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異世界おじいちゃん 〜みんなで異世界転生〜  作者: オイシイオコメ
異世界おじいちゃん ~みんなで異世界転生~
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 ―― コラナッカ男爵領 首都ララナッカ ――


 アカネと魔王エヴはLOOPYから降りると、エヴは魔法でLOOPYを収納し、アカネと一緒に首都ララナッカに入った。


 ララナッカの街は事前の情報とは裏腹に、ごく普通の賑わった街だった。


 アカネは拍子抜けしながら魔王エヴに言った。


「なんか、めっちゃ普通じゃない?」


「うむ。特に変わったところはないな」


 しかしその時、2人の後ろから鼻息荒く話しかけてくる女性がいた。


「あ、あはぁ、あのぉ……。ははは!」


 その声に驚いたアカネと魔王エヴは思わず振り返った。


 すると小柄な若い女性が顔を紅潮させながら鼻息を荒く笑っていた。


 その女性は少し手を震わせながらアカネと魔王エヴに言った。


「わ、わわ、わたしはエリシャウ。お、おお、お2人は先程、最高にクールでエレガントな魔道具に乗っていましたよね! あ、あはぁ」


 それを聞いた魔王エヴは魔法でLOOPYを出現させた。


「これか?」


 それを見たエリシャウは興奮が絶頂に達し、のけ反りながら声をあげた。


「ひゃぁぁ! 急に現れた! こ、これって魔法ですか? それとも機械技術? あ、やっぱり合せ技!? やばーい!」


 しかしエリシャウはハッと正気に戻り、突然頭を下げながらアカネと魔王エヴに頭を下げた。


「とっ、取り乱して申し訳ない。私はコラナッカ男爵が力を入れている研究機関の責任者エリシャウ。魔道具や細菌兵器、そして最新のウィルス兵器の研究をしています」


 魔王エヴはエリシャウの「ウィルス兵器」という言葉に引っかかって尋ねた。


「ウィルス兵器……?」


 しかしそれを聞いたエリシャウは再び興奮すると、顔を紅潮させながら話し始めた。


「そうなんですよぉ! 私はですね、死熊を作り出すウィルスを野生の熊たちに効率的かつ効果的に感染させる事に成功しまして! 隣の辺境伯の熊に感染させたら効果絶大で!」


「ほう……」


「いやぁ、大変だったんですよぉ。1年以上も研究して、どうしたら群れを作らない熊たちにウィルスを蔓延させて、たくさんの死熊を作り出す事ができるのかを研究室に籠もって……」


 エリシャウがそこまで言うと、魔王エヴはアカネに言った。


「逮捕だな」


 するとアカネは頷きながら答えた。


「だね。逮捕だね」


 バタン!!


 アカネは一瞬でエリシャウを押さえつけた。


 ―― ヤクウィー辺境伯領 ――


 アカネと魔王エヴはエリシャウをLOOPYの後ろに乗せて辺境伯領に帰ってきていた。


 エリシャウが初めて乗るLOOPYに興奮していると魔王エヴは静かにエリシャウに問いかけた。


「お前が作り出した死熊だが、その死熊がその後どうなるかは考えたのか?」


 しかしエリシャウは「?」な表情で魔王エヴに答えた。


「えっと、死熊の後……、ですか?」


「死熊は食料を求めて人の街も襲う事は知っているか?」


 魔王エヴがそう言った瞬間、エリシャウは顔面蒼白になり、唇を震わせながら答えた。


「い……、いえ……」


「お前はウィルスで殺戮兵器(さつりくへいき)を造ったのだぞ。実際、辺境伯の街は死熊に襲われた」


「あ……、ああ……」


 しかしその時、アカネが間に入ってエリシャウに言った。


「まぁ、あたしたちが死熊を倒したから大丈夫だったけどね」


 アカネの行動を見て察した魔王エヴは小さく溜息をついてエリシャウに言った。


「お主にその研究をさせていたのは誰だ」


「……コラナッカ男爵が直々に」


「ならばお前は交渉材料になる。だが、辺境伯領の街が死熊に襲われた事の重大さを忘れるな」


「ご、ごご、ごめんなさい! でも、私は……、私は知らなかったのです……」


 するとアカネは魔王エヴに言った。


「まぁまぁ、知らなかったんだし、……っても、結構ヤバい事しちゃったけどさ。エヴっちの気持ちも分かるけど、あとは辺境伯さんに任せようよ」


「うむ。そうだな……」


 こうしてアカネと魔王エヴはエリシャウを辺境伯の邸宅まで送り届けた。


 ◆


 その頃、大熊笹と茂雄は格闘技が盛んなマツリ子爵の領地に入り込み、毎日行われているという格闘技大会を見学していた。


 しかし、試合を見ていた大熊笹は思わず茂雄に言った。


「これが決勝ですか……。お互い何の戦略もなく正面から殴り合うだけで……」


 すると茂雄も少し笑いながら答えた。


「はい。駆け引きもテクニックもなさそうですね。ははは」


 茂雄がそう言った瞬間、試合をしている一方が奇跡的に拳をクリーンヒットさせて相手を倒した。


 カーン、カーン!!


 そしてゴングが鳴ると、レフェリーが勝者を宣言した。


「勝者! 赤コーナー!!」


「「「わぁぁあああああ!!!」」」


 場内から歓声を巻き起こると、レフェリーが定型文を読むかのように言った。


「この者の優勝を宣言します。もし、この場に認めない者が居るのであれば、この勝者と試合をして勝つ必要があります。みなさん異論はないですね?」


 しかしその時、大熊笹が手を挙げた。


「はい。異論はありませんが、そちらの勝者の方と試合をさせて頂けませんでしょうか」


 その言葉を聞いた勝者は、老人の大熊笹を見て笑いながら答えた。


「わっはっは! 老人よ、ボケちまったのか? まぁいい。手加減してやるからコッチに来な」


 それを聞いた大熊笹は嬉しそうに頭を下げて試合場へと降りていった。


 ◆


 大熊笹は試合の勝者と対峙すると、深々と礼をした。


 しかし勝者はニヤニヤと笑うと、大熊笹に言った。


「変な格好しやがって。お前のタイミングで、いつでもかかってきな。って、ビビッてできるわけねぇか」


 勝者はそう言って手を出して手招きすると、一瞬でその手は大熊笹の腕に巻き込まれた。


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