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ラジジを先頭に正面から突撃を仕掛けると、それを合図に残りの老兵たちは左右に馬を走らせ、死熊の群れに側面から猛毒の吹き矢を放っていった。
フッ!
フッフッ!!
ドッ! ドドドッ! ドドドドッ!
真っすぐ前に進んできた死熊の群れは左右からの猛毒の吹き矢の格好の餌食となり、その猛毒は一瞬で神経を侵して死熊たちは平衡感覚を失った。
そこへラジジと20騎の老兵たちは勢いを増して突っ込んでいくと、一斉に次々と馬上から大きく飛び上がった。
空中に飛び出したラジジと20騎の老兵たちは死熊の群れを睨みつけると、ラジジは血を滾らせながら口を開いた。
「「「突撃ぃぃぃいいい!!!」」」
ラジジの号令が響き渡ると、老兵たちは両手に持った盾を体に密着させるように構え、そのまま体ごと死熊たちにぶつかっていった。
ドガッ!! ドガガガン!! ドガン!! ドガガガン!!
平衡感覚を失って足をもつれさせた死熊たちは、ラジジたちの捨て身の突撃に跳ね返されて、その場に足を止めた。
ラジジたちは受け身を取りながら着地すると、即座に後退して横に並び、両手で持った盾を地面に突き刺して、その後ろで足を大きく開いて構えた。
「正面は我々が盾で食い止める!! 左右の兵は下馬して盾で突撃!! そして猛毒の吹き矢をお見舞いしてやれぃ!!」
「「「おおぉぉぉおおおお!!!」」」
ラジジの声に老兵たちが奮起すると、死熊の群れは左右からも盾で挟まれながら猛毒の吹き矢の嵐に見舞われ、次々と動きを鈍らせていった。
それを見たラジジは全員に指示を出した。
「今だ!! 総員抜剣! 死熊の目玉から脳を突けぇええ!!」
「「「おおおぉぉぉおおお!!!」」」
老兵たちは盾を投げ捨てて一斉に剣を抜いくと、次々とウィルスに侵された死熊たちを絶命させていった。
◆
戦いが終わり、ラジジたちは馬を使って死熊たちを1頭ずつ街の外れに引っ張っていると、街の中からたくさんの人々が老兵たちに駆け寄ってきた。
それを見たラジジは馬を止めて馬から降り、街の人々に言った。
「死熊は向こうで燃やしますので安心してください。誇りもない老兵の戦いをお見せして済まなかった」
しかし街の人々は満面の笑みを浮かべながらラジジたち老兵に声をあげた。
「そんな事ないよ! すごかったよ!」
「本当に格好良かった! ありがとう!」
「みなさんのおかげて街は救われました」
「本当にありがとうございます!」
パチ……、パチパチパチ……、
パチパチパチパチパチパチ!!!
すると、どこからともなく拍手が起こり大喝采となった。
老兵たちはそれを聞いて作業の手を止めると、素早く隊列を整えて整列し、剣を抜いて体の前に立て、踵を鳴らした。
ダン!!
そしてラジジは前に出ると左胸に拳を当てて会釈し、街の人々に答えた。
◆
その頃、辺境伯の次男エルジョルート率いる辺境伯の騎士たち約100名も他の街で死熊の群れと戦っていた。
しかし戦況は悪く、死熊に押されて街の中での戦闘になってしまっていた。
エルジョルートは馬で突撃して死熊の一頭を仕留めると、他の騎士たたちを鼓舞するように声をあげた。
「これ以上、死熊に好きにさせるな! 誇りにかけて食い止めるんだ!!」
「「おおぉぉおおおお!!」」
辺境伯の騎士たちは奮起したが、死熊の群は倒された仲間を共食いしながら暴れ出した。
ガァァァアアアア!!
するとその時、騎士の1人が大声をあげながら馬を飛ばしてエルジョルートの元へやって来た。
「エルジョルート様! ベベの村の魔王エヴ様が加勢していただけると!」
「なにっ!? それは心強い!! ……って魔王だとぉ!?」
エルジョルートが驚いていると、物凄い勢いでアカネが走ってきて辺境伯の騎士たちに声をあげた。
「みんな逃げてー!! これからヤバい魔法がくるよぉー! まじで大爆発するよぉーーー!!」
アカネの言葉に騎士たちは死熊から離れると、アカネは方向転換して死熊の方へ走っていった。
そして暴れている死熊たちに必殺のアイテムを投げつけた。
「とぅっ! 抜群に滑る油、乱れ投げ!!」
アカネは死熊の群れの周りを走りながら抜群に滑る油を次々と死熊に投げつけていくと、死熊たちは足をすべらせてその場で転倒し、一塊になって動けなくなった。
しかし、1頭の死熊が抜群に滑る油を避けてアカネに飛び出そうとした。
ガァァアアアアア!!
それを見たアカネは軽やかにステップを踏んでニヤリと笑った。
「さぁ、あたしの十八番だよ! それっ!!」
アカネは素早くバナナの皮を死熊に投げつけた。
ズデーン!!
死熊はすっ転んだ。そして頭を打って気絶した。
するとその時、空に禍々しい雲が立ち込めて稲光が走った。
そえれを見たアカネは一目散に死熊の群れから逃げ出した。
「やばっ! エヴっちの魔法、この間のよりデカい!!」
スタタタタタタタタ!!
アカネは逃げ出して建物の陰に隠れると、一気に空が明るく輝き、禍々しい雲の切れ間から特大の稲妻が死熊たちの群れに落とされた。
ゴゴゴォォォオオオオオオオン!
そしてその稲光は大爆発を起こし、死熊たちの群れは一瞬にして全滅した。
◆
ヒュゥゥゥゥウウ……
爆発した跡地は小さな火の手が上がって煙に包まれていたが、その煙の中から魔王エヴが悠然と歩いて現れた。
その姿を見たアカネは嬉しそうに魔王エヴに走ってゆき、笑いながら魔王エヴ言った。
「ははは! エヴっち、今日の魔法はやばいね! 最高の勝利じゃんか!」
すると魔王エヴは笑顔になってアカネに答えた。
「いや、これもアカネのお陰だ。私の魔法は威力を上げるほど動く敵に当てるのは難しい。アカネの足止め無しには勝てなかっただろう」
「なに言ってんだよ、あたしは足止めしかできないんだから1人じゃ元々勝てないし。まぁ、じゃあ今日は2人の勝利ってことで!」
「ああ、それが良いな。でも今日の魔法は、まぁまぁかな。いつかこの街が吹き飛ぶくらいの魔法を見せるよ」
「なんだよ、あれで手加減してたの? エヴっち、ほんとヤバいな! ははは!」
アカネは魔王エヴの脇腹にアカネ・パンチ小を食らわせながら大笑いした。
その様子を見ていたエルジョルートは、冷や汗を流しながら空笑いをした。




