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異世界おじいちゃん 〜みんなで異世界転生〜  作者: オイシイオコメ
異世界おじいちゃん ~みんなで異世界転生~
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 ザワザワザワ……


 村はどよめきで包まれていた。


 村の長は慌てテテの家の前にやってくると、ひれ伏しながらおばあさんに言った。


「魔道士様! こんなにたくさんの回復薬を我が村に!?」


「うふふ。みなさんがベムベムのキノコと薬草を持ってきてくださって、テテちゃんとお母さんが手伝ってくれたのよ。この村にお返ししなくちゃならないわ」


 しかし、村の長は顔面蒼白(がんめんそうはく)なりながら言った。


「魔道士様! それでは我々は何のお返しもできませぬ! もしや、やはり我々を魔術で奴隷に!?」


 それを聞いた黒猫は飛び出し、村の長に言った。


「控えよ。魔道士様はこの村を回復薬の拠点とするとお考えである。その回復薬は国を救い、ひいてはこの村を救う。異論があるものは居るか?」


 すると村の人々は皆静かになった。


 その様子を見て黒猫は続けた。


「この村は魔道士様の元、大きく発展し世界を救う! 村人よ! 愛する家族、そして愛する人のために大きな存在になるのだ!」


 ザワザワザワザワザワ…… 


「この村を、お主たちの力で大きく発展させるのだ!」


「「「おおおおおお......」」」


 村人たちは少し躊躇しながらも黒猫の声に呼応(こおう)した。


 ―― 3ヶ月後 ――


 なんと、べべの村は本当に栄え始めてしまった。


 村の一番の問題だった水の確保は、おばあさんが作り出す氷魔法の氷を溶かすことで一気に解決し、村の人々は気力に溢れて働き始めた。


 そして村で作られる希少な回復薬を求めて遥(はる)か遠方から沢山の商人たちが訪れ、多くの商談を成立させていくようになっていた。


 しかしその反面、王族や王族に仕える貴族も使いをよこし、不正に賄賂(わいろ)を渡したり、圧力をかけたりして大量購入をしようとしていた。


 それを見かねた黒猫は王族や貴族の賄賂(わいろ)や圧力を排除しようと手配した。


 だが、そのようにすれば分かりやすい事が起きてしまうのである。


 ―― 2週間後 ――


 カーーン カーーン カーーン


「大変だーー! 王国騎士団が来たーー!! それも1000は超える兵だーーー!!!」


 なんと、村の回復薬を巡って王国騎士団が動いたのだった。


 パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ 


 王国騎士団は村から少し離れたところに陣取ると、村の門の前に王国騎士団の使者が馬に乗ってやってきた。


 そして馬を降りると、大きな声で村に言った。


「お前たちは不正に回復薬を作る魔女に心を売った! この村に殲滅命令(せんめつめいれい)がくだされた! もし助かりたいのなら、その魔女を引き渡すのだ!」


 すると、村の門からおじいさんがヒョッコリと現れた。


「これはこれは、王国騎士団の方ですね。遠いところ、はるばるお越しくださいまして……」


「ええい、うるさい老人! 魔女を出せ! 出せねばこの村を焼き払うぞ!!」


「申し訳ございません。その魔女は魔王に連れ去られてしまったのです」


「な、なに!? 魔王だと!? ま、まさかあの……、伝説の魔王がここに!?」


「はい、あちらでございます」


 おじいさんは空を指差すと、空に浮かせた魔法陣の上に骸骨姿の黒猫とおばあさんが居た。


 それを見た王国の使者と1000を超える騎士団たちは驚きどよめいた。


 魔法陣の上の黒猫は芝居をするように大きな声で王国騎士団たちに言った。


「ふははははは! 我は魔界から来たりし魔王である!! この洋子殿……、い、いや、この魔女は掟を破って人間どもに肩入れした! 抹殺する!!」


 それを聞いたおばあさんも芝居をした。


「お待ち下さい魔王様! わたくしが悪というのならば、あの人間たちも悪《あく》でございます! 王族やそれに仕える貴族は賄賂(わいろ)や圧力をかけ不正に回復薬を!」


「な! なんだとぉ!」


 骸骨の黒猫は王国騎士団を睨(にら)みつけると、ひときわ大きな声で言った。


「お主ら王族や貴族は、民(たみ)を騙(だま)してこの村の回復薬を買い占めるつもりか!!」


 ザワザワザワザワ……


 王国騎士団がザワめくと、騎士団の中から1人の騎士が現れて黒猫に言った。


「魔王よ! 我は王国騎士団長エブレブ! お主は何か勘違いしておるようだな!」


 それを聞いた黒猫は静かに答えた。


「ほう、勘違いとな。我が納得するように説明せよ!」


 エブレブは前に出て剣を抜くと黒猫に言った。


「この村は我が王国の村。それゆえ王国や貴族の物だ! 本来なら回復薬も税として無償で上納させる物! 金を払っているだけ上等なのだぞ!!」


 エブレブはそう言うと、首から下げている緑色の宝石をかざして続けた。


「見よ! これは魔法を跳ね返す魔石! いくらお主が魔王でもこの魔石で魔法を跳ね返す! お主に勝算はない!」


 しかしエブレブがそう言った瞬間、


 シャァァァアアア!

 ガシャン!!


 なんと、おじいさんか放った石がエブレブの魔石を粉砕した。


「へっ……?」


 それを見た黒猫は即座におばあさんに耳打ちをした。


「洋子殿、お願いいたします」

「ええ、分かったわ」


 黒猫は両手を大きく広げると、エブレブに言った。


「お主らに、我が魔王の氷結魔法をお見舞いしよう!!」


 すると、おばあさんは静かに氷魔法の大呪文の詠唱を始めた。


 黒猫の言葉に驚いたエブレブは顔を硬直させて目を見開くと、頭上におばあさんが作り出した巨大な氷柱が完成しつつあった。


 それを見たエブレブは、なんと部下の騎士団たちを置いて全速力で馬を走らせ、全力で逃げ出した。


「ひぃぃぃいい!!!」


 それを見たおばあさんは、逃げるエブレブの目の前の上空にも巨大な氷柱を出現させて脅かした。


「ぎゃあぁぁああ!!!」


 エブレブは巨大な氷柱に思わず悲鳴をあげると落馬して転がり、なんと失禁までしてしまった。


 その姿を見た騎士団たちは恐怖に慄(おのの)き、蜘蛛の子を散らすように逃げ出し始めた。


 ドドドドドド……

「本物の魔王だ!!」

「たすけて!」

「うわーーー!」


 それを見たおばあさんは、少し安心しながら氷柱を消滅させると小声で黒猫に言った。


「よかったわ。この世界でも魔法が使えたわ。うふふ」


「はい。そうでなければ大天狗はこちらの世界へよこさなかったでしょう」


「ええ、その通りね猫ちゃん」


「洋子殿。もしご所望であれば、我の暗黒魔法であの者たちを……」


「だめよ猫ちゃん。猫ちゃんの魔法は人を苦しめるのでしょう?」


「はい……」


「人とか、動物とか、生きている相手には絶対に使っちゃだめですからね」


「はい。承知いたしました洋子殿……」


 こうして王国騎士団は村から逃げるように去っていった。

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