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異世界おじいちゃん 〜みんなで異世界転生〜  作者: オイシイオコメ
異世界おじいちゃん ~みんなで異世界転生~
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 ―― ガンデロ帝国 皇帝の間 ――


 その頃、ガンデロ帝国では金属兵10体の魔力充填を完了し、そのうちの1体がガンデロ帝国の皇帝、ガンデロ四世の前にお披露目されていた。


 金属兵は大男1人に抱えられ、2000人の人間が入るほどの大きさがあろうかという皇帝の間の中央に置かれた。


 その様子を見ていたガンデロ四世は、冷徹(れいてつ)な眼差(まなざ)しで金属兵を見ながら声を発した。


「ほう、それが金属兵か。それにしても……、ずいぶんと軽そうだな」


 その言葉を聞いた魔導士団の老人は金属兵の横へ歩き出て皇帝に頭を下げながら答えた。


「皇帝陛下。こちらの金属兵を動かす動力は、内部にある魔力が充填された魔石にございます。ですので、重さは鎧の重さのみでございます」


 それを聞いたガンデロ四世は足を組み替えると、魔導士団の老人に言った。


「まあ良い。説明よりも実証だ。動かしてみろ」


「承知いたしました皇帝陛下。ではさっそく……」


 魔導士団の老人は水晶を取り出すと、それを持って近衛騎士団長(このえきしだんちょう)の元へと歩いていった。


 そして水晶を近衛騎士団長(このえきしだんちょう)に手渡すと、水晶の説明を始めた。


「騎士団長様。こちらは金属兵を動かす水晶になります。両手で持って目を瞑(つむ)ってください」


「うむ、わかった」


 近衛騎士団長(このえきしだんちょう)は魔導士団の老人の言う通りに目を瞑(つむ)ると水晶が光り出し、なんと目の前には視界が広がった。


「なっ! この視界は……。まさか金属兵が見ている視界なのか?」


 それを聞いた魔導士団の老人はニヤリと笑いながら答えた。


「左様でございます。騎士団長様、腰の剣をお抜きになって模擬戦(もぎせん)をいたしましょう。ご安心ください、その剣は刃がついておりませんので」


 近衛騎士団長(このえきしだんちょう)は言われた通りに剣を抜くと、皇帝の間の後ろから真っ赤な大盾を持った重装備の兵士が現れ、近衛騎士団長(このえきしだんちょう)の前までやって来た。


 その光景を見た皇帝は、不敵な笑みを浮かべながら満足そうに椅子の背もたれに寄りかかって呟いた。


「ほう……。あれは我が帝国が誇る重装備兵団の団長だな。これは面白い……」


 重装備兵団の団長が真っ赤な大盾を前にして突進の構えを取ると、近衛騎士団長(このえきしだんちょう)は素早く剣を構えた。


 その時、衛騎士団長(このえきしだんちょう)は、金属兵の動きの軽さと剣の重さを感じない腕に思わず笑みをこぼし、声を漏らした。


「ふっ。金属兵……。これは良い物だ」


 バッ!!


 近衛騎士団長(このえきしだんちょう)は大きく一歩を踏み出すと、その軽さと力強さに驚きながら一気に重装備の兵士へと飛び込んだ。


 重装備の兵は大盾で防御したが、近衛騎士団長(このえきしだんちょう)が軽く剣を一閃すると、なんと重装備の大盾に剣が食い込むほどの衝撃を与えた。


 ガァァアアンン!!!


 そしてその衝撃で重装兵は大盾ごと吹き飛ぶと、回転しながら何度も床に体を打ちつけて転がっていった。


 ガシャァァン!


 その状況を見たガンデロ四世は思わず立ち上がり、拍手を贈りながら満足そうに言った。


「はっはっは! すばらしい成果だ。金属兵は我が国の力となるだろう。魔力の充填を急げ! 平和に呆(ほう)けているリムリテイル王国を滅ぼし、奴隷とする時が来たぞ!」


 ガンデロ四世の言葉に、その場に居た者たちは歓喜の声をあげた。


 ◆


 その頃、貴族連合の公爵家ではラド公爵が執事からの報告を受けていた。


「ラゴ様は抹殺命令を逃れ行方不明。そしてライズ様と老兵約100名もラゴ様を探しに行くと出発したまま、未だに戻りません。いかがなさいましょうか」


 しかし公爵はふんぞり返って笑いながら答えた。


「もう良い。ライズもラゴも民衆の人気取りのために雇ってやっていただけだ。それに老いぼれの兵士など何の役にもたたぬ。ちょうど良かった」


 ◆


 公爵から何の役にもたたないと言われた老兵たちはその時、正式に迎え入れられたヤクウィー辺境伯からの命を受けて、領内の街に現れた死熊(しぐま)の群れから街の人々を守る任務を与えられていた。


 死熊(しぐま)とは、熊に感染するウイルスで変質した熊で、感染した熊はウイルスに脳を破壊され、恐怖を感じることなく死ぬまで食べ物を求めるだけの獣になってしまう恐怖の病だった。


 死熊の群れはまっすぐに街の入口へと向かってくると、街の入口で待機していた老兵たちは馬に乗って、指揮役のラジジの言葉を待った。


 ラジジは群れの動きを見極めると、老兵たちに指示を出した。


「私に20騎の支援! 街の入口で正面からぶつかる! 残りは左右に半数ずつ別れて攻撃! 猛毒の使用を許す! 左右から死熊を鈍らせよ!」


「「「はっ!!!」」」


 ラジジの声に老兵たちは馬の隊列を整えると、左右に別れた老兵たちは腰から吹き矢を取り出して用意した。


 その様子を家の中から見ていた街の人々は心配そうにしながら口々に言葉を交わした。


「お、おい……。この街は見捨てられたのか?」

「ええ。みんな老兵ばかりだって……」


「辺境伯様を何をお考えなんだ!」

「老人が束になっても死熊の群れに勝てるわけがない」


 しかしラジジは耳に入った街の人々の言葉に笑うと、片手を挙げて声をあげた。


「死熊の群れは我らで止める!! 続けぇぇええええ!!!」


「「おおぉぉぉおおおおお!!!」」


 ドドドドドドドドド!!!


 ラジジと後続の20騎は持っていた盾を両手で持って構え、死熊の群れに突撃していった。

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