
ゴゴは嬉しそうにメメの手を握ると、メメはもう一度優しくゴゴを抱きしめた。
するとその時、優しい声が聞こえた。
「あら、焼けるじゃない。なんて純粋な愛なのかしら」
その声を聞いたゴゴとメメが振り向くと、優しい笑顔のメロナッカが立っていた。
メロナッカは片膝をつくと、ゴゴとメメに優しく言った。
「探したわ。魔王のエヴちゃんがね『我が配下のゴブリンのゴゴと、それを慕うメメというエルフがお主の街で服を買うという。何かあったら頼む。いや、何か無くても頼む』って言われちゃて」
メメはそれを聞いて少し恥ずかしそうに下を向いたが、ゴゴは嬉しそうにメロナッカに言った。
「魔王様が? ありがとうなんだな。おでは、こんなキレイな人間の街に来たことがないんだな。だから、ちょっと怖かったんだな。メメ守れるか心配だったんだな。な」
「まぁ……。でも大丈夫よ。私の領地の街は安全なの。LGBTQ+も、魔族も、大人から子供まで他人を傷つけないのなら全員の安全を保証しているの」
そしてメロナッカは笑顔になると、ゴゴと一緒に居るメメに言った。
「あなたがエルフのメメさんね。あなたの彼氏、最高じゃない! こんなに素直で純粋で。あなたが好きなのが分かるわ。うふふ」
それを聞いたメメは恥ずかしそうに答えた。
「あ、ありがとうございます。ゴゴは最高の彼なんです。それで、ガンデロ帝国を倒して大陸が平和になったら結婚しようって」
その言葉を聞いたメロナッカは胸を張ると、大きく息をしてメメに言った。
「もぅ……。ガンデロ帝国を倒したら結婚しようだなんて……。じゃあ、ガンデロ帝国に負けたら結婚しないわけ? それであなたは幸せなの?」
「いえ、でも……。今はマデマメヤ国の人たちが一生懸命頑張っていますし、それにお金もなくて……。このような時間をもらえただけでも幸せなんです」
するとそれを聞いたメロナッカは満面の笑顔になってゴゴとメメに言った。
「大丈夫よ。全部わたしに任せてちょうだい」
◆
数時間後、ゴゴとメメはメロナッカ王領にある大聖堂に居た。
なんと、メロナッカは大聖堂でゴゴとメメの結婚式を取り計らったのだった。
ゴゴは燕尾服を纏って祭壇の間でメメを待っていると、祭壇の間の扉が厳かに開いた。
そして扉の向こうには純白の美しいウェディング・ドレスに身を包んだメメが立っていた。
ゴゴはメメのウェディング・ドレス姿を見ると、そのあまりの美しさに腰を抜かして後ろへ倒れた。
「メ、メメは、と、とんでもなくきれいなんだな! びっくりしたんだな! な!」
それを聞いたメメは恥ずかしそうに笑うと、ゆっくりとゴゴの元へと歩み寄り、優しくゴゴに手を差し伸べて言った。
「ありがとうゴゴ。あなたもとっても凛々《りり》しいわ。さぁ、祭壇に行きましょう」
「あ、ああ。行くんだな。な」
ゴゴは立ち上がってメメの手を取ると、メロナッカのエスコートで2人は並んで祭壇の前に歩み出た。
そして2人は祭壇の前に並ぶと、大聖堂の最高神官が現れて2人に会釈をした。
祭壇の前で緊張しながらも笑顔で並ぶゴゴとメメは会釈を返すと、最高神官は祭壇の神に祈りを捧げ、そして2人に歩み寄ってゴゴに静かに尋ねた。
「ゴゴよ。お主はこの者メメを妻とし、永遠に愛する事を誓いますか」
それを聞いたゴゴは、緊張して声を震わせなが答えた。
「お、おでは、誓うんだな。な」
最高神官は笑顔で頷くと、次はメメに尋ねた。
「メメよ。お主はこの者ゴゴを夫とし、永遠に愛する事を誓いますか」
メメは真っ直ぐに最高神官を見ると、凛とした表情で答えた。
「はい、誓います」
それを聞いた最高神官はゴゴとメメに婚姻の祝福を与えると、2人に美しい魔法の雨を降らせて宣言した。
「ゴゴとメメの婚姻の契は結ばれました。前途ある2人に祝福の雨を!」
その雨に打たれたメメは光を放つように輝き、潤んで愛に満ちた眼差しでゴゴを見つめた。
ゴゴはその眼差しに目を大きく広げて特大な笑顔を作り出すと、メメはその笑顔に吸い込まれるようにゴゴを抱きしめた。
その様子を見ていたメロナッカは共感して涙を流しながら声を漏らした。
「美しい……、美しいわ……。何の打算も我欲も無い、なんて美しい愛のなの……」
メロナッカはとめどなく感動の涙を流した。




