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翌朝、インメリアとラゴは男爵の邸宅を訪れていた。
インメリアは守衛の兵に自分の事を伝えると丁寧に対応され、そのまま男爵の私室へと案内された。
インメリアは扉を開けて部屋に入ると、なんとドレスを来たメロナッカ男爵がいた。
それを見たインメリアは一気に顔を明るくしてメロナッカ男爵に言った。
「うわぁ、綺麗だなメロナッカ男爵! ドレスも似合うな!」
インメリアの表情を見たメロナッカはインメリア以上に顔を明るくして答えた。
「まぁ、本当に嬉しいわ! インメリアちゃんなら理解してくれると思って、怖かったけど思い切ってドレスを着てみたの!」
「うんうん、とっても似合ってるよ! 私は強い者と美しい者、どちらも好きなんだ。メロナッカ男爵はどちらも持っている。本当に羨ましいよ!」
それを聞いたメロナッカ男爵はインメリアに駆け寄って両手を握った。
そして目に涙を浮かべると静かにインメリアに言った。
「本当にありがとう、インメリアちゃん。今までそんな真っ直ぐな瞳で言ってくれた人は居なかったわ。私はインメリアちゃんとお友達になりたいの。どうかしら」
するとインメリアは笑顔で頷いた。
「もちろんだよ! 今日から友達だ!」
その様子を見ていたラゴもウンウンと笑顔で頷いた。
するとラゴに気づいたメロナッカは思い出したようにインメリアに小声で尋ねた。
「で? 昨晩はどうだったのかしら? あのお部屋、楽しめていただけたのかしら?」
「え、あ、ああ。そ、そうだな……。ははは」
インメリアは顔を赤らめて照れたように答えると、メロナッカ男爵は満面の笑顔で侍者に言った。
「今日はお祝いよ!! 最高の朝食を用意しなさいっ!!」
「はいっ!」
侍者は急いで部屋を飛び出すと、それと入れ替わるように他の者が入ってきた。
そしてその者はメロナッカ男爵の前に跪くと大きな声で報告をした。
「男爵様。無粋な参上、申し訳ございません。現在コラナッカ男爵領にヤクウィー辺境伯の兵300が迫ってきております。コラナッカ男爵より救援の要請がありました」
「なんですって!?」
しかしそれを聞いたインメリアたちも驚いていた。
「ヤクウィー辺境伯が……」
「コラナッカ男爵に挙兵を?」
メロナッカ男爵は小さくため息をつくと、インメリアに言った。
「インメリアちゃん。せっかく来てくれたのに、ごめんなさい。この通りなの。もし時間があれば、この屋敷でしばらく過ごしていてくれないかしら」
しかしインメリアはメロナッカ男爵の近くへ行くと、耳元で小さく男爵に言った。
「実は私たちはヤクウィー辺境伯の村から来たんだ。事情は分からないが何か理由があるはず。私も連れて行ってくれないか?」
それを聞いたメロナッカ男爵は静かに頭を縦に振った。
―― コラナッカ男爵領 関所 ――
コラナッカ男爵領の関所はメロナッカ男爵の邸宅からも近く、インメリアたちとメロナッカ男爵率いる兵たちは、それほど時間はかからずに到着した。
関所に到着すると、1人の綺羅びやかなローブを羽織った男性がメロナッカ男爵の元へと走ってきた。
「おお! 来てくれたか弟よ!」
それを聞いたインメリアとラゴは、その人物がコラナッカ男爵だと即座に理解し、静観することにした。
コラナッカ男爵はメロナッカ男爵の近くに来たが、微妙に距離を取りながらメロナッカ男爵に言った。
「メロナッカ、その顔の色とか、ええとキラキラしたのとか、良いな。キレイだぞ」
「ありがとうございます、お兄様」
メロナッカ男爵は少し悲しそうに答えると、コラナッカ男爵は声を荒げて話を続けた。
「聞いてくれ! あの田舎者のヤクウィー辺境伯が突然攻めてきたのだ。偵察の者によると300もの兵が居るという。ヤツら、我ら兄弟を滅ぼすつもりだ!」
すると、それを聞いていたインメリアは我慢ができなくなってコラナッカ男爵に食ってかかった。
「ちょっと待て、そんな訳ないだろ! それより、メロナッカちゃんに訳の分からないお世辞言って恥ずかしくないのか? 兄なんだろ?」
それを聞いたコラナッカ男爵はインメリアを睨みつけ、メロナッカ男爵はインメリアの言葉に涙を浮かべた。
そしてメロナッカ男爵はインメリアに笑顔で言った。
「私のこと……、メロナッカちゃん、って言ってくれた。……嬉しいわ」
するとインメリアも笑顔で答えた。
「だって、私たち友達だろ」
そのインメリアの男前で清々しい表情は、メロナッカ男爵のハートのど真ん中を射抜いた。
しかしその時、コラナッカ男爵は邪魔をするインメリアに声を荒げて言った。
「おい娘! 我々は男爵だぞ! その下等で下劣な身分で私に意見するなど……」
ガシッ!
「うっ!」
コラナッカ男爵が言葉を言いかけたその時、なんとメロナッカ男爵が兄のコラナッカ男爵の首を掴んで持ち上げていた。
コラナッカ男爵は慌ててメロナッカ男爵に言った。
「ど、どうしたのだ弟よ……。わ、わたしは……」
しかしインメリアが駆け寄ってメロナッカ男爵を止めた。
「メロナッカちゃん、だめ!」
インメリアの言葉に我に返ったメロナッカ男爵は静かにコラナッカ男爵を下ろした。
するとその時、遠くから馬車と沢山の騎士がやって来るのが見えてきた。
それを見たコラナッカ男爵は懇願するようにメロナッカ男爵に言った。
「お、弟よ! 先程はすまなかった! お前の兵でヤクウィーの兵を倒してくれ……」
しかしメロナッカ男爵は静かに答えた。
「お兄様。私は大切なお友達を悪く言われて気が乗りません。私たちは帰ります。では」
そしてメロナッカ男爵はインメリアとラゴに優しい笑顔で言った。
「インメリアちゃんと彼氏さんは辺境伯さんと一緒に帰るのでしょう? また時間があったら……」
しかしインメリアとラゴは笑顔で答えた。
「メロナッカちゃんと一緒に帰ってランチにしよう! な、ラゴ?」
「ええ、それが良いですね」
それを聞いたメロナッカはパッと明るい表情になって答えた。
「ええ、そうしましょう! でも帰ったらランチの時間が過ぎちゃうわ。もっと美味しいものを用意させないと。うふふふ」
こうしてメロナッカたちは兵を引き連れて帰っていった。
そして残されたコラナッカ男爵は絶望した。




